〈TURN-13〉ミア、愛海、ルカ。ゲーミングチームを結成する。
――ミリオンダイス参加資格を賭けた、サイコロゲーム『ヨット』は私達の勝利で終わった。
これにより、ミアさんが付けている方位サイコロ『ディレクション・ダイス』から、参加する際に使われるボードマップや資金の口座が開設される。
そしてその口座から、ヨットに勝利した賞金の100万ドルが自動振り込みされていた。
『これで100万ドルは貴女達のもの。しかしこれはゴールではなく、始まりです。これからミリオンダイスでは億、兆を超える額を賭けた戦いもあります。その金を生かすも殺すも、貴女達の運命と戦略に掛かっています。くれぐれも悔いの無い選択を』
Mr.Mは、ミリオンダイスに挑む私達に丁寧に注意喚起を促す。
更に流れるように彼が、ミリオンダイスを挑む際に頭に留めておくべき基礎ルールを教えてくれました。それが、これです。
――――――――PLAY GAME――――――――
☆ゲームワールド・ビッグボードゲーム☆
【ミリオンダイス―MILLION’$ DICE―】
・基礎ルール
・ゲームワールドオンラインの各エリアを舞台に、4組以上のチームで総資産額のノルマを競い合う。
・ディレクション・ダイスのサイコロ2つを振ってエリア内のマスを進み、マスに設置されたゲームに挑む。そのゲームはボードゲーム、ミニゲーム、レトロゲーム等ジャンルに問わず。
・ゲームにクリアすれば、賞金が獲得されて総資産額は増えていく。リタイアしたらマスに指定された金額を支払う。
・マスのゲームをクリアすると、そのマスの“所有権”を得ることご出来る。相手がそのマスに入ると、指定された金額を支払わなければならない。また自分が再び入ると、そのマスの指定金額を2倍上げることが出来る。
・目標金額に達し、ゴール地点である【銀行マス】に止まることが出来れば、ゲームの勝利チームとなる。
・チームの総資産額がゼロ以下になった瞬間【破産】となり、ゲームオーバー。2度とミリオンダイスの参加資格を得れなくなる。
―――――――――――――――――――――
『勿論、指定された目標金額はエリア毎に大きく異なります。とにかくミリオンダイスで肝心なのは、如何に総資産額を残しながら【破産】せずに生き残れるか、という訳なのです』
破産すれば一巻の終わりのこのゲーム。お金を稼いで、貯めて、相手に支払わせての三拍子。その中でお金をどう活かすかが鍵を握ります。
しかもミリオンダイスの公式ゲームはランク制で、マッチングする事で参加する4組がランダムで決まる。対戦相手にカモられれば、破産の危険性も高くなる。最初から緊張感爆上げで挑まねばなりません。
『――基礎ルールの説明はここまでです。今後分からない事があれば、何なりと私Mr.Mにお申し付け下さい。では、ご武運を!』
Mr.Mさんがディーラーらしく、深々とお辞儀して私達に挨拶を交わし、ディレクション・ダイスから出るVR映像は途切れた。またゲームをしていけば会えるでしょう。
⚀⚁⚂⚃⚄⚅
――命からがら島に着き、今度は借金免れゲームに勝って、涙の島『ティアーズアイランド』を去る時が来ました。
この島のエリアアクセスが非常に厳重である為、容易に転送も出来ず、毎日15時頃に出発する定期便の船で帰るしかありません。
その定期便が出発するまで後10分程、島の船着場まで歩く私達三人は、今後の活動について話し合っていました。
「……それで? ミリオンダイスに挑んで、どんな夢を叶えるつもり?」
「何ですか、愛海。藪から棒に」
「だって、ミアがただ戦争を止める為だけに金を稼ぐとは思えないもん。投資家なんだから、それなりの欲とか野望とかあるでしょう?」
「野望って……、私は悪の幹部じゃないんですから」
「ミアさん、夢が無いんですか……?」
「えっ!? ……いや、あの……」
ミアさん自身が、ミリオンダイスに参加する際に抱いていた夢が確かにありました。現時点ではまだ愛海さんや私に言うつもりは無かったのでしょう。
しかし私が、純真な眼でミアさんに尋ねたものですから、本人は狼狽えながらもその夢を、愛海さんと私にカミングアウトするのでした。
「……ありますよ! 私にもちゃんとした夢が! !
