気づいたら変わってました。
バトルも苦手ですが、人や物の描写も苦手です。あれ?なんで書いてんだろう。
「間に合った!」
はぁ、森の中を走り続けて疲れた。なんか今日は朝から疲れることが多い気がする。
でも………まだ休んではいられないみたいだ。
「なんだ貴様は?そんなことより邪魔だ。ドラゴンを仕留められないだろ」
火の玉を出している男性が俺に向かって言ってきた。ドラゴンってたぶんユーリのことだよな。なら、
「それはちょっとできない相だ━━ 」
「どうしてここに来た!」
…………またですか。また遮るんですかユーリさん。
「どうしてって………君が心配だったから。ダメだよ。何も言わずに出て行っちゃ」
「ッ!よ、余計なお世話だ!こんな事態!私一人で十分だ!」
「へぇ〜。怖くて震えてたのに一人で十分なんだ」
「なッ!?」
俺の言葉を聞いたユーリは一瞬で顔が赤くなった。いや、耳まで赤い。なんだ、可愛いところもあるじゃないか。
「だ、だからと言って、お前がこの状況を変えられるのか!」
「変えられるよ。少なくともあの火の玉は防げる」
「そ、そんなでまかせを━━ 」
「でまかせなんかじゃない。こんな時ぐらい男を頼りなよ、お嬢さん」
俺の真剣な答えにユーリは何も言わなくなった。信じてくれてるっていいのかな。それよりなんかテンションがおかしくなってる気がする。ああは言ったけどやっぱり魔法って怖い。でも………やるしかない!
「何かドラゴンと話していたようだが………まぁいい。早くそこをどけ。俺は人間を殺す趣味はない」
「あいにくだけどそれはできないんだ。だからその魔法止めてくれない?」
「世迷言を。俺は魔族を仕留めようとしているのに、何故貴様は俺の邪魔をする?」
「えーっと」
俺は返事を考えながら、懐からあるものを出した。ユーリとの戦いでは使わなかった代物だ。つまりこれは━━
俺は懐から出したものを、
「アンタよりこの子の方が大事だからかな」
辺り一面にぶちまけた。
「そいつの方が大事?何を言━━ぐっ、な、なん、だ……? 」
すると火の玉は空気に還るようになくなり、男はその場で倒れた。
「この光景はどこかけで………あ!」
ユーリがこれの正体に気づいたようだ。まぁ彼女は3回経験してるしな。
「サ、サイド様!大丈夫ッスか!?」
近くにいた衛兵?が男、サイドに近づいていった。衛兵は兜を被っているため粉を吸うことはなかったんだろう。そういえばサイドってどこかで聞いたような………まぁ今はいいか。
「お、俺に何をし、た?」
サイドが苦しみながら疑問を投げかけてきた。でも俺にもあんまり時間が……
「それって魔族用のはずじゃ……….何故人間に効いている?」
するとユーリも俺に問いかけてきた。ユーリだけにはこれが何か分かっていてもらおう。
「これ、君用じゃないからね」
「私用じゃない………ま、まさか!」
「そう、これは人間用なんだ。つまり━━ 」
その時、俺の視界は揺らぎ、
「俺にも効果抜群ってことなんだ」
そのまま地面に倒れた。
「なッ!?おい!しっかりしろ!!」
ユーリが身体を揺すってくるが、全く動くことができない。俺の薬ってすごいな。こんなに動けなくなるんだ。我ながら感心する。
「何故少し満足気なんだ!?おい!立てないのか!」
「いや、悪いけど無理。全然動けない」
薬を作る過程で少し吸ったりして耐性があるか、普通に喋ることはできる。でもやっぱり身体は動かない。我ながら感s━━
「だからその顔はやめろ!何か腹が立つ!」
ガンッとものすごい剣幕でユーリに頭を叩かれた。動けない人間を殴るなんてなんという非道。て、今はそんな場合じゃない。
「ユーリ。とりあえず逃げるんだ」
「え?」
「今は俺も動けないけど相手も動けない。あんな馬鹿でかい魔法を使ってくる規格外のやつと、まともに戦えないだろ?」
魔力のある人間は普通の人間より優れている。これは魔力が使えるというだけの話じゃない。
魔力を保有することで、身体能力や身体機能など、あらゆう面で魔力を保有しない者との違いがある。
この場で言えば、俺よりもサイドの方が早く回復するだろう。俺も魔族の魔力を保有しているが、まだ身体に馴染んではいないはずだ。時間が経てば効果は出てくるだろうが、今は魔力が無いのと変わらない。つまりこのままじゃ俺たちが生き残るのは難しい。
「くッ!わ、私を舐めるな!人間に命令されるほど落ちてはいない!あんなやつすぐにでも!」
そう言うユーリはどこか無理をしているように見えた。たぶんあのことが頭にあるんだろう。
「俺は君の事情をミーアから聞いた。だから情けないなんて思わないよ。だから早く逃げるんだ!」
「お、お前はどうするんだ………」
「え?」
ユーリが睨みながらも、心配そうに聞いてきた。俺を心配してくれてる?
