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アークブレス  作者: 灰皿
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第二部 第6話:影の使者との初遭遇

松阪市の夜は静かだった。

街灯が淡く光り、虫の声が響く。

しかし──その静寂は突然、破られた。


研究室の警報が鳴り響く。


「また反応……!?」


凛がモニターを操作しながら叫んだ。


「影の文明のエネルギー反応が急激に増大してる!

 しかも……この近く!」


翔は拳を握りしめた。


「来たんだな……影の文明の使者が」


リュミナは光を揺らしながら翔の隣に立つ。


『翔。

 影の力は光とは違います。

 “存在そのもの”を侵食します。

 油断しないでください』


翔は頷き、研究室の扉を開けて外へ出た。



研究室の前の道路。

街灯が一つ、また一つと消えていく。


「……なんだこれ」


空気が重く、冷たい。

まるで世界そのものが“薄く”なっていくような感覚。


その中心に──

黒い影が立っていた。


人の形をしているが、輪郭が揺らぎ、

まるで“存在が定まっていない”ようだった。


影はゆっくりと翔へ顔を向けた。


『……光の民の末裔……』


声は低く、響き、

空気そのものを震わせるような重さがあった。


翔は一歩前へ進む。


「影の文明の使者か?」


影は静かに頷いた。


『我らは“影の王”の使者。

 光の文明が封じた力を……解き放つために来た』


リュミナが震える声で言った。


『翔……この存在……強すぎます……!

 光の文明の精霊である私でも……輪郭が揺らぐ……』


翔は拳を握りしめた。


「……ここで止める」


影はゆっくりと手を伸ばした。

その手は空気を歪ませ、

触れた街灯が“存在ごと”消えた。


翔は息を呑んだ。


「……消えた……?」


凛が研究室から叫ぶ。


「翔!

 影の力は“存在干渉”よ!

 物質を消すんじゃなくて……“存在を否定する”の!」


影は翔へ向けて手を伸ばした。


『光の民の末裔よ……消えよ』


その瞬間──

翔の腕に装着された アーク・ネオ が強く輝いた。


『翔!

 存在干渉を防御します!』


光が翔を包み、影の力を弾いた。


影は初めて驚いたように揺らいだ。


『……光の守護装置……再誕したか……』


翔は前へ踏み出した。


「アーク・ネオがある限り……俺は消えない!」


影は静かに手を下ろした。


『……なるほど。

 光の文明はまだ死んでいないらしい』


翔は拳を構えた。


「戦う気なら……来い!」


影は首を振った。


『今は試練にすぎぬ。

 光の民の末裔がどれほどの力を持つか……確かめただけだ』


翔は息を呑む。


「試練……?」


影は空気に溶けるように消えていく。


『次は“影の王”が来る。

 その時……世界は形を変える』


翔は叫んだ。


「待て!!」


しかし影は完全に消えた。



静寂が戻る。

街灯は消えたまま、

空気はまだ冷たい。


凛が駆け寄ってきた。


「翔……大丈夫?」


翔は深く息を吸い、ゆっくりと吐き出した。


「……影の文明の使者。

 あれは……第一部の敵とは次元が違う」


リュミナは震える声で言った。


『翔……影の王が来たら……世界が本当に“書き換えられます”』


翔は拳を握りしめた。


「……なら止めるしかない。

 影の文明がどんな力を持ってても……

 俺たちで止める」


アーク・ネオの声が静かに響いた。


『翔。

 影の王との戦いに備え、

 あなたの“存在干渉能力”を強化します』


翔は頷いた。


「……行こう。

第二部の本当の戦いは……ここからだ」


影の文明──

光の文明が恐れた“原初の力”が、

ついに姿を現した。

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