第9話 茶道部が出来ること
部室で由紀乃が猫の話をしていた。
猫を飼いたいという。
僕と直臣は猫に詳しくないので、由紀乃の話を聞くことしかできない。
そんな時に女子生徒がやってきた。
「茶道部から代表してきました。新入部員が、毎日お茶を飲むだけでつまらないと言っています。なにかいい案ないでしょうか?」
「茶道部っていつもどんな感じ?」
「時間が来たら着物に着替えてお茶を淹れておしゃべりをして、片付けをして制服に着替えて終わりです」
「それは確かに……」
「でもどこの学校も同じようなものじゃないですか?」
「それは僕たちは知らないけど。それで他にもなにかしたいと」
「そうですね」
「お茶菓子を作るとかは」由紀乃。
「料理出来ない人が多くて」
「団子なら簡単だよ。団子粉買って砂糖と水を入れて混ぜるだけ。後は適当な大きさにして茹でるだけ」とまさかの料理に詳しい由紀乃。
「それなら簡単ですね」
「茶摘みが出来るとこ知ってるよ」と直臣。
「ほんとですか」
「値段もそんなに高くないよ。ただ団体だとどうなんだろ。一度電話で聞いてみるといい」
「ありがとうございます。やってみたいです」
いかん。
僕もなにか言わなくては。
「抹茶でもラテアートできるんだってね」
「そうなんですか」
しまった。
食いつきが悪い。
「料理だと、お茶の葉を混ぜたおにぎりとかもあるね。白米にお茶の葉と何かの具材とかで作れるよ」と由紀乃。
「お茶おにぎりいいですね」
「詳しくないけど、茶染めって聞いたことあるな。お茶でハンカチとか染めるんだよ」と直臣。
「なんかおしゃれですね。茶道部のみんなで染めたハンカチ持ちたいです」
なんで直臣が詳しいんだよ。
なにか、なにか僕も言わなければ。
「お茶の葉を育てたら?」と僕が言う。
「お茶の葉、チャノキですか」
「自分たちで1から育てるのもいいんじゃないかな」
「チャノキいいですね。日当たりのいい場所があるんで交渉してみます」
やった。
僕の案が気に入ってくれたみたいだ。
代表の人がお礼を言って部室に戻る。
部室では大盛り上がりになったそうだ。
団子やおにぎりを作り、お茶積みに行くことになり、茶染めもしたそうだ。
そしてチャノキもいくつか買ったと報告があった。
僕も嬉しい気持ちになった。
そしてチャノキが届いて植えた後に知った。
チャノキが茶摘みできるようになるまで、5年近くかかることを。




