第7話 モルック部からの依頼
以前告白の練習を依頼した美保さんが付き合いだしたと報告が入った。
僕は嬉しく思ったが、直臣はなぜか複雑な表情だ。
美保さんについて話していたら、部室に3人の男子生徒がやってきた。
「初めまして。僕たち3人はモルック部なんだ。君たち便利屋部にお願いしたい」
「あの……モルックってなんですか?」
「だよねえ。モルックってのはフィンランド発祥のスポーツで、簡単に言うと12本の木の棒を倒して、ちょうど50点になったチームの勝ちというスポーツだ」
「木の棒を倒す?」
「モルックと呼ばれる木の棒を投げて、スキットルと呼ばれる、番号の書かれた12本の棒を倒すんだ。複数倒した場合は、倒した本数がそのまま得点になる。例えば3本なら3点。1本だけなら、その棒に書かれた数字が得点になる。ちなみに、スキットルが完全に横倒しになった場合だけ得点になる」
「それで?」
「もうすぐ他校と初めての試合があるんだ。しかしうちは3人しかいない。そこで君たちにルールを覚えて欲しいんだ」そう言ってルールブックを渡された。
「そんな素人にも出来るものなの?」
「いうなれば棒を投げるだけだからね。ただ、50点ぴったりにするから頭は使うけどね」
「わかりました」
こうして僕と直臣の特訓が始まった。
モルックセットを貸してくれたので、毎日部室で練習の日々。
ルールブックを見ながら実践練習だ。
投げ方も上投げは禁止で、下投げで投げる。
持ち方もノーマル(順手)、バックハンド(逆手)、タテ(タテ投げ)など。
転がして当てても、バウンドして当てても、直接当てても良い。
練習をしていくと真っすぐ投げるコツもわかってきた。
目線と、腕と、モルック(投げる棒)が狙うスキットル(倒す棒たち)の一直線上になると真っすぐ行く。
そして僕と直臣は試合をするまでになった。
複数を倒したり、1本のみを狙ったり戦略性が面白い。
実力はお互い互角。
もし出られるのが1人だけだったら困るので、3試合した。
結局僕が2勝1敗で直臣を下す。
このレベルなら、お荷物にはならないだろうと自負する。
直臣も負けを認めて、僕を応援してくれる。
「いや2人とも出るかもしれないから、直臣も気を抜くなよ」
「ああ、その時はもちろんベストを尽くすよ」
試合当日になった。
相手の高校も選手は3人だけだった。
すると、我が校の部長が「ルールは覚えて来たかい?」
「はい、ばっちりです。いつでもいけます」僕は胸を張った。
この日のために毎日練習した。直臣とも何度も試合をした。これなら足手まといにはならない。
部長は満足そうに頷いた。
「それはよかった。では、2人は審判をお願いする」
「…………え?」
「選手としてではなかった」




