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政略結婚から始まる公爵夫人  作者: 水瀬
第5章 再会と変化の予兆

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106.交流とお茶会

「奥様。お茶会で身につける装飾具ですが、どれにしますか?」

「そうね……」


 落ち着いた声でエストがアクセサリーケースに並ぶ装飾具を見せる。ケースの中にあるものはどれもデザインが繊細で素晴らしい。

 帝国に到着して二日目。シルヴェスター様たちは早速帝国の外交官と会談が始まっていて、私の方も帝国の女性たちと親交を深めるためにお茶会をすることになっていて、現在、お茶会で身につける装飾具を決めている最中だ。


「どれも素敵だけど、ドレスの色と考えたらこれがいいかしら」

「かしこまりました。それではこちらにしましょう」


 しばらく眺めてお茶会で着るドレスと似合うものを一つ選ぶ。これならバランスがいいはずだ。

 選び終えて柔らかいソファーに背中を預けると、エストがこちらを見る。


「お疲れですか? 昨夜はあまり眠れませんでしたか?」

「ううん。眠ることはできたけど昨日のパーティーの疲れがまだ少し残っているみたい」


 案じるような視線と言葉をかけてくるエストに苦笑しながら平気だと告げる。

 長旅だったからか、それとも普段の夜会ではあまりダンスしないからか。シルヴェスター様と踊った後に数人とダンスして疲れてしまった。昨夜もすぐに眠ったのにまだ疲れが残っている気がする。

 加えて、シルヴェスター様の様子がいつもと違ったから気になってしまったけど、今朝は何もなかったように普通だったためよく分からない。


「お疲れなのかもしれませんね。領地の視察に王都で新年の夜会、職人の報告書への対処に家政に関する書類仕事、さらには帝国行きでしたからね」

「確かにこの一、二ヵ月忙しかったわね」


 エストの呟きに苦笑しながらここ数ヵ月について振り返る。確かに領地視察から出発するまで動いてばかりだったなと思う。

 

「今回の訪問は外交の交流に長けたヘルマン侯爵夫人もおられます。無理はしなくてもよろしいかと」

「そうね。ヘルマン侯爵夫人がいるから少し安心するわ」


 エストの進言に耳を傾けて頷く。

 外務大臣の奥方であるヘルマン侯爵夫人は長年外交官の妻として外交を兼ねた場を何度も経験している。今回は使節団のトップである外務大臣の妻として同行しているからこの後のお茶会もヘルマン侯爵夫人が主導で会話するだろう。

 そう考えながらお茶会の会場へ向かうべく、呼び鈴を鳴らして宮殿仕えの侍女を呼ぶと案内をお願いする。

 そして侍女に案内されること十数分。広い宮殿を歩き続けていると目的地へたどり着く。


「ランドベル公爵夫人、こちらよ」

「ヘルマン侯爵夫人」


 気付いたヘルマン侯爵夫人が柔和な微笑みを浮かべながら隣の席を勧める。なので隣の席へ着席する。

 その後も数人が入室し、全員が揃うとお茶会の主催者である皇后陛下が口を開く。


「ウェステリア王国の皆様、ようこそお越しくださいました。本日はどうかお楽しみくださいませ」

「ありがとうございます。こちらこそ、このような交流の場をご用意してくださり大変嬉しく思います」


 流暢にウェステリア語で歓迎の言葉を述べる皇后陛下にヘルマン侯爵夫人が代表して挨拶を返す。相手がこちらの言語で話しているのなら本日のお茶会はウェステリア語で話していいことだ。

 ヘルマン侯爵夫人の丁寧な挨拶に、皇后陛下と皇弟妃であるアンネローゼ妃殿下が微笑む。

 

