酒と爆発
「シュバッシュバッシュバ！！」
酒場にて、ウィリアムとエレナが皆の前でテンポに合わせてポーズを取り出す。
「俺たちが！」「私たちが！」
「「登場！！」」
酒の勢いもあり、酒場の人々が大笑いする、ヒューズが声をかけて静止させようとする。
「おい、あんまり目立つことは——」
しかしヒューズの声を遮りウィリアムとエレナが声を上げる。
「そこの少年！！」
「サインは受け付けてないよ！！」
「「残念！！」」
互いの手を交差させヒューズに向ける、ヒューズは呆れると何も言わずに席に戻り肉を食べる。
「好きにさせてもいいと思いますよ...まあちょっと恥ずかしいですけど...リカルさんもこっちで食べましょうよー！」
フォルトはリカルにテーブルに来るように催促するがリカルは動く様子もなく口を開く。
「俺はあくまで傭兵だ、あんたらとは仲間じゃないんだよ」
「あはは...振られちゃいましたね...」
フォルトは少ししょんぼりすると男が声をかける。
「なかなか釣れないやつだな！ 気にすんなよ！ これでも飲めよ！」
そういって男は酒をフォルトの口に押し込む。
「ガボボボブブブ！！」
思い切り口に酒を入れられ息ができなくなり気を失いかけるがヒューズは止めることなく酒を飲む。
「ちょっと待っ——」
「飲め飲め！ 若いんだから！」
「イッキ！イッキ！」
ウィリアムがフォルトの元に近づくと爆笑しながら煽り倒すとエレナが酒をウィリアムにぶっかける。
「ぎゃはははははははは！！！」
「冷えええええ！」
ウィリアムはエレナと取っ組み合いになり野次が飛び交う。
「ルカぁ！ ぜってえ許さ...ね...」
ウィリアムは地面に倒れ伏し泡を吹く。
「雑魚が！ 私の勝利だ！！」
エレナはウィリアムの頭を踏みながらガッツポーズをとる。
「オロロロロロロロロロ」
フォルトがゲロを吐き、椅子にへたり込む。
ヒューズがフォルトのゲロを鼻をつまみながら布で拭く。
「おいおい...勘弁してくれ...」
〜翌日〜
「今日は元気だあああああああ！！」
ウィリアムが目覚めるといきなり立ち上がり声を上げる、あまりのうるささにヒューズが起きる。
「うるせえ一回黙れ...」
機嫌が悪そうにヒューズが言うとウィリアムのウインクをする。
「てへ！ 許して！」
「...黙ってくれ...」
ヒューズは布団を頭から被るとまた眠りに入った。
「結衣さーん、ロルフさーん、今日はどうですかぁ？」
ウィリアムが結衣のところに行くとまた武器を作っていた。
「おお、また作ってるのか〜」
「いいところに来ました！ ウィリアムさん、新しい武器です！ 使ってください、最強の剣です！」
「...なんか嫌な予感がするんだけど大丈夫？」
「問題なしです！」
そうして森に出ると結衣に剣を渡される。
「なんだこの剣...変な出っ張りがあるし...」
謎の剣を持ってみるが少し見た目が違う以外には普通の剣である、ウィリアムが剣を観察してると結衣がポーチを渡す。
「なんだ？ これは筒？」
ポーチの中には人差し指ほどの大きさの筒に紐が出たものが大量に入っていた、結衣が一つ取り出すと剣の出っ張り部分を引くと穴が開き、そこに筒を入れる。
「これはですね！ 爆発する剣なんですよ！」
「....は？」
「この筒は火薬と魔力結石を混ぜたものを詰めててこの紐を引いて詠唱すると爆発するんですよ！」
「これは刺してから爆発させるのか？」
「いえ、これは爆発の推進力で剣撃を出せるという設計なんですが...ちょっと非現実的な武器なんですよね...」
ロルフが心配そうに口にするとウィリアムも不安になる。
「....まあ使ってみるわ...んじゃ紐を引いて....ファイア」
次の瞬間に剣が発光し爆発するととんでもない速度で剣が振るわれる、しかし次の瞬間にウィリアムは腕に激痛が走りウィリアムは剣を振りながら手を離すと剣が吹っ飛び、大木に深々と突き刺さる。
「痛ってええええええええ！！！」
ロルフは頭を抱え、結衣はキラキラとした目でウィリアムに近づく。
「どうですか！？ すごいでしょう！！」
ウィリアムは少しためを入れると怒る。
「バカかお前！！ こんなでたらめな武器誰が使えるんだよ！！」
ウィリアムの言葉に結衣は逆ギレする。
「はああああ！ 私の最強の武器にどこか問題あります！？」
「おおありだ！！ こんな武器は使った瞬間に脱臼するわ！！」
互いが言い合いをするとロルフが止める。
「ちょっと二人とも落ち着いてください！！」
ロルフの静止を無視して言い合いをしているとヒューズがウィリアムの頭を叩く。
「落ち着けバカ」
ウィリアムが頭を抑えながら立ち上がるとヒューズがウィリアムの頭を掴む。
「村の近くに熊が出たんだとよ、殺しに行くからお前も来い」
ヒューズはウィリアムを引きずって連れていった。
