第10話 ゲームの名人
マカランルームに入っていたドボ名人が扉を開けて出てきた。
「うえーーん。」
ドボ名人は小さな子供のように泣きじゃくっていた。
「えっ…。」
他の参加者達は唖然とした。
「ドボ名人どうした?何があった?」
ごんすけは心配そうにドボ名人を見つめた。
「キャサリンの時はちょっと涙出てたくらいだけど、これはただ事じゃない。」
マットは部屋の中で何が起きたか気になって仕方なかった。
「うん、でも気持ちは分からなくはないかも…。」
キャサリンは先ほど自分がマカランルームで体験したことを思い返した。
「人それぞれ抱えてるものが違うどすから。せやけど、その子を心配してるだけだから流してたけど、試練控えてる者が試練内容あまり聞かんとって。まあその様子だと合格したみたいどすな。おめでとうさんでございます。土橋ボビーはん最後まで残ってくだせえ。」
パーちゃんはごんすけとマットに中の事を詮索しないように釘を刺してから、ドボ名人の試練合格を讃えた。
「合格したんだ。どんな能力?」
ごんすけは興味津々でドボ名人に聞いた。
「ぐすっぐすっ。」
ドボ名人はまだ泣いていて答えられない。
「とりあえず今はそっとしとこう。」
マットはごんすけの肩に手を置いた。
「それでは次いきまひょか。」
パーちゃんは次の試練へと進行を移した。
OP『お子様歩いてる』
お子様歩いてるー
お子様歩いてるー
イカセノミーカーハビロチャマアー
お子様歩いてるー
お子様歩いてるー
お・子・さ・ま歩いてる〜〜
ドボ名人がマカランルームから出てくる5分前、
「それではドボ名人あなたの過去を振り返りましょう。
あなたは肌の色の事で差別を受けてた事があるのですね。それで友達も出来なかった。そんな時にゲームを買ってもらってゲームをやってる時間だけが楽しかった。間違いないですね。」
マカランが穏やかな口調でドボ名人の過去を紐解いていった。
「はい、間違いありません。」
ドボ名人の目にうっすらと涙が出ていた。
「それでテレビ番組のゲーム大会に試しに出てみたら優勝してそれから連覇を続けてそれでドボ名人と呼ばれるようになった。そうですね。」
「はい。」
「それで友達は出来ましたか?」
「一応。」
「一応というのはどういう事ですか?」
「見返した感じになって最初は嬉しかったんですけど、差別してた人間が有名人になったら態度が変わってそれが本当に友達と呼べるかと考えたりします。」
「少し質問を変えます。親友はいますか?」
「それはいないかもしれないです。」
「差別をした者と関係ない者とも出会ってますよね?」
「そうですけど、心の中では差別してんじゃないかと思ってしまいます。」
「アマチャロビに来てから出会った者もいますよね?差別されたと感じましたか?」
「差別された感じはしなかったですけど、有名人だから近付いてきたのかなと思いました。」
「そうですか。あなたが答えを見つけるのはやはりゲームを通したほうがいいですね。それではゲームを使った能力を与えましょう。マカランランランピロロロリン。」
マカランが呪文を唱えるとドボ名人は少し温かさを感じた。
「えっ何ですかそれは?」
ドボ名人は意味が分からずポカンとした。
「これであなたにゲームの能力が与えられました。能力名はゲームシンクロ。ゲーム機に専用のカセットを差す事でゲームキャラを召喚出来ます。召喚中あなたは特殊なバリアで守られて直接攻撃される事はありません。ただしゲームキャラを呼び出せるのは一つの戦闘で一回だけ、やられるとしばらく戦闘不能になるので気をつけて下さい。ただし相手が不正をした場合はもう一回ゲームキャラを呼び出せます。」
「ゲームキャラ召喚?それは楽しそうですね。」
「ゲーム機をイメージしてみて下さい。」
「ゲーム機ですか。えーと…。」
ドボ名人が想像するとポンッという音と共にファミコンみたいなゲーム機が出てきた。
「うわー、これは凄いですね。これでゲームキャラ召喚出来るんだ。へー凄い。」
ドボ名人はワクワクしながらゲーム機を眺めた。
「いつでもあなたの意思で出し入れ出来ます。」
「それは便利ですね。ありがとうございます。」
「それとあなたには一つ忠告があります。」
「何ですか?」
