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気づいたら挟まれてました。

とりあえず今回でユーリ編終了です。彼女は主人公とアレな関係になれるのでしょうか。

「うぅん………ここは………」


「お目覚めですか?メディス様」


「ミーア……」


目を覚ますとミーアが俺を覗き込んでいた。たぶんここは自室のベッドの上だろう。


「一つ聞いてもいいか?」


「はい、なんでもどうぞ」


「なんで俺の口湿ってるの?」


「……………あはっ☆」


「少しは誤魔化す努力をしようか」


なんかもう慣れてきてしまっている自分が怖い。


「お疲れ様でした。メディス様」


「え?何が?」


「ユーリのことですよ。いきなり走って行っちゃった時はびっくりしました」


「いやぁ、それについては悪かったよ」


身体を起こすとあることに気づいた。所々包帯が巻かれている。それにあれだけのダメージを受けたのに身体が軽い。


「もしかしてこれってミーアが?」


「私もですが、ほとんどマキがしてくれました」


「マキが?」


「はい。彼女の歌は様々な効き目があるのです。もちろん傷を癒す効果もあったので歌ってもらいました」


「そうか。あとでお礼言わなくちゃな」


マキってこんなこともできるのか。料理もできるし本当にお嫁さんだなあの子。


「それじゃあ私はマキにメディス様がお目覚めになったことを伝えてきますね」


「あ、それなら俺も行くよ」


「いえ、メディス様はここで休んでいてください」


そう言うとミーアはこの部屋から出ていった。やることもないので再び身体を寝かした。


「でも本当に間に合ってよかった………」


俺はユーリとの決闘の後のことを思い出した。

ミーアにユーリの過去の話を聞いて、慌てて彼女を追った。不安なことがあったからだ。

もしユーリの使ったワープポイントがあの森だったら。

もし森に人間がいてユーリと鉢合わせしてしまったら。

もしユーリが人間とうまく戦うことができなかったら。

そもそも不意打ちだからといって、俺が彼女に勝てたのもおかしな話だ。ユーリは本気であっても本調子ではなかっただろう。なんせ俺は人間だからな。心の何処かで怯えがあったんだろう。


「まぁ無事だったし結果オーライか。俺は重症だったけど」


コンコン


すると誰かが俺の部屋をノックした。


「どうぞー」


「し、失礼する」


入ってきたのはユーリだった。今は鎧姿じゃくてTシャツにジーンズといった軽い感じの服だった。


「どうした?そんなにジロジロ見て」


「君でもそんな格好するんだなぁって」


「………似合ってないか?」


「いや?似合ってると思うけど」


「そ、そうか」


オドオドと首を振りキョロキョロと目を泳がすユーリ。なんか落ち着きがないな。


「その、すまなかった。身体は大丈夫か?」


「全然大丈夫だよ。包帯は巻いてあるけど普通に動けるから。それに気にしなくていいよ。元はと言えば俺が悪かったから」


すると、はぁとユーリは溜め息をついた。あれ?なんか変なこと言ったかな。


「お前は本当に甘いな。普通なら私に罰を与えるだろうに」


「そういうのって慣れてないんだよ。こうやって人の上に立つなんて、経験したことない人生だったから」


「まぁ無理にとは言わないが」


「あ、そういえばこっちも言うことがあったんだった」


身体を起こしてできるだけユーリに近づく。


「あの時守ってくれてありがとうな」


「あの時?」


「俺を火の玉から守ってくれただろ?三回も(・・・)


「………気づいていたのか」


衛兵によって飛ばされた三個の火の玉。あれはユーリ自身に飛ばされていなかったため、対処する必要はなかった。俺がいなければ(・・・・・・・)

ユーリは俺を守るためにわざわざ全ての火の玉を消滅させてくれた。三発目は俺に向かってだったが、一発目と二発目は森に向かって飛ばされた。つまり彼女は森に火がつき、動けない俺に危害が加わることを懸念して二つ火の玉を消してくれたのだ。


「意外と鋭いんだな。ボケーッとしてそうなのに」


「お礼言ったはずなのにバカにされた?」


そんな風に見られてたのか。まぁ自分で痺れたりバカなことしてけどさ。


「って私はこんなことを言いに来たんじゃない!」


「え?じゃあ何しに来たの?」


「私がここへ来たのは謝罪と………けじめをつけにだ!」


やだ、この子イケメンすぎなんだけど。


「でもこの前言ってくれじゃないか。アレで十分なんじゃ………」


「わ、私は態度で示さないと気が済まないんだ!だから!」


グッ!と彼女の両手で俺の頭が挟まれた。


「あの、ユーリさん?一体何を………」


「これはけじめだ!た、他意はないからな!」


すると彼女は顔を真っ赤にしながら近づけてきた。そして、


「ねぇ!本当に何を、んむっ!?」



ユーリの唇が俺の唇と重なった



視界が目を瞑ったユーリの顔で埋め尽くされてる。そこでようやくキスさていると気づいた。

どうして?やなぜ?といった言葉が頭の中で何回も繰り返させる。

すると俺の身体にある変化が訪れた。俺の中に何か''熱い''ものが流れ込んできた。この感覚どっかで………まさか!