「ま、またそうやって私だけ逃がして帰ってこないんだろ………私だけ置いていかれるのはもう嫌だ!!」
心の内を吐き出すようにユーリは叫んだ。
「ユーリ……」
そんな彼女を見て、俺はユーリを逃がすことを諦めた。そして人間として説得することを諦めた。
「なら……」
諦めたからこそ、俺は言った。
「魔王として命令だ!俺とお前、二人が助かる道を、お前の力で成し遂げろ!!」
***
ユーリは目の前の男、メディスの言葉を聞いて呆気に取られた。
さっきまで逃げろと言っていたのに今では戦えと言ってることもそうだが、なにより、
(私のことを信じているのか………?)
ユーリはお世辞でも彼に対して良い行いをしてきたとは言えない。挙げ句の果てに、殺そうとした自分のことを、身体を張って守ってくれた。
「お前、本当にそんなことを言っているのか?」
「こんな状態で嘘なんてつかないよ。でも相手は殺さないでくれ。殺生は嫌いなんだ」
生温いと彼女は思った。しかしメディスからしてみれば、敵は同族。自分だったら同族を敵にまわすことすら拒むだろうとユーリは思った。しかし彼はユーリ側に立ってくれた。
「どうだ?やってくれるか?」
命令すると言いながら、ユーリのことを心配しているメディスを見て、彼女は少しおかしく思った。
(自分の方が辛いだろうに………)
気づいたら不安な気持ちは無くなっていた。
ユーリはメディスの問いにフッと笑ってこう言った。
「魔王様の命令じゃ仕方ない。そこで待っていろ。すぐに終わらせてくる」
ユーリは駆け出した。自分を信頼する者に応えるために。
サイドの様子を伺っていた衛兵がユーリに気づいた。
「ちょ、やる気ッスか!?サイド様こんな状態だし………こ、こうなったら!」
衛兵はサイドが倒れる際に落とした杖を拾い、ユーリへと向けた。
「私が相手になるッス!こう見えても魔法は使えるんスよ!!」
するとサイド程ではないが、人間サイズ程の火の玉が杖から作られていく。
しかしユーリに恐れはなかった。それどころか、
(今ならきっとできる気がする。いや、絶対にできる!)
