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休日の朝


 朝起きて目を開けると、お隣の布団で安らかに眠る美少女が視界に入ったでビビった。


 本日は日曜日。学校も休みであり、安藤さんがこの家に来て初めての休日でもある。


 いつもは目が覚めると既に制服に着替えている安藤さんだが、休日との事で気が緩んでしまったのか、はたまたこの数日で気疲れが出てしまったのかは分からないが、とにかく未だに布団の中で眠りについていた。


 なんなら俺も気疲れはしていますがね。特に洗濯物とかさ。俺の下着と一緒に洗われて嫌ではないのだろうか? しかしこの洗濯作業、こればっかりは安藤さんの下着等を見ない訳にはいかないので無の境地でこなしている。ただただ作業として。

 

 そんな同居生活の苦悩を思い起こしながら夢見心地の安藤さんの寝顔を覗いていると、少し寝返りを打ち布団をはだけさせた。


 その際、ズボンが少しずれてパンツがちらりと見えた。


 縞パン……か。


 いやいや、俺は親友の従妹に何を朝から視強しているんだろうか。確かに洗濯してる時に何度か見たが、洗濯物として存在するならまだしも、装着状態は見ちゃダメなやつだ。


 しかしあの言葉の真意が分かったわ。『武器や防具は装備しないと意味がないぞ?』というRPGの始まりの街でアドバイスくれる村人の言葉が。

 洗濯物の際のアイテムとしての下着と、装備された下着とでは天と地ほどの破壊力の差がある。装備……大切ですね。


「くっ……」


 安藤さんのあられもない姿からすぐさま視線を外し、体に触れないようにはだけた布団を被せ直し、朝食を用意する為、キッチンに向かった。若干前かがみになりながら……。



「「いただきます」」


 手を合わせ、声も合わせたいただきますの挨拶を行った。今までは一人寂しく行っていたが、安藤さんが来たことによって毎日のルーティンに随分と彩りが加わったなとは思う。


 まあ、美人でナイスバディの後輩だもんね。場が彩らない訳が無い。


 さて、今日の朝食はトーストに目玉焼きを乗せたジ●リ飯である。飲み物はインスタントのコーンスープを用意した。

 

 少々野菜が足りないような気がするが、悪くない朝食だと思う。我ながら絶妙な半熟加減で焼けた目玉焼きに自画自賛していたものの、ご機嫌な俺に相反して安藤さんのお顔が非常に不機嫌なものとなっていた。


「あ、あの……どうかしました?」


「この家に泊めていただいているおかげで、学校には利便良く通えております。その点におきましては感謝しております。しかし不幸な事に未だに私の条件に見合う物件は見つかっておらず、このままでは未来永劫お世話になる可能性も出てきました」


「ここに何年住む気なの?」


 朝っぱらから長期籠城を宣言されたのだが……。未来永劫住み着かれても困ります。ここは俺の永住の地では無いのですよ? 多分高校生の間しかいませんよ?


「それとここに住ませていただいて僅か数日ではありますが、感じた事があります」      


 遂にこのおかしな男女関係について異を感じてくれたのだろうか……。期待薄だが期待させてもらおうではないか。


「全然、私に襲い掛かってきませんね」


「あのね……」


 期待するだけ無駄だった件ね。そして斜め上の回答が飛んで来た。


 最近のJKの考える事が全く分からん。というか男子校の姫と一つ屋根の下で暮らすこと自体がぶっ飛んだ話なのだが。


 そして最近、学校の先輩、後輩達が血の涙を流して俺を見てくるのが気になって仕方がない。


 どうやら既にバレてしまっているようだ。俺が姫と同居している事が。それなのに俺がまだ生きていられているのは、達也と呼ばれる抑止力があるからであろう。


「朝だって勇気を振り絞って下着まで見せて誘ったのですが……。また布団を被せ直すとはなんたるチキンですか」


「何度も言うけど達也の口真似はしちゃあいけないよ? ってか起きてたの!?」


「ええ、一時間前からぱっちりと。ずっと寝たふりをしてました。私にちょっかいをかけるのを今か今かと待ち構えていました」


「俺が起きるよりも早く起きてるし……」


 しかしチキンなんて言葉は出来れば女の子には使って欲しくない。使うのは食事のメニューとして出た時だけにして欲しい。


「この際ひとつお聞かせ願いたいのですが……私をどのような目線で見られていますか?」


「連れの従妹だという目線で見てます」


 食い気味に放り込んでやった。


「……驚きです。女性としてはもちろんのこと、妹としてすら見られていなかったのですね。まるで活性が真冬のブラックバスかと思う程に反応が鈍かったので、いよいよそっち路線で攻めようかと思っていたのですが……。どうやらこのまま押しても効果は薄そうですね。改めて考えさせていだきます」


 一体何を求めているんだ? それに例えが……。もしかして魚釣りが好きなの? 見た目とは違って意外にアウトドア派なのかもしれない。


 なんか部妙な雰囲気になってしまったし、とりあえずここは普通の会話で場を凌ぐとしよう。


「と、ところで、みゆちゃんこそどう? 学校の方は? 唯一の女子生徒だからかなりモテるんじゃないの?」


「先輩の頭の中には何が詰まっていらっしゃるのですか?」


 の、脳みそ……かな? 物凄くナチュラルにディスられたような気が……。あれ、おかしいな。換気したつもりが外気も淀んでいた件ね?


「はぁ……先輩の脳に由々しき問題であることが分かりました。これを解消するには少し時間がかかりそうです。ですがここは焦らずにゆっくりと攻略していくとしましょう。私、難易度が高い方が燃えるタイプですので」


 なんかやる気になってトーストをかじり出した。今の会話で一体何がスイッチになったのだろうか。


「あと……えっちぃ本を隠す場所はベッドの下、というのはあまりにも定番過ぎますのでご注意下さい。もう処分しておきましたが」


「うぇ!? あ、えっ!? は、はは……はい……」


 笑って誤魔化すしかなかった。ど、どんなやつ隠してたっけ? 全然覚えてないんだが……きょ、巨乳系のやつだっけ?


「しかし意外でした。妹萌え系の本だったので、年下の私にはすぐにでも飛びついて形成事実が作れると思ったのですが……」


 よりにもよって妹シチュのやつだったか……うん、死にたい。


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