「ちゅ、んむ、ぷはぁ」


彼女が唇を離すと同時に俺の腕に光が刻まれた。光がおさまるとそこには竜の形をした刺青があった。


「はぁ、はぁ」


唇を離すとユーリは肩で息をしていた。俺はというと、


「」


呼吸が止まった。衝撃すぎて。


コトン


すると何かが落ちるような音がした。音のする方向に振り返ると、コップが落ちていた。中身が入っていたのか、周りが濡れている。そしてその奥に誰かが立っていた。その人物は、


「な、何をしてやがるのですかッ!?」


ミーアだった。


「これは一体どういうことですか!な、何故二人がキ、キスしてるのですか!?ま、まさか浮気!?」


ミーアは目を細めるとキッと睨んだ。俺ではなくユーリを。


「ユーリ!説明しなさい!場合によっては容赦しません!」


「わ、私は彼に忠誠を誓っただけです!そのために主従契約を結んだだけです!」


「そんな軽い気持ちで結んだのですか!これが寝取られというやつですか!」


「軽い気持ちなどではありません!!そ、それとね、寝取られなんてそんなこと………」


「何故言い淀むのです!?」


俺は……どんな気持ちで……どんな顔で……この会話を見てればいいんだろうか。


「そもそも!」


「うおっ!?」


そんなことを考えていると、急にミーアが俺の腕に飛びついてきた。


「主従契約とは愛の形なのです。それを忠誠なんていう気持ちで行うなんてお門違いです。ねぇ、メディス様?」


「いや、別にそんなことな………そうですね僕もそう思います」


「ほら!メディス様もそういってるじゃないですか!」


ものすごく鋭い目だった。ギロッて音がしそうなぐらい目だった。目線で殺されそうだった。


「さぁ!早く契約を解除しなさい!」


「うっ……」


ユーリはぐうの音も出ないらしい。よく考えて。ミーアが言ってるのとんだ暴論だから。


「メディス様に好意もないのに契約を結ぶなんて私は認めません!」



「私だってメディスのこと好きだもん!!」



「「もん?」」


そこで俺とミーアは固まった。え?どうしちゃったの彼女。しかも告白みたいなことされちゃったよ!?


「こ、言葉ならなんとでも言えます!」


少し怯みながらもミーアは言った。いや実際キスされてますし行動でも示てるんじゃ………。


「な、なら!こうするもん!」


ユーリはミーアが抱きついていない方の俺の腕を取ると、胸に挟むようにして抱きついてきた。


「あの、ユーリさん?色々当たってるんですけど」


「当ててるの!」


「くっ!私より大きいからってそんな大胆と!メディス様!」


するとミーアは俺の頭を持って、無理やり自分の方に向けた。あの、首痛いんですけど……。


「私には毎晩腕を上げてる舌技があります!!」


「なんか不安なキーワードが見え隠れしてる!?」


「メディス様……」


チロッと長い舌を出しながらミーアは顔を近づけてきた。これはもしやまたキスされるのか?しかも大人でディープな方を!?こんな状態じゃ俺の理性が危うい!!


「あ!ズルい!」


するとユーリは奪い取るように俺の頭を自分の方に向けた。あの、だから首が……。


「ファ、ファーストキスは済ませたから、つ、次はセカンドキス………」


何故か暗示のように呟くユーリ。目を瞑りながらゆっくりと近づいてくる。


「私のメディス様をとらないでください!」


グリンッとミーアの方に頭が向けられる。


「ダ、ダメぇ!」


と思ったらユーリの方に頭が向けられる。


「私が一番最初にしたのです!だから私が一番最初なのです!!」


「そんなの関係ないもん!順番なんて関係ないもん!!」


あーだこーだと言いながら、自分たちの方に俺の顔を向けたがる二人。お、俺の首がそろそろ一回転しそうな勢いなんですけど!

すると二人の力が拮抗したのか、俺の顔が正面を向いたまま固定された。でもこれで安心できなかった。次は俺の頭を押さえる力が強すぎて、頭が潰されそうになっている。


「お二人さん!そろそろ手を離していただかないと脳みそが溢れ出てしまいそうなんですけど!!」


しかし目の前に敵に集中しているための俺の声が届くはずがなかった。俺の頭蓋骨、形変わってないか心配だ。


「こ、こうなったら!」


するとミーアは俺の頬に顔を近づけてきた。


「私だって!」


対抗するようにユーリも俺の頬に顔を近づけてきた。

俺はもう………色々諦めた。もうなるようになれ。(頭は除く)

しかし、この場にいる誰も予想できないことが起きた。


「し、失礼しますぅ。あのぉ、魔王がお目覚めになられたのでご飯を持って…………」


なんとマキが部屋に入ってきたのだ。そして俺たちを見て固まった。

そりゃそうだ。傍から見れば俺が二人をはべらせてるようにしか見えない。


「……………」


「……………」


「……………」


「…………きゅぅ」


「マキ!?」


顔を真っ赤にして目を回しながら彼女はその場で気絶した。


「………とりあえず、ベッドに運ぼうか」


「………そうですね」


「………うん」


こうしてこの騒動は幕を閉じた。

騒動後、ユーリは冷静になって色々と後悔した。


ユーリ「な、何故私はあんなことを!?なんだ『もん』って!私は子供か!?ミーア殿にまで逆らってしまって………。で、でも結果的に想いは伝わったし、ま、まぁいいかなぁ、えへへ………はっ!?どうして私はこうなってしまうんだぁぁぁあああああ!!!」


恋の病です。お疲れ様。

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