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第十七話 温泉旅行その三

 ナギサちゃんが「パパといっしょに食べたい」と言うため、私たちは三階に泊まる男性陣と連絡をとり、全員一緒に食事をとることにした。


 ホテルのレストランにはドレスコードがあるらしく少し煩わしさを感じたため、外のファミレスで食べようということになった。


 温泉街をブラブラと歩いていると向こうから頭の悪そうな三人組の男がやってきた。

 舌にピアスをしているいかにも不良という感じの男、

 派手すぎるキンパツが逆立っているどこかの星の超戦士の様な男、

 一見イケメン風だが中二病かと思わせるほど真っ黒な服に身を包んだよくわからない男の三人だ。


 はっきり言ってどれも関わり合いたくない男たちのためさっさと通り過ぎようとしていたが、超戦士が声をかけてきた。


「ねえ、そこの彼女たち。俺らとカラオケでも行かない?」


 私はこんな奴らにいちいち構っていられないので無視して歩く。


 すると舌ピアス男が私の前に立ち塞がる。


 私はムッとして「どいてくれないかしら? 邪魔なんですけど……」と言う。


 舌ピアス男はポケットからバターナイフを取り出す。

 バタフライナイフではない。パンにバターを塗るときに使うあのバターナイフだ。

 それを誇らしげに掲げながら舌ピアス男は口を開いた。


「ヘイヘイヘイ、ユーたちミーのエブリーをフライアウェイだぜ!」


 えっ? こいつ何が言いたいのか分からないなんてレベルじゃないほど意味不明なんですけど……


「えっと、なんだかよく分からないんだけど、関わると鬱陶しそうだから()っちゃっても良いかな?」


 私は華菜に確認をする。


「ダメだよ〜。此処で殺しちゃうとおまわりさんに捕まっちゃうよ〜」


 まあ、それもそうだよね。とりあえずこういう時は下僕の出番かな……。


「じゃあマリエル、特別に許可するからこの男たちにとびっきりの悪夢をプレゼントしてあげて。

 ……一応殺さない程度にね」


 私が言うとマリエルは『ククク、久しぶりに人間の精気が吸える時が来たのじゃ……』と、意気揚々と三人組を連れて何処かへ行ってしまった。まあ、三十分もしたら戻ってくるだろう。


 とりあえずマリエルの食事は今ので事足りるだろう。するとハゲテールの食事をどうするかという問題になるんだけど、……私はハゲテールに質問をする。


「ねえ、ハゲテールって相手が男でも大丈夫?」


「ん? サクヤ様、それは吸血(食事)のことを言っておられるのか?

 男の血は不味いから吸血族からは敬遠されるものだが、それでも輸血パックなどとは比べ物にならぬものだ。

 よって男の血を吸えるかと問われれば吾輩は喜んで『男相手でもイケる』と答えるであろう」


 ハゲテールの返事を聞いて私は彼に指示をする。


「じゃあ、マリエルが搾り取ったカスになっちゃうけど、あいつらの事食べちゃって来ていいよ。

 あ、一応殺さない様にね……」


 ハゲテールは「承知した」と言って姿を消した。


「よし、とりあえず魔族の食事はこんな感じで良いかな」


 私が言うと後ろから「サクヤさん、やっぱり貴女は悪魔の様な人です……」と、声が聞こえた。


 声の主はアマネだった。

 何かが足りないと思っていたが彼女の存在を今まで忘れていたことに気づいてホテルを出るときに転移ゲートを開いておいたのだ。私はアマネに声をかける。


「やっと来たわねアマネ。えっと、リアルで会うのはお久しぶりかしら……」


「お久しぶりですねサクヤさん。あちらの世界に居たら突然目の前に異世界へのゲートが開いたので何事かと思いましたよ。

 今度からこういう事は控えて下さい。調査のために来ましたが、此処に来るとあちらの世界では失踪したことになってしまうので、すぐに戻ります」


 アマネが直ぐにでも戻ろうとするのを私は引き止める。


「まあまあ待ちなさいってアマネ、食事を一緒にと思ったんだけど、それくらいの時間なら別に良いでしょう?

 それに初対面の人も居るだろうし、挨拶くらいしときましょうよ」


 私がそう言うとアマネが「それも一理ありますね」と了承をした。


 そんなわけで私たちは暫く歓談しながら歩き、街はずれのファミレスまで到着した。

 ファミレスに着く頃にはマリエルとハゲテールも食事を終えて合流していた。


 ファミレスで改めて皆んな自己紹介をしたり、途中でなぜか幼女神が合流して一緒に盛り上がったり、アマネが幼女神を「ママ」と呼んでいたりというエピソードもあったが、その話は割愛しとこう。


 私たちはファミレスで一通り盛り上がった後、アマネや幼女神と別れて、ハゲテールの転移魔法で一瞬にしてホテルに戻ったのだった。

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