少年の名
星草の上でウィリアムが目を覚ますと深夜だった。
眠ろうと寝返りをうつとフォルトがペンダントを見ながら座っているのが目に入る。
ウィリアムはのそっと起き上がるとフォルトに近づく。
「何やってんだ? フォルト」
フォルトはウィリアムを見ると慌ててペンダントを手の中にしまい、苦笑いをする。
「あはは...おはようございます...ウィリアムさん」
「今隠したのなんだよ?」
フォルトは少し長考するが誤魔化しきれないと判断したのか口を開く。
「僕の本当の名前はフォルーン・リメイス・オルフェイサート、サラセンダーにあるリメイス国の王子です」
突然のフォルトの告白にウィリアムは激しく動揺し硬直する。
「ほぇ!?」
「あはは...まあ驚きますよね...話を続けますね、まあ僕は第3王子なので王になるかは微妙なところなのですけどね...僕は国に帰る時に山賊に襲われたのかいつのまにか奴隷になっていたんです、だけど前にも話した通り、主従媒体が壊れたのか僕は逃げれたんです、そしてあなたに会いました」
フォルトはウィリアムの手を握る。
「あなたのおかげです、僕はとても幸せでした、たくさんの人と出会って、そして人を失ったけど、それでも僕は、とても幸せでした、そして次は他の人を僕が、幸せにして見せます」
ウィリアムは少し考えると口を開く。
「すまん、衝撃のカミングアウトすぎて全く頭に入らなかった!」
フォルトは一瞬だけキョトンとすると声を上げて笑う。
「やっぱりウィリアムさんらしいですね!」
そうやってウィリアムとフォルトが笑い合っているとリカルがこちらにくる。
「楽しむのは構わないんだが...もう少し静かにしてくれ...」
「ああ、すまんすまん」
リカルはあくびをすると馬小屋へと戻り、ウィリアム達も戻ることにした。
翌日、小鳥の囀りで目を覚ますとウィリアムは鍛冶場へと向かう。
「できたか〜?」
ウィリアムがロルフに聞くと、奥をガサガサと漁ると持ってくる。
「おお...これか...」
ウィリアムの目に入ったのは金属と木が組み合わさった義足であった。
「それにですね、これは———」
ロルフが説明しようとすると結衣が興奮気味に割り込む。
「これはですね! おもっしろい機能があるんですよ!」
「お...おう....それは?」
結衣は義足の足の裏の部分を見せつけるとそこには穴があった。
「これは一体...」
「これはですね! なんと足から銃撃ができるすっごいものなんですよ!」
結衣はあまりの興奮で息切れを起こし出しウィリアムは結衣を落ち着かせようとするが結衣は止まらない。
「早速使ってください、さあ!!」
ウィリアムは少し引き気味に義足を装着するとミメーシスに話しかける。
「ミメーシス、動かせるか?」
(わかった)
ウィリアムの義足がゆっくりと伸びて、それに合わせてウィリアムは立ち上がる。
「おお...すごいな...」
(今はお前の思考に合わせて足を動かしている、今まで通りに足を動かしてみろ)
ウィリアムが試しに歩いてみると感覚こそないものの今まで通りに歩く。
「すげえな...思考に合わせてるって言っても難しくねえか?」
(脳波を読み取っている、全ては人の考えに過ぎない、お前に話しかけているのも直接言語を与えてるわけではない、人が動物を愛でるときに思うことはあっても頭の中で言語化はしないだろう)
「何を言ってんのかわかんねえけど、まあいいや!」
ウィリアムはあまり考えないことにして、新しい足に喜んでいると結衣がウィリアムの肩を掴む。
「それでは使い方を教えますね!!」
結衣はウィリアムの手を掴むとふくらはぎ部分にある紐に手をかける。
「使う時はここを引いてから、ファイアと詠唱してください! そしたら銃弾が発射されます!」
ウィリアムは言われた通りに紐を引き抜くと地面に寝転ぶと足を木に向ける。
「これで詠唱すればいいのか?」
「どうぞ!」
「ファイア」
ウィリアムが詠唱すると中の魔力結石が燃え、爆発を起こし弾が飛ぶ。
「うお...反動が結構重いな...」
硝煙が上がりウィリアムは立とうとするがよろめき尻餅をつく。
「これはちょっと...」
(無理矢理でもいい、足を平時と同じように動かせ、痛覚はない)
ウィリアムは無理矢理いつも通りに足を動かすと立ち上がる。
「ああそっか...これ義足だしミメーシスが動かしてるわけだしな...」
ウィリアムが感心していると結衣が話しかける。
「どうでしょうか、こんな面白い仕掛けは初見じゃ気付けません! すごいでしょう!」
「まあ確かにな...先に準備が前提だがこりゃ面白いな」




