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アークブレス  作者: 灰皿
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第二部 第2話 凛との再会

光の記録領域から現実世界へ戻る扉をくぐった瞬間──

翔は眩しい光に目を細めた。


「……ここは……」


見覚えのある街並み。

松阪市の空は、あの日と同じ青さで広がっていた。


新しい肉体は軽く、しなやかで、

まるで世界と同調しているような感覚があった。


『翔。あなたの肉体は古代文明の技術で最適化されています。

 以前よりも強く、耐久性も高い』


アークの声は、もう腕輪からではなく、

翔の心の奥から響いていた。


「……戻ってきたんだな、俺」


胸の奥が熱くなる。

守りたい世界へ、帰ってきた。



翔は街を歩きながら、ある場所へ向かった。


白峰凛の研究室。


あの日──

翔が消えた場所。


研究室の扉は閉じられ、

中からは機械音だけが微かに聞こえていた。


翔は深呼吸し、扉をノックした。


「……凛。俺だよ」


静寂。


次の瞬間──

扉が勢いよく開いた。


「……え?」


白峰凛が立っていた。

目を見開き、息を呑み、

その場で固まっている。


「矢本……さん……?」


翔は微笑んだ。


「ただいま、凛」


凛の瞳が揺れた。

震え、涙が溢れ、

彼女は翔へ駆け寄った。


「……嘘……嘘でしょ……!

 だって……あなたは……!」


翔はそっと凛の肩に手を置いた。


「死んだよ。

 でもアークが……俺を守ってくれた。

 古代文明の技術で、俺は……戻ってきた」


凛は涙を流しながら翔の胸に顔を埋めた。


「……よかった……本当に……よかった……!

 あなたがいなくなってから……私……ずっと……!」


翔は優しく凛の背中を撫でた。


「心配かけてごめん。

 でももう大丈夫。

 俺は戻ってきた。

 世界を守るために」


凛は顔を上げ、涙で濡れた瞳で翔を見つめた。


「……本当に……あなたなんですね」


「うん。

 心はそのまま。

 臆病で、怖がりで……でも守りたいって思ってる俺だよ」


凛は笑いながら泣いた。


「……臆病なんかじゃありません。

 あなたは……世界を救った英雄です」


翔は照れくさそうに視線を逸らした。


「英雄なんて柄じゃないよ。

 でも……守りたいものがあるから、戦うよ」


凛は翔の手を握りしめた。


「……また一緒に戦えるんですね」


「もちろん。

 俺はもう逃げない。

 凛と、リュミナと……アークと一緒に進む」


凛は静かに頷いた。


「……待っていました。

 あなたが戻ってくるのを」


翔は深く息を吸い、研究室の中へ足を踏み入れた。


その瞬間──

アークの声が鋭く響く。


『翔、凛。

 新たなエネルギー反応を検知しました。

 オルド・レムナントとは異なる……未知の反応です』


凛は息を呑む。


「未知……?」


翔は拳を握りしめた。


「……第二部の敵ってことか」


アークの声は重く、緊張を帯びていた。


『翔。

 あなたが戻ったことで、世界は新たな段階へ進みました。

 “新世界の脅威”が動き始めています』


翔は凛の手を握り返した。


「……行こう、凛。

 俺たちの戦いは、まだ終わってない」


凛は強く頷いた。


「ええ。

 あなたとなら……どんな未来でも戦えます」


翔は新しい肉体で、

新しい世界へ向けて歩き出した。

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