私は―――この、『ティアーズアイランド』を買いたいんです!!!」
「か……買う???」
億万長者になる夢を抱くと、ここまで理想は高くなるのか、或いは凡人には考え付かない思考に辿り着いてしまうのか。
愛海さんは何でそんな夢を持ったのか、理解に追い付かないまま目が点に。しかしミアさんは、ちゃんとした理由があっての事でした。
「実はこの島、何処かの組織から買収されるって話を聞いたんです」
「買収って……このエリアを?」
ゲームワールドのエリアは、WGCというVRMMOの組織機関によって管理されています。
その中には業者や億万長者による投資によって、エリアを買い取る事も出来るという。数あるエリアの中で、買収されたエリアは2割程。
この『ティアーズアイランド』も、その買収が騒がれている事をミアさんは知っていました。
表向きは“平和事業”と称してますが、教科書にも載っていない戦争の真実を映した『鎮魂の祠』を狙ってるのではないか、と有識者が語るほど危うい状況になってました。
「負の遺産とはいえ、あの祠に残された戦争の記憶は、誰一人汚してはならないのです。だから誰かに奪われる前に、この島を私達が買い取りたいんです!」
ミアさんは本気でした。あの戒めの記憶を目の当たりにして、より一層平和への想いを強めた事により、ミリオンダイス参加への一大決心をした彼女。
勿論愛海さんも同じ思いであり、同じく祠で涙した者同士、ミアさんの夢を理解し、更にその夢を広げていく。
「……じゃあ買い取って護るだけじゃなくて、皆にも知って貰おうよ! 戦争が如何に馬鹿馬鹿しいのか、平和が何よりも素敵って事を!」
「それは……この『ティアーズアイランド』を、皆にも公開していくって事ですか?」
ミアさんは直ぐに愛海さんの意図を読み取った。
鎮魂の祠のデータを悪用させない為に、厳重なアクセス制限をしているエリアを一般公開させて、解放しようとする愛海さん。
一度は“浅慮的”だと考えたミアさん。しかし、ある偉人の言葉が頭に過ぎりました。
【平和は力では保たれない。平和はただ理解し合うことによってのみ、達成されるのだ】
「アルバート・アインシュタインの言葉に、そんなのがありましたね。分かり合えないと、真の平和は果たせない……ですか」
「あいんしゅた……? 確か舌出してる変なおじちゃんだっけ?」
「後で辞書込みで教えます」
愛海さんにアインシュタインの知識は皆無だったとして、それでも彼女の考えに一利あると感じたミアさん。自分の知識や考え方を押し付けず、否定せず、彼女の意思を尊重した。
「やはり、一人の力じゃ夢は叶えませんね。愛海、ルカ。こんな私ですが……私の夢、一緒に叶えてくれますか……?」
ミアさんから差し伸べる暖かな右手。私と愛海さんは躊躇わず、しっかとその手を握って、頑なな意思を共有しあいます。
「あたし、ミアと何処までもついて行くよ。貴女の強い意志、絶対無駄にしない!」
「私も……行かせてください! 私の知らない世界を、二人と一緒に!!」
「ありがとう……! これで、私達は一つのチームです!!」
ミア、愛海、ルカで、三つの魂が今一つとなりました!
涙の島の下で、平和を守り抜くゲーム戦士となるべく立ち上がった、ゲーミングチームとなって!!
「チーム名、どうしようか?」
「海に纏わるものにしませんか? 一人マーメイドも居ますし」
「“マーメイド・レディーズ”にする?」
「何かシンプル過ぎますね」
「“マリーンズ”とか?」
「千葉の野球チームになっちゃいます」
「“戦火の乙女”」
「海要素何処行った??」
「―――波……」
ミアさんと愛海さんがチーム名で揉めている所で、ボソッと私が呟きました。
「波、に纏わる名前が良いと思います。なんかこう、ゲームに波を起こすとか、荒波起こしちゃうぞーみたいな……」
自信無さげにしどろもどろになる私。しかし二人はその案に賛成し、その幅を更に広げていきます。
「波……“ウェーブ”ですね」
「良いかも! どーせならカッコいいのも付けたいよね。ビッグウェーブとか、ブルーウェーブとか……」
そして、ついに……!
「荒波……いや、新波! そうだ、【NEW WAVE】ですよ!!」
ミアさんの閃きから造語で、私達のゲーミングチーム名が決まりました!
「「ニューウェーブ?」」
「そうです、ミリオンダイスのボードで“新しい波”を引き起こすチームになるんです! 私達のゲーミングチームは―――【ニューウェーブ】です!!」
ゲーミングチーム・ニューウェーブ、結成!!
知性と直感と純真な心を持って戦う海のゲーム戦士が、ミリオンダイスでどんな波を引き起こせるのか?
公式ゲーム開催まで数日の猶予を与えられた私達。今は船に揺られ、電脳海を渡るは私達三人。
涙の島に別れを告げて、向かうは半か丁かのサイコロ道。
――賽は投げられた。後戻りは出来ないミリオンダイスへ、果てしない電脳の海が誘う……!!
「私達が絶対に……平和を守るぞーー!!!」
「「おおおーーーーーっっ!!!!」」
一攫千金の果てしない双六旅が、今始まる!!
⚀⚁⚂LET'S GO TO THE NEXT PHASE!!⚃⚄⚅
⚀NEXT TIME MILLION$ DICE⚅
ミリオンダイス公式ゲーム参加までの3日間、ミアさんと愛海さんは一旦現実世界に戻り、そこで改めて二人は再会します。
その場所はなんと、千葉県の海浜幕張にあるミアさんが経営するボードゲームカフェ!
そんな中、ミリオンダイス界ではある悪党集団によってゲームを妨害されるという事件が起こってました……!
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次回も『ミリオンダイス』でお会いしましょう!byルカ




