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面接

大学院を修了してから、どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。


俺は子供の時に軽蔑していたような人間になってしまった。


しかし、そんな生活にももう慣れた。




そんなある日、大学時代の先輩からメールが来た。




「明日の午前9時にここに来い」




文章はこれだけ。後は住所が書かれた簡素なメールだった。


理由を聞こうとしたが、やめた。先輩のことだから答えてはくれないだろう。そういう人なのだ。


 次の日、着いた場所は東京都文京区のビルだった。ビルといっても荒廃していて、植物が荒れ放題である。


「文京区にもあるんだよな、こんな建物が...」




恐る恐る、大きな門を引くとパイプ椅子に座って、新聞を読んでいる大柄な男がいる。


「何の用ですか?」


「このメールを見てきました」


「どうぞ」




男が指さした方向にはエレベーターがある。この空間にはそれしかなかった。


「この建物は何ですか?」


「行けばわかるよ、坊や」


男は笑いながら新聞を開いた。




エレベーターには下ボタンしかない。


僕は下ボタンを押した後、扉が閉まると唐突に不安になってきた。何か空気が変化したような気がした。青い風が吹いているような感覚があった。それに待ち時間が異常に長い。


「一体、地下何階にいるんだ。」


沈黙に耐えられず、ぽつりと独り言がこぼれたが、もちろん返事はない。どうにか逃げたいという気持ちが沸々と湧き上がる。しかし、エレベーターには下ボタンしかないし、どうすることもできなかったのだ。




部屋につくと、現代的な白い空間が広がっていた。そこには男が五人いる。四人は座りながらこっちを見ている。立っている太っちょのおじさんが俺に向かって言った。


「遅いぞ!」


「すみません」


「座れ」




僕が座るのを待つまでもなく、男は話し始めた。


「君たちはエリート中のエリート、この中から1人だけを選ぶ。知能明晰、心身健全...」


俺は椅子に座るとすぐに手を挙げた。訳が分からない。不安で仕方がないのだ。


「あの、私は何でここに呼ばれたんですか?」


隣に座っている男が手を挙げる。


「答えろ」


「はい!私たちはエリート中のエリートであり、理性の導き手であります!あらゆるものから文明と文化を保護し、自分の理性を正しく使えない未成年状態の者の脱却を手伝うことが役割であります!」




俺は思わず、吹き出してしまった。緊張が一気にほぐれたような感覚だ。絶対に笑ってはいけない空気感がさらなる笑いを呼ぶ。デブ男がいぶかしげな表情で問いかける。


「何がおかしい?」


「エリート中のエリートなのでありますってww答えになってないしww」


俺は彼の物まねをしながらもう一回言った。


「エリート中のエリートなのであります!駄目だww」


二つ隣の男が手を挙げ、怒鳴るように言う。


「彼は間違っていない!我々がこの面接に呼ばれたのは我々が選ばれた人間だからだ!」


「選民思想ですよね、それは。俺がおかしいですか?」


「服はおかしいな」


デブが半笑いで言った。


「確かにww」


あまりの緊張と笑いのせいで気が付いていなかったが、一方で周りの人間は全員スーツや軍隊の制服のようなものを着ていた。他方で、俺は先輩と遊びに行くくらいの気持ちだったため、アロハシャツに半ズボンだった。




「完全にアウェイみたいですし、もう帰りますね。」




俺はエレベーターに戻ると、ボタンを押そうとしたが、相変わらず下ボタンしかない。


「どこから帰れますか?」


「よし、あっちだ」


俺は示された方向にある扉から部屋を出て、廊下に出ると、入れ替わりで細身の男が部屋に入っていった。細かいことは気にしないことにした。触らぬ神に祟りなしだ。一刻も早くこの不気味な建物から脱出したい。俺は速足で迷路のような廊下を進んだ。


 そのころ、元居た部屋の中には二人の少女が話をしていた。




「本当に何も聞いてないだね」


「そうみたいだね♡それでどうなのぉ♡」


「んー、悪くはないかな。」


「まだ決め手はないんだね♡」


「うん。」


「それじゃ♡ちょっと意地悪しちゃおうかな♡」

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