「今日は両国の親交がさらに深まるようにとどちらのお茶菓子も用意したの。ぜひ味わって」


 笑いながらアンネローゼ妃殿下が告げる。アンネローゼ妃殿下の言う通り、テーブルには帝国とウェステリア王国のお茶菓子が並べられていて色鮮やかにしている。


「帝国ではここ数年、このお茶菓子が流行っているのよ。嫁いでからも母国のお茶菓子が食べられるなんて嬉しいわ」

「まぁ、我が国の伝統菓子が人気とは。喜ばしいことです」


 アンネローゼ妃殿下がウェステリア王国のお茶菓子を示しながら告げるとヘルマン侯爵夫人が柔和な笑みを浮かべながら言葉を返す。

 話しを聞きながらそっと帝国側の女性陣を観察する。お茶会にいる帝国の女性陣の年代は幅広く、みんなこちらに友好的な笑みを浮かべている。昨夜の歓迎パーティーでも思ったけど、友好的な関係を続けようという姿勢が感じ取れる。


「ウェステリア王国では最近クグロフが人気なのですよ。以前、メデェイン王国の使節団のお持て成しで用意したところ、王太子妃殿下に他の夫人たちもお気に召して。もちろん、王妃殿下も大変気に入っておりますわ」

「メデェイン王国の王太子妃殿下も? ふふ、帝国のお茶菓子が遠い国でも気に入られるなんて嬉しいです」


 ヘルマン侯爵夫人が帝国のお茶菓子であるクグロフに目を向けて告げると皇后陛下が微笑む。やっぱり何度も外交を兼ねた場を経験しているからか堂々としている。私もヘルマン侯爵夫人の立ち振る舞いや話術を見習わないと。


「第三劇場について耳にしたのですが、今は何が開催されているのですか?」

「現在は歌劇が行われていますね。古くから帝国で上演されている作品なのですが、ランドベル公爵夫人もご興味が?」

「そうですね。定期的に友人と観劇をしているので気になりまして」


 問いかける帝国の女性貴族に微笑みながら答える。どうやら今は歌劇が行われているらしい。帰国したらシャーリーに教えよう。


「そういえばウェステリア王国は最近ソヴュール王国の品が増えたとか?」

「王妃殿下との婚姻で一部の関税が緩和された影響ですね。おかげで王都は以前より品数も増えて活気が増えましたわ」

「帝国はお茶菓子の種類が多いですね。色鮮やかで味はもちろん、視覚でも楽しめるのが素敵ですね」

「帝国は砂糖の生産に適した土地が多いので甘味を作りやすいという環境があるのが魅力的ですね。そのため、貴族以外の人でも食べる機会が多いのですよ」

「まぁ、そうなのですか? 帝国は最近は女性の社会進出も進んでいると聞きましたが、詳しく教えていただいても?」

「ええ。まだ帝都に大都市と一部なのですが、女性の活躍の場が少しずつ増えてきており──」


 そして皇后陛下やアンネローゼ妃殿下を始めとする帝国の女性たちと自国で人気を高めている品物に書物、気になる話題にさらにはオススメの場所など、お互いに色々な話を語り合って親交を深めた。




 ***




「茶会は何事なく終わったか?」


 夜。お茶会が終わって客室で夕食を摂っていると、向かいにいるシルヴェスター様にそう問いかけられる。

 

「はい。ヘルマン侯爵夫人が主導で受け答えしてくれたので。帝国の女性陣も好意的で、色んなお話しができて楽しかったです」

「そうか。困ることがないのならよかった」


 お茶会について述べると向かいにいるシルヴェスター様が口許を和らげる。その発言から気にかけてくれていたようで嬉しくなる。


「お話を聞いて帝都の図書館か気になったのですが、シルヴェスター様は訪れたことありますか?」

「滞在中に数回訪れたことあるな。蔵書の数が多くて本好きにはいい場所だろうな」


 尋ねると思い出すように語る。その話から元々気になっていたけど、さらに興味が芽生える。


「そうなのですね。他にも帝都のオススメの場所も教えてもらって、帝国側との予定がない日にでも散策したいなと思うのですがよろしいですか?」

「構わない。ただ、帝都は治安がいいが護衛としてエストとレナルドも一緒に連れていってくれ」

「分かりました」


 護衛について口にするシルヴェスター様に頷く。初めて訪れる場所だから護衛はいた方がいいだろう。

 そしてシルヴェスター様とお話しながら帝国料理を味わった。

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