彼女は武器を出さなかった。いや、出す必要がなかった。ユーリは目を閉じてただ一言呟いた。
「変遷・竜化」
すると突然、ユーリの身体が赤く光りだした。赤い光は彼女を包み込んでいく。次第に光は大きくなっていき形も変わっていった。光が晴れると、そこには幻の生き物がいた。
何者も怯えさせる鋭い眼、全てを切り裂く長い爪、一振りで街一つを吹き飛ばせそうな程の翼、そして人体をあっさり貫く尖った牙。
その生き物は竜。または名をドラゴン。全長10メートル以上にも及ぶ魔族の一種。そしてユーリの真の姿だ。
『ーーーーーーーーーッ!!!!!!』
ユーリの咆哮が辺り一面に轟いた。木々はなびき、川は溢れ、空気は揺れる。
「う、うわぁぁぁあああああ!!!」
ユーリの姿に怖気付いた衛兵は無茶苦茶な方向に火の玉を飛ばし出した。火の玉は森に向かって放たれる。
その時、ユーリが飛んだ。火の玉に向かって。
ユーリは火の玉の前まで来ると、鋭い爪で二つに切り裂いた。火の玉は二つに裂けた後に消失した。
しかし次はユーリのいる反対側に火の玉が飛ばされた。すると彼女はその場に佇んだまま、大きな翼で突風を引き起こした。突風は火の玉を飲み込む勢いで吹き抜ける。まるで蝋燭の火を吹き消すように、火の玉は消滅した。
だが、衛兵の攻撃はまだ終わらない。衛兵は自分の目の前に火の玉を放った。火の玉の先にいたのは………メディスだ。
衛兵は狙って放ったわけではない。混乱してたまたまそこに火の玉を撃ち出しただけだった。
放った以上、火の玉を衛兵に消すことはできない。それをできるのはこの場でただ一人………ユーリだ。
彼女はメディスのいる場所に急降下した。しかし火の玉はメディスの目の前まで迫る。
ユーリは翼で火の玉は消せなかった。突風にメディスが巻き込まれてしまう可能性があるからだ。
ユーリは爪で火の玉は消せなかった。爪を使うと地面まで抉ってしまい、土の塊がメディスを傷つけてしまう恐れがあり、最悪メディスに爪が当たってしまうからだ。
だから彼女はもう一つの武器、鋭く尖った牙で火の玉を噛み砕いた。
「あ、あぁ………」
目の前に巨大な竜が降り立ち、衛兵はその場に座りこんでしまった。
ユーリは衛兵を大きく鋭い眼で睨みつける。
『キエロ』
静かに、しかし叫んだような圧力をかけてユーリは言った。
『ソノオトコヲツレテサッサトキエロ。サモナクバ━━ 』
突然衛兵の横を赤い炎が通りすぎた。衛兵の背中に嫌な汗が流れる。その炎はユーリが放射した炎だった。
『イノチハナイトオモエ!!!!』
「ひぃぃいいいい!?!?」
衛兵は慌ててサイドの首根っこを掴むと、引きずりながらこの場を去った。去り際に『おい!王子をもっと丁寧に扱え!』などと聞こえたが、ユーリは気にとどめなかった。
『イッタカ……』
ふぅと短く息を吐くと、ユーリの身体は光りだし、元の姿へと戻った。
「あいつはどこだ?」
周りを見渡しメディスを探した。すると自分の後ろに彼はいた。メディスはまだ倒れたままだった。痺れが治ってないのだろう。
ユーリはメディスの元にかけていった。
「おーい、だいじょ………」
そこで彼女は固まった。理由は何か。それはメディスが示していた。
痺れが治っていないから倒れているのかと思った。しかし真実は違った。なんと彼は口から泡を吹いて気絶していたのだ。
「………あぁ、あの時か」
ユーリは思い出す。自分が突然彼の目の前に現れて、牙を動かしたことを。メディスは恐怖で気絶してしまったのだ。
「まったく、情けないな」
呆れたように言うが、メディスを見る目は何処か愛おしげだった。彼を立たせるように持ち上げると、メディスは目を覚ました。
***
「あれ?ここどこだ?竜のお腹の中?」
「少なくとも私は食べていないからな」
「いやあれは食べられるかと………あれ?」
そこでやっと今の状況を理解した。目の前にはユーリが穏やかな表情で俺を見つめていた。この姿ということは━━
「全部終わったのか」
「………あぁ」
「よかったぁ」
安心したためか力が抜けていく。まぁ痺れが残ってるからまともに動けないんだけど。
そんなことを思っていると、突然ユーリが俺を抱きしめてきた。
「ど、どうした?俺は君の嫌いな人間━━ 」
「に、人間のお前となど話はしていない!今は魔王様としているんだ!」
顔は見えないけど、なんか怒ってる気がする?
