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宣言

三日続いたのでもはや完了といっても良いですね()

15話どうぞ

クレッタは困惑していた。

目の前に存在する敵の不可解さ。

その男とこ女とも取れない『不定形の存在』はゆらゆらと蠢いている。

その隣に存在している『最大の敵』アズファハーンと相対している。

しかし、感情が一瞬でも体外に現れていない。

殺意が見えない。

そもそもの話をすれば、不定形の時点でそんなものは見えなくて当然なのかも知れないのだが、それでもどのように動くのかが分からない。

だが

次の瞬間


「…口だけではないようだな」

「我等『遺産』は主からその存在を賜った無形…魔人の置き土産……」


先程まではギリギリ手にしていたナイフの先端が付くか位であった二人の距離は限りなくゼロまで近付く。

それと同時に『遺産』と名乗るその不定形が手にしていたナイフは一瞬で弾かれ

だがそれでいて決して遺産は防戦となったわけでなく、その弾いた手を掴み

だがアズファハーンもその手を飛ばす。

それだけの動きをこなしていながら、その動きがほぼ一瞬だった。

クレッタ程の実力者が見た故に判別出来た。

だがしかし、今の刹那をこの世界に住む人間が果たして理解出来るだろうか。と聞かれれば疑問が残る。

それ程の豪速。


「誰だか知らないが私の悲願を阻むと言うのならばこの手で粉砕しよう……」


アズファハーンの殺意がまるで爆発しそうな程に

具現化して殺戮の限りを尽くすのではないかという程に膨張したその瞬間。

その刹那を

クレッタですらもが動きを止めてしまった一瞬を


「クレッタ! 今のうちに逃げるよ‼︎」

「あ、あぁ」


勇者が()た。

その瞬間

遺産と名乗る存在とアズファハーン

二人の視界には互いしか存在せず。

隣にいた『何か』が移動した事など一切気にも留めていなかった。


「覚悟しておけよ?」

「覚悟など要りません。何故なら我々は主から行動を賜った『遺産』に他ならないからです」


_________________________________________________


その日、世界は大きく揺れ動いた。

それは何も終世戦の話だけではない。

確かに、この瞬間だけを考えると一番大きかったのはその事実なのだが、数十年という年月を通して考えると一番大きかったのは。

とある『組織』が誕生したことだろう。


「皆様」


その日は無数の飛行艇が空を舞っていた。

更にその全てにモニターが付いていて、例外なく『ある事実』を全世界の人間に知らせていた。


「我らが頭領様(キング)恒久平和維持対神機関こうきゅうへいわいじたいじんきかん『スカリア』を結成されることを宣言しました!」


画面に映る胡散臭いまでにスーツをメガネをピシリと決めた青年は、高らかに。

それでいて荘厳に喜びを伝える。


「先ずは、頭領様(キング)の挨拶からです。」


というと、一瞬砂嵐が走り、画面が一変した。

後ろにあるのは玉座。

そんな空間に先程とは違うスーツの男が申し訳なさそうに立っている。

男は表情通りとても申し訳なさそうに言葉を綴った。


「予定では我らが王の演説だったのですが…王は『民が死んでいくのをただ黙って見過ごして自分は演説をするなんて耐えきれない』と言って戦線に飛び込んでしまい…… 現在我が国の軍を率いて人間に仇なす逆賊を討伐している最中でございます…故、私の方から『スカリア』の事だけ説明させていただきます。」


そう言って彼は、ポケットから紙を取り出して、淡々と文字を読み始めた。


_________________________________________


「やられたか……」


ギルドマスターはその飛行艇の映像をみながら一人呟いた。

だが、戦線へと向かうその足は一切止まらない。


「まさか奴らの狙いがこの戦争に勝つことだけではないとは…」


まだ頭領様(くろまく)の姿は確認できていないが、それが悪である事は容易に想像できた。

だがしかし。

今ここで重要なのは自分達が想像できたからと言ってこの世界の人間全てが彼らを悪人と思うかだ。

結論から言えばそれはないだろう。

事実、先程の男の宣言で、スカリアの王は『自分の命よりも民衆の命に重きをおく優しき王』だと思われている筈だ。


「恒久平和維持対神機関…」


ただ、あくまで推測の域を出ることができない。

理由は複数あるが、一番大きいのは

『組織を作ったら何があるのか』

その明確なメリットが見つからないからである。


「一体奴ら……」


ギルドマスターは無限の思考を巡らせる。

この戦いで起こるであろう全ての出来事を予測する。

全てを最善に抑える為に。


「何をするつもりなんじゃ…?」


_________________________________________


ルサンチ=ジェルマンと呼ばれる大きな丘

そこを中心に新たな組織スカリアがおこるのだが、その事態というのは全て『魔人』が仕組んだものであるということは、マドゥ自身も知らない。

彼は只。

『人の身』で『神』にあろうとしたものなのだから。


そんなