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第34話 1人でも多くに(前篇)

フリスビーが顔面に当たったところがまだ痛い。


顔だから湿布を貼ることも出来ないので、治りが遅いのかもしれない。


そんな時に、男女2人の生徒が部室にやってきた。


「私たちはラジオ部です。私たちは月曜から金曜の放課後にラジオを放送しているんですが、全く聞いてもらえてないので、リスナーを増やすお手伝いをして下さい」と女子生徒が言う。


僕たち3人は顔を見合わせた。


「誰かラジオ部があるって知ってた?」


直臣も由紀乃も首を振る。


男子生徒がため息をつく。


「それでどんな放送をしているの?」と僕が聞く。


「音楽を流してます。あとは私たちが学校とかで気づいたことや感じたことを話していますね」


「他には?」


「今のところこれだけです。リスナーがいれば、お便りコーナーとか作れるんでしょうけど」


「ラジオってどこまで聞けるの? 範囲の話ね」と直臣。


「学校内だけだよ。それも端の方にいったら聞こえないかも。あとは場所によってはノイズが入るかもな」と男子生徒が言う。


「そんなに電波弱いの?」と由紀乃が聞く。


「これには理由があるのです。ラジオ放送って、勝手に強い電波を出せるわけじゃないんですよ。無線局として免許が必要になる場合もあります。でも、免許がいらない『微弱無線』の範囲に収めれば、放送することはできます」


「じゃあ、その微弱無線だから?」


「そういうことです。遠くまで飛ばせるような出力じゃないから、校舎の端まで行くと聞こえなくなったり、場所によってはノイズが入ったりするんです」


「なるほど、わかった」と僕が言う。


「条件は、学校内にいること。ラジオを持っていること。その上で放送を聞いてもらえるかというわけか」と直臣。


「そうなるな」と男子生徒。


「まずは認知度を上げないとダメね」と由紀乃。


「その後は放送を聞いてもらえるトークだな」と直臣。


「そこで聞いてもらいやすい、食べ物の話や恋愛の話、他にはファッションの話もしてみようかと思います」


「それで認知度を上げる方法は……」と僕が言う。


「掲示板に貼る」と直臣。


「すでにしています」


「新聞部に取り上げてもらう」と僕が言う。


「交渉したのですが、キャッチーな話題でないと乗せられないと言われました」


由紀乃の数々の疑問がキャッチー、ねえ……と僕は思った。


「チラシを配る」と直臣。


「1度やってみたのですが、受け取ってくれませんでした」


「じゃあ友達経由しかないんじゃない」と由紀乃。


女子生徒と男子生徒が俯く。


「どうしました?」と僕が聞くと、


「2人とも友達多くないので……」


僕はなにも言えなくなった。


「じゃあ放送部に宣伝してもらう」と直臣。


「宣伝目的は受け付けないそうです。気になることがあった場合はお願いして取材させてもらうとは言っていましたが」


「少し時間を下さい。僕たちも考えてみますので」と僕が言い、この話は一旦保留となった。

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