「………すまなかった。色々と」
どんな言葉が飛んでくるかと思ったら、まさかの謝罪だった。俺が呆気にとられていると、彼女はまた話し出した。
「私の無礼な行いを許してくれとは言わない。だから色々な形でこれから償わして欲しい」
「………君はそれでいいのか?」
「もちろんだ。私がこうしたいから言っているんだ。そしてもう一つ言わせて欲しい」
顔は見えなかった。でも、きっと彼女は微笑んでこう言った。
「私を救ってくれて本当にありがとう」
まだ彼女は過去を見てしまうことがあるだろう。でも、これからは今までよりも未来を見て歩いていけると思う。
変わった彼女ともっとふれあいたくて、痺れる身体をなんとか動かして、俺は彼女の背中に手を回そうとした。すると、
フニュン♡
「ん?」
なんだ?手に柔らかい感触が?目線を下ろしていくと俺はあることに気づいた。気づいてしまった。
「!?!?!?」
なんと、ユーリは鎧を着ておらず、生まれたままの姿だった
「な、なん………!」
ここで俺はあることを思い出した。
魔族はユーリやマキのように人間の姿と魔族の姿を持つ者がいる。そんな者のために、魔族の鎧はどんなに使用者が形を変えても、壊れないように魔法が施された特別製なのだ。しかしその魔法が発動するには使用者の魔力が必要になってくる。
もし、ユーリがその鎧を着ていなかったとしたら?竜化が人間の前ではできなかったユーリとしては十分に可能性が………。
「どうした?何かあったの…………」
ピキッと音がするように彼女は固まった。もしかしてユーリも気づいていなかったのか!?
と、とりあえず、今は手を退けよう。俺は今、彼女のおっぱ………胸を触ってしまっているからな。いやでもこのなんとも離し難い感触が………。
「おい」
ユーリがとてもとても低い声で呟いた。
「いつまで触っているんだ?」
すぐさま退けようとしたら、ものすごい力で腕を掴まれ━━ いだだだだだだだ!!!
「退ける!退けますから!早く離してください!!」
「貴様、それだけで許されると思っているのか?私に何か言うことがあるだろう」
何か最初に会ったとき以上殺気を感じる。たぶん普通に謝っても許してくれないだろう。ここは気の利いた一言を!
「大きくて柔らかい、ずっと触っていたくなる素晴らしいものに巡り合わせてくれてありがとう!」
…………あれ?これ、火に油を注いでないか?
「貴様………!!!」
ユーリはワナワナと震え出した。
「ち、違うんだ!俺はただ大きいのはコンプレックスって感じる人もいるから『全然そんな風に感じる必要はないんだよ』的なことを言いたかっただけで!!」
…………いやどっちにしてもアウトじゃないか?
「このッッッッッ!!!」
ユーリは手を振り上げた。ま、まずい!
「待って!謝ります!本当に申し訳ございませ━━ 」
「今更遅いぞこの不埒者がぁぁぁああああああああああ!!!!!!!」
バシンッ!!!
━━ 痛みを感じる暇さえなかった
ユーリの放ったビンタは綺麗に俺の頬にヒットした。ビンタなんて対したことない、って思うだろ?でも彼女は竜人族。全力でビンタで人一人を吹っ飛ばすなんて朝飯前なんだ。
俺は地面と水平に飛んで行った。そこで俺の背中に何かが当たる衝撃が襲った。俺は忘れてしまっていたんだ。ここが森で木が腐る程あると。
俺の身体は木を折り倒しても宙に浮いたままだった。一本、二本、三本、と俺は何本もの木をおり倒していったのだ。散々自然破壊を繰り返した後、大きな大木に受け止めらるようにして俺の身体は止まった。
痺れとは違う意味で動けなかった。
「ま、魔王、ワンパンされちゃった………」
その言葉を最後に俺は気を失った、ガクッ。
ユーリ「………しまった。つい飛ばしてしまった。そんなことより服はどうしようか…………そうだ、あいつのマントを貰おう」
その後マントだけは魔王城に帰ることができました。めでたしめでたし。
メディス「めでたくねぇよ!ていうか俺も助けてユーリさん!!」




