6.俺の金がァ
――ダッダッダッ
ギャンブラーの少年に冤罪を吹っかけられた俺、タケシは、黒服をきた屈強な男達に迫られていました。
「へい、坊主。お前、この店を貶していただろ?」
「け、貶してなんかいませんよ!! てゆーか、俺ここに来たばっかりなんですけどー!!
貶してたのはアイツだって!!」
俺はそう言うと、ギャンブラーの少年に指を差した。
しかし当の少年は、シラを切るかのように、口笛を吹いていました。全く上手く吹けていませんでした。
「嘘をつくな、クソガキが! 大体、人に向かって指を差すなんて、礼儀知らずにも程があるぞ、このクソガキが!」
え、えぇーー!? さっきはあのギャンブラーの少年の言葉を真に受けてたじゃん……!
しかも、あの少年も俺と同じように指差してたじゃん……なんで俺だけェ!?
てゆーか、なんで二回もクソガキって言ったの!?
貴方こそ礼儀知らずでしょうが!
俺はそんな事を思い、ぽけーっとした顔になりました。
「い、いやっ……あのっ、俺は……」
「言い訳は無用だ! 罰金、しっかり払ってもらうぞ!」
「ひょえ〜……」
こうして俺は、持っていたお金の一部を黒服達に持って行かれました。
「な、なんで俺が……俺何もしていないのに……」
悲しみにくれた俺は、半泣きになりました。
すると、ギャンブラーの少年がコチラに近づいて来ました。
「いやー、助かったよ。ありがとな!」
近付いて来てそう言うや否や、少年は立ち去りました。
冤罪を吹っかけられたのにこの扱いとは、流石の俺も黙っては居られません。
「そ、それだけェ!? お、おま、ちょっと待てよ!」
すると、少年はビクッとなり、立ち止まりました。
やはり、彼にも罪悪感があったのでしょう。
「……ん? カジノに行く仲間でも居ないのか? 俺が一緒に行ってやろうか?」
……ちがーう! そうじゃなーい! 駄目だ、コイツ、アホだ!
だけど、やはり一人でカジノに入るのは少し勇気がいる。
そう思った俺は、溜息をつきながらもこう言いました。
「ハァ……。そうだよ、そうですよ。一緒に行く人が居なくて困ってるんですよ!」
「そうかァ! じゃあ、一緒に行こうぜ!」
少年はニマリと笑い、言いました。
かくして俺は、謎のギャンブラーの少年と一緒にカジノに行く事になりました。
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