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エピローグ   第一王子 そのに

 王宮の舞踏会で公爵令嬢が第二王子に婚約破棄を宣言した。俺は間近で見ていた。

 かわいそうにな。第二王子の罠にかかったのかと見ていた。しかしこんな場所で公爵令嬢から婚約破棄するのは意外だった。

 第二王子と言う婚約者がいるのに伯爵令息に言い寄り、公爵家の権力で婚約破棄させて自分のものにしようとしたことで、第二王子から婚約破棄されるはずだった筈だ。


 また思ったより公爵が早く亡くなったため、伯爵令息は公爵令嬢と婚約しないで済んだ。あまりに丁度よく亡くなった公爵は、誰かの手によるものかもしれない。

 公爵令嬢は今領地の片隅の邸に閉じ込められていると言う。




*********




 あれから第二王子と第一王女は婚約した。俺達は学園を卒業した。卒業したら第二王子と第一王女の婚姻が結ばれる。伯爵令息は去年子爵令嬢と再婚約して、お互いの卒業を待って婚姻した。二組は収まるところに収まったのだろう。


 さて、そろそろ俺と王妃の番だ。



 意外なことに王に呼ばれた。

 俺と王妃は国外追放だと言う。すでに隣国の王とは話がついていて、不義密通の証拠もあり、食糧を援助する条件で、隣国で受け入れてくれるそうだ。

 この国は帝国と条約も結んでいるし逆らうことなどできないだろう。


 王妃は不義密通の罪があるが、そなたは巻き込まれただけだ。国外追放だけで隣国で亡くなった護衛騎士の爵位と遺産を受け取れると言われた。

 何か希望はあるか言われたので、公爵令嬢を婚約者として連れて行きたいと言った。

 王は驚いたが、本人が承知したらいいだろうと言った。

 美しいものに異様に執着をしていた公爵令嬢が無骨な俺について来たいと思うとは思えないが、このままこの国で拘束されているより自由になるだろう。公爵令嬢はいやだろうから、本当の夫婦になる必要もない。婚姻をして身分を保証するから好きにしてくれていい。



 一度、公爵令嬢に会えることになった。隣国に帰って騎士団に入ることになった。子爵位だが生きていくには困らない。一緒に行ってくれないかと言ったら、驚きで目をむいた。

 本当の夫婦になる必要もない。婚姻をして身分を保証するから好きにしてくれていい。

 ここで拘束されているより自由にできる。

 それでどうだろうと聞く。


 あなた美しくないわね。と言うので、俺には美しさは無いが美しさは生きていくのに必要ないだろう。いつかは老いて衰える、最後は塵になる。その時残るのは信頼と誠実だ。と言ったら、しばらく黙って、それをもっと早く私に教えて欲しかったと泣き出した。そっと肩を抱くと、私を温めてくれる人はいなかったとまた泣いた。

 なぜ私と聞くので、ずっと見て来た。悲しい王妃(母親)の二の舞はさせたくなかった。公爵令嬢だけは、せめて私が幸せにしたいと言うと、一緒に隣国に行くことに同意してくれた。



 王妃は王自らの処刑を希望していたようで、国外追放を拒んだ。王が自ら処刑をするなんて有り得ないと言っても、王の腕の中で命尽きたいと泣く。どんなに騒いでも王は来ない。俺と隣国に行こうと説得した次の日、自ら命を絶っていた。

 王妃の死は不義密通で国外追放された後に病死をしたとされた。

 愛妾が王妃になり、第二王子が王太子に冊立される。


 俺と公爵令嬢は隣国に旅立つ。質素なドレスを身に纏う公爵令嬢は綺麗だ。俺にとって美しく有ればそれでいいと言うと、そっと微笑んでくれた。

 誰も見送りに来なかったが、二人で見交わす気持ちは暖かい。王妃(母親)が手にいれられなかった愛を育てて行こうと思う。




 俺にとってのその日はどんな美しさでも敵わない価値のあるものになるといいな。


本編終了です。番外編一編更新して終わります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 本編の完結おめでとうございます。 公爵令嬢が幸せになりそうなのでよかったです。 第一王子は本当に良い方ですね。この人とならきっと、素敵な家庭を築けると思います。 まあそれ以外の人達のことも色…
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