第二十一話 魔女の系譜 4
階段を上り部屋へと戻ると同時に、地下への隠し階段が消えた。
と、同時に黒い影が視界の端で素早く動くのが見えた。
「ひゃん!」
それが何なのかを認識してレンは情けない声をあげてしまう、そう、その正体は暖かくなると夜の台所でよく見かけるようになる黒いアイツだ。
「なんだ、俺の召喚した光虫がそんな怖いとか冗談だろ?」
といいつつも、ニヤニヤしているブラッキーはあからさまにレンの怖がる様子を見て楽しんでいた。
「まぁもう少ししたらいなくなるからそんな気にしないでいいぞ」
ブラッキーが右手で上に二回手を振ると、黒いアイツは物凄い速さで鏡台の後ろに走っていった。
「とりあえずそれ、開けてみないか?」
ブラッキーに言われてペンケースのような小箱を開けると、中にはどこかで見たような眼鏡が入っていた。
(なんでだろう…私これがなんなのか、使い方も分かる)
右手で電源を起動すると、自分の視界に電子文字が浮かび上がる。
「お前、これがなんなのか分かるのか?」
「アンダーリム…だと思う」
レンはブラッキーに簡単にこの道具がどんなものなのかを説明する。
「ふむ、なかなかの代物じゃないか、だがこいつの起動には魔力を使っているみたいだな」
「そうなの?」
「こいつの原理はよくわからないが、多分使っている最中はお前の魔力が消耗していくはずだ、といっても、何か特別な事をしていない限りはそこまで消耗はしなさそうだが…ん、箱の中に何か紙が入っているぞ?」
ブラッキーが箱の中から一枚の紙が入っているのを指差し、レンはその紙を拾い上げる。
「またさっきの読めない文字だな」
「あ、まって、確か言語の翻訳機能があったはずだから、ちょっとやってみる」
(言語翻訳…オン)
「愛するレンへ、お誕生日おめでとう、これは母からのプレゼントです、今のあなたにとって一番必要な物が入ってます、大事に使ってね。母より」
「誕生日プレゼントか、そういえばお前の母親はまだ一度も見てないな」
「そうなんだ…でもなんでこれがここに?」
と、考えようとした瞬間、一瞬思考が止まる。
何かが降りてくるような不思議な感覚、その間数秒の静寂。
「…やっと少しは思い出したか」
「うん」
「そうか、なら少し状況を整理してみようか」
ブラッキーの提案にレンは静かに頷いた。
ストーリーパートです。




