第1章 第1話 ジェスト
ぱんぷ菌です。どうかよろしくお願いします。
ここは辺境の地、ダーテ。のどかな自然と人々が共存している。所謂田舎であった。
しかしそんな辺境の地だというのに、ある日を境にダーテは急速な発展を遂げ、沢山の人々でごった返し、活気に溢れていった。
その原因はダンジョンにある。
ダンジョンというのは、この世界に無数に存在していると言われる謎の建造物である。誰がどうやって造ったのか、又は自然にできたものなのか、未だにその謎は解明されていない。
ダンジョンは人々の生活や発展に貢献してきた。ダンジョン内部にある鉱石や魔物などの素材、これらは人々に多大なる利益や魔族との戦争の勝利への可能性を齎した。
そんなダンジョンに潜ることを生業としている、冒険者という者たちがいる。その冒険者のうちの一人が、ジェストだった。
ジェストは泊まっている宿で、装備やアイテムなどを点検する。そんなジェストの髪はボサボサで、手入れされていないのが分かる。せっかくの銀髪が台無しである。装備は至って平凡な軽装で、薄汚れてはいるが、しっかり入念に手入れされている。腰に提げているのはロングソードで、こちらも入念に手入れされている。
ジェストはその他の支度を済ませ、宿を後にした。冒険者の朝は早いのだ。
見慣れた道を歩くこと約10分。ジェストは《ダーテダンジョン》に着いた。朝だというのにも関わらず、ダンジョン前は冒険者や商人などで溢れていた。
(行くか)
ダンジョンに入ると長い螺旋状の階段が上へ上へと続いている。ジェストはいつも通り階段を一歩、また一歩と登っていく。
ダンジョンの入口付近なので、ほかの冒険者も多い。剣と剣が当たってカチカチと音が鳴り、どこからか談笑も聞こえる。
だが、ジェストが階段を登るにつれて、その談笑は小声に変わった。やれまた来ただのやれ早く辞めろだの、言いたい放題だった。ジェストはいつもの事なのでスルーする。
ようやく階段を登り終わると、そこにはとても建築物の中とは思えないような、非現実的な場所があった。茂る草、ざわめく森、澄んだ川、そして遠くに見える大きな山々。
初めて見るものが見れば、危うく卒倒することだろう。しかし慣れとは怖いもので、ジェストやほかの冒険者は別段気にしなくなっていた。
今日もジェストは、このダーテダンジョン一回層で活動する。ダンジョンは何回層かに分けられており、上に行くに連れて出現する魔物も強くなる。その分レアな鉱石や素材などが手に入りやすくなるが。
(一回層でこの広さ…改めて考えると馬鹿げているな)
ジェストは初めてダンジョンに潜った日の事を思い出し、このダンジョンの奇怪さに疑問を抱く。
(まあ、今考えてもしょうがない)
ジェストは切り替えて、森の方に歩き出した。目的は、今日の分の生活費を貯めること。その為には、魔物の素材が1番効率がいい。一体倒すだけで、その日の生活費の三分の一は稼げる。
(…いたな。灰狼)
灰狼とは、その名の通り、灰色の毛並みを持った狼型の魔物である。危険度は差程高くなく、ダンジョン初心者でも油断さえしなければ、簡単に倒せる魔物である。
ジェストはすぐさま見つからぬよう茂みに隠れ、腰に下げているロングソードに手をかける。
(今だ)
灰狼がジェストに背を向けた瞬間、ジェストが剣を抜きながら灰狼に飛びかかる。
「ギャウン!?」
灰狼は音に驚き振り返るも、時すでに遅し。背中をざっぱりと斬られてしまった。灰狼は血をどくどくと流し、その場に倒れ込んだ。
「…死んだか」
起き上がってくる気配はない。一応脈を確認するが、止まっていた。討伐成功だ。
ジェストは慣れた手つきで灰狼の皮を剥ぎ、血を抜き、牙を抜く。魔石の回収も忘れない。魔石というのは、魔物の体内で形成される魔力が濃縮、更に圧縮され、固形化したものだ。強い魔物ほどより強力な魔石を持っていて、歴史上1番大きな魔石は何年も遊んで暮らせるような額になったらしい。魔石は人々の暮らしに欠かせない。灯りをつけるにも、水を出すにも魔石が必要だ。
(次だ)
ジェストは灰狼の解体を済ますと、次の獲物を探しに行くのだった。




