第1話 入学と入部
部活選びは重要だ。
僕、正一郎はどの部活に入ろうか迷っている。
ただ、運動部はきつそうなので文化部に絞っているが。
放課後、同じ中学の直臣と由紀乃と3人で歩いていると、ある部活に勧誘された。
学園便利屋部。
「あの、学園便利屋部ってなんですか?」と僕は聞く。
「その名の通りだよ。便利屋だ。誰かから依頼を受けてそれを達成する。人の役に立てて感謝される。充実感が半端ないぞ」と勧誘してきた先輩が言う。
僕は、直臣と由紀乃を見る。
2人は感心なさそうだ。
2人とも部活なんてなんでもいいと思っている。
「ちょっと部室見ていかないか。別に入らなくてもいいから」と別の先輩が言う。
成り行きでついていくことになってしまった。
部室に着くと、そこは割としっかりしていた。
過去の依頼ファイルも大量にある。
学校から部費も出ている。
壁には便利屋部・依頼受付規則が。
一、原則として校内の依頼に限る。ただし、部員が必要と判断した場合は顧問の許可を得て校外の依頼も受ける。
二、違法なことはしない。
三、金銭の貸し借りには関与しない。
四、恋愛相談は受けるけど告白の代行は禁止。
五、依頼人が自分でやれば済むことでも、本人が本当に困っているなら受ける。
六、お金は取らない。
七、試験のカンニングは手伝わない。
「よかったら明日もここに来てくれよ。喋りにくるだけでいい。もてなしもするよ」
僕たち3人は部室を出た。
「どう思う?」と僕が聞く。
「別になんとも」と直臣。
「しっかりしているとは思うけど」と由紀乃。
翌日、僕ら3人は言われた通り、とりあえず部室に行ってみた。
すると机の上に手紙が置いてある。
僕たち宛てだ。
「よく来てくれた。俺たちは退部する。この部活は君らに任せる。なにかあったら顧問に聞いてくれ」
「なんだこれ」と僕が言う。
2人も戸惑っている。
僕は職員室に行き、顧問の先生を探し、聞いてみた。
「ああ。君たちになったのか。よろしく頼むよ」
「どういうことですか」
「この部活は代わりが見つかるまで辞められないんだよ。でも良い部活だと思うぞ。よろしくな」と顧問の先生は僕らを見て言う。
とりあえず部室に戻った。
「どうするの?」と由紀乃が聞く。
「先輩たちを探して文句を言えばいい」と直臣。
そこへ、女子生徒がやってきた。
「あの~依頼したいんですが」
「依頼?」と僕が聞く。
「ここ便利屋部でしょ。私たち新聞部から依頼をお願いします」
僕は直臣と由紀乃を見る。
2人もしょうがないといった感じだ。
「ではどうすれば?」
「とりあえず部室に来て下さい」
女子生徒に案内され、新聞部の部室に行くと「よく来た便利屋部の諸君。あれ? いつもの人たちと違うね?」と新聞部の部長が言う。
「まあ色々ありまして」と僕が言う。
「まあいい。早速だが、新聞に書くネタを考えて欲しい」
「それ新聞部の仕事でしょ」
「だってみんなお題がないと記事書けなくて」
「新聞部としてどうなの」
「まあまあ。それで何か良い案はないかね」
「4月なんだから、学校紹介でいいんじゃないですか」と直臣。
「ありきたりすぎる。もっと食いつくようなのがないかね」
「じゃあ鮭の皮は食べる食べないで」と由紀乃。
「それだ!」
さっそくみんなで集まって意見を出し合っている。
それでいいんかい!
すると新聞部の部員が部室を出ていく。
「どうしたんですか?」
「もちろん取材だ。いやあ良い記事が書けそうだ。ありがとう」
後日学校新聞が出来上がったみたいなので、読んでみた。
特集!鮭の皮を食べるか食べないか。
我が新聞部が校内で調査したところによると、食べる43%、食べない28%、その時の気分による29%という結果になった。
鮭の皮には、コラーゲンやEPA・DHA、ビタミンD・Eなどの栄養素が含まれているため、我が新聞部からは食べることを推薦とする。
「なんだこの記事は」と僕が言う。
「学校紹介無しかよ」と直臣。
「でも、依頼は成功でしょ」と由紀乃。
こうして新生便利屋部の初仕事は終わった。
これはめんどくさい。
文句を言いに行こう。
でもふと思った。
そういえば先輩たちの名前聞いてなかった。




