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婚約破棄された悪役令嬢ですが、処刑を回避するために最強魔女になったら国の上層部が震え出しました  作者: 朝陽 澄
第2部:最強魔女アリステリアと、“世界”の真相 ――断罪ゲーム、その本当の終幕へ
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第10話(最終話):“選ばれなかった者たち”のための世界

 《原初記録域オリジン・アーカイブ》に、光が差し込んでいた。


 それは始まりでもあり、終わりでもあった。

 否、始まりの“再定義”。

 この世界における“断罪と選別の構造”を、最初から書き換える作業。


 


 私の手には、創造の鍵があった。


 そして、目の前にあるのは“無数の選ばれなかったログ”たち。

 試作段階で破棄された人格。

 ルート上で破滅させられたヒロイン候補たち。

 魔族、獣人、異能者……設定上の“都合”で命を失った存在たち。


 


 私はそのひとつひとつに手を触れ、静かに記録を読み取っていく。


 


「この子は……“救済ルート未実装”で削除されたんだ」


「こちらは“主人公の恋愛進行を妨げるから”という理由で、イベントごと廃棄」


「……ああ、これは……“攻略対象の家族”というだけで巻き添えにされた人」


 


 クラウスが背後でつぶやいた。


「この世界がこれまで築いてきたのは、“一部の者だけが選ばれる世界”だったのですね」


「ええ。だから、今から私は――その逆を書きます」


 


 私は、システム・コードの深部に潜り、制御権限を最大開放する。


 そして、“新しい世界線”を一行ずつ打ち込む。


 


【断罪ルート:廃止】

【犠牲前提型イベント:禁止】

【シナリオ選択権:全プレイヤー/全存在に開放】

【存在意義:結果ではなく意思によって認める】


 


 “結果”の良し悪しで存在が裁かれる世界は、もう終わった。


 これからは、“選びたいと願う心”が、物語の進行条件になる。


 勝者も敗者もいない。

 ただ、誰もが選ぶことを許される――そんな世界を。


 


「アリステリア=グランツ。あなたのシステム改変は完了しました」


 クラウスが、敬意を込めて言う。


「世界は今、あなたが選んだ構造のもとに、再構築を開始します」


 


 塔の窓から差し込む光が、色を変えた。


 それは新しい時代の色――


 “選ばれなかった者たち”に、物語が与えられる時代。


 


 


 私が塔の階段を降りていくと、いつもの顔が揃っていた。


「おかえり、アリステリア様!」

 ベレッタが笑う。


「……ちゃんと帰ってきてくれて良かった」

 ユアンが剣を背に安堵する。


「お茶、冷めてるから淹れ直すね」

 セリーヌが、もう元ヒロインとしてではなく、“友人”として微笑んだ。


 


 そう、これは“私だけの物語”じゃない。


 今はもう、誰もが主人公になれる。


 恋をしてもいい。戦ってもいい。拒絶しても、逃げても、戻ってきてもいい。


 


「さて――ここから、何を選ぶ?」


 私は、問いかける。


 


 すると、どこからか子どもの声が聞こえた。


「“世界の選択肢が全部開いた”って本当ですか?」


 


 私は、肩をすくめて答えた。


「本当よ。でも、選ぶのはあなただから。

 正解なんて、誰も教えてくれないけど――」


 


 笑みを浮かべて、私は最後に言った。


「それでいいの。だって物語は、あなたのものなんだから」


 


 

そうして、断罪のシナリオが終わった世界で、最初の“自由な一日”が始まった。




(第2部・完)

この第2部では、「断罪の世界」そのものを問い直す物語となりました。

アリステリアはもともと、“選ばれなかった存在”――破棄されかけた人格プロトタイプでした。


それでも彼女は、「それでも私は私で在りたい」と願い、世界を変える旅に出ました。


第二部では以下のテーマが描かれました:


転生世界の“ゲーム構造”の真実


第二の断罪ルートと、プレイヤーを騙す仕組み


シナリオ選択権とは何か


選ばれなかった者へのまなざし


自分自身で運命を決めるという“魔法”


第1部が「生存と逆転の物語」なら、第2部は「根源への反逆と創造の物語」です。


そして人気とご希望があれば――

第3部『魔女と断章の時空図書館(仮)』では、

解放された世界で再び“記録”が揺らぎ始める新たな事件と、アリステリアの真なる存在意義が描かれる予定です。

また、「お気に入り」や感想でこの話が読みたいなどで残していただければ嬉しいです!

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