「よこしまな考えであなたに近づく者がいるのも確かでしょう。しかしあなたを尊敬し純粋に応援する者がいるのも忘れないで下さい。」
「僕を尊敬?」
「そうです。あなたに憧れる者が次々と現れ、それが差別を減らす力にもなっています。更にあなた自身も成長し差別を無くす存在になる事を心から願います。では。」
「ぼっ僕が…差別を無くす…うえーん。」
ドボ名人はマカランに諭されて、小さな頃から抱えていた感情が一気に溢れ出し、号泣した。
マカランセレクション
土橋ボビー 合格
能力名 ゲームシンクロ
そして場面は戻り、
「ぐすっ。」
ドボ名人はまだ泣いていた。
そんな様子をごんすけが心配そうに隣で見ていた。
「それでは次はカールはんマカランルームへ、お入りやす。」
パーちゃんは試練の進行をしていた。
「はいっす。」
カールが扉を開けてマカランルームに入った。
「大丈夫、オイラがついてるから。」
ごんすけは泣いているドボ名人を励まそうとした。
「うん、落ち着いてきた。ありがとう。」
ドボ名人の涙はやっと止まった。
泣くだけ泣いたからか、憑きものが取れたみたいにスッキリしていた。
「落ち着いたのかい?良かった。」
マットもドボ名人の事を心配していたのでホッとしていた。
「ありがとう、そうか能力見せないとね。」
ドボ名人が集中するとポンッと音と共にゲーム機が出てきた。
「うわーゲームかー!凄い。」
ごんすけはゲーム機を見て目を輝かせた。
「君にピッタリじゃないか。」
マットはゲーム機を見ながら納得したように言った。
「へー、こんなのもあるんだ。」
キャサリンは能力って色々あるんだなと感じていた。
すると扉のキーッという音が鳴ってカールが出てきた。
「何も起きなかったっす。」
カールはしょんぼりして言った。
「そうどすか。カールはんお疲れ様どした。きいつけてお帰りなはってくだはれな。」
パーちゃんはカールに声をかけた。
マカランセレクション
カール 不合格
「それではマット・グロスはんマカランルームへ、お入りやす。」
パーちゃんはグロスの名前を呼んだ。
「はい…、僕の番だ。行ってくるよ。」
マットは立ち上がって扉を開けてマカランルームに入った。
「5年生にもなって号泣しちゃって恥ずかしいな。」
ドボ名人はそう言いながらも晴れやかな顔をしていた。
「大丈夫、オイラも5年生だけどおねしょするから。」
ごんすけなりにドボ名人を励ましているつもりだ。
「それはちょっと違うんじゃない。」
キャサリンは微笑んで言った。
すると、キーッと鳴って扉からマットが出てきた。
「どうやら僕は選ばれなかったみたいだよ。」
マカランルームで何も起きなかったので、マットは気持ちの持っていき方が分からず、複雑な気持ちだった。
「そうどすか。マット・グロスはんお疲れ様どした。きいつけてお帰りなはってくだされな。」
パーちゃんはなんとも言えない表情でマットに声をかけた。
試練があるたびにパーちゃんは毎回、落ちた者への声かけをやっているが、気疲れして仕方なかった。
マカランセレクション
マット・グロス 不合格
「マット、コンコンココーン忘れないでね。」
ごんすけは明るくマットに声をかけた。
重い空気が少し和らいだ。
「さっきは心配させて申し訳なかったね。元気で。」
ドボ名人はごんすけが流れを作ってくれたおかげでマットに声をかける事が出来た。
「お疲れ様。」
キャサリンはマットとそんなに話してた訳ではなかったが、流れで声をかけた。
「みんなグッドラック!」
マットは笑顔を作って親指を立ててから後ろを向いてそのまま歩いて去っていった。
「それでは佐藤権助はん、マカランルームへ、お入りやす。」
パーちゃんはマットが去ったのを見届けてから試練の進行へと切り替えた。
「はーい。」
ごんすけはお気楽な返事をして立ち上がった。
ED『タマちゃん』
タマちゃん
タマちゃん
タマちゃんみたいだね
かわいい
かわいい
タマちゃんみたいだね
タマちゃんみたいだねパカパン
次回予告
やあ!オイラごんすけ。
オイラたまにおねしょするんだけど夢で自分の物になった世界の地図の形でおねしょするんだよね。それで誇らしげにしてたら九ちゃんにおねしょする事が恥ずかしい事って言われちゃったよ。
そんな訳で次回の話は無垢な心。
お楽しみに。




