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第十四話

「シュバルツ様、私は――」


 シュバルツ様に二度目のプロポーズをされた私は何とか返事をしようと口を開きます。

 彼の気持ちは嬉しい。それは間違いないのですが、上手くその喜びを言葉にすることが出来ません。


「み、認められない! 認められないわよ! ミネア……、あんたが私を差し置いて幸せになるなんて!」

「うおっ!」

「な、何という力だ……!」


 ジルは私を睨みつけて、怒り心頭の表情で自らを取り押さえているシュバルツ様の護衛を吹き飛ばします。

 体からは聖女にのみ許される黄金の光属性の魔力が噴出されており、神々しい光を帯びたジルは明らかに私への殺意を孕んでいました。


「ここにいる全員を殺してしまえばいい。目撃者も全て殺す。そうすれば、私の罪を問う者は誰も居なくなるわ! あはははははっ!」


 体が浮き上がるほどの大量の魔力の放出。

 アウルメナス家の歴史の中でも随一の才能と言われたジルの全力は人間の限界値と言っても良い程でした。

 バカな妹はこの場の全員を殺して言い逃れが出来ると思っている……。


精霊の加護(マナバースト)……!」


 精霊術を使って私は自らの魔力量を高めます。

 ジルの目を覚まさせるぐらいの力を得るために。

 姉として、彼女を止めなくては。それこそ私は何のために努力したのか分からなくなります。


「はぁ? 何それ? ミネア姉さんってば、雑魚魔法士以下の存在のクセに私とやり合おうっていうのぉ? あはははは! ナメんじゃないわよ!」


 ジルは手を天井にかざして、黄金の光の刃を大量に空中に浮かべました。

 あれは彼女の得意技の「聖刃(セントスライサー)」。名工の作った剣以上の切れ味を誇る聖女特有の魔法です。


「串刺しにしてやる! あんたさえ生まれて来なければこんなことにならなかったんだからぁ!」


 二十本以上ある大量の光の刃が一斉に私目掛けて飛んできます。

 ジル、私だって生まれて来なければと何度も思ったわ。

 でも、今は違う。ここで死ぬわけにはいかない――


神の息吹(ゴッドブレス)……!」


 精霊術の奥義とも呼べる圧縮した大量の魔力を放出する大技を私は放出します。

 超高濃度の魔力は如何なる魔法も消失させる効果があり、ジルの「聖刃(セントスライサー)」を一瞬にして消し飛ばしてしまいました。


「な、な、な、なんで……、なんで姉さんなんかが私の魔法を――」


 ジルは自分の魔法が消されたことに驚きを隠せずにいます。

 無理もありません。あの子は今までずっと私のことを無能な姉だと蔑んでいたのですから。


「ジル、悪あがきは止めなさい。あなたの魔法は私には効きません」


「魔法が効かない? そんなことあるはず――」

「無駄です……」

「きゃっ――」


 再び手のひらに魔力を集中させて魔法を使おうとしたので、私は彼女の腕に直接魔力の塊を当てて弾き飛ばしました。

 ジル、あなたを私は止めます。容赦をするつもりはありません。


「何でこうなるの? ミネア姉さんなんかに私が……」


「もう素直に降伏なさい。ジルだって本当は分かっているのでしょう? 私に勝てないと……」


「そんなの認めるはずないじゃない! 私は死んでもあんたに負けなんて認めない! うわあああああっ!」


 目を血走らせて私に突っ込んでくるジル。

 死ぬ気で全部の魔力を爆発させる気でいます。

 あの子の魔力を全て爆発させれば、この王宮にもかなりの被害が――。

 私はそれを察して彼女の懐に潜り込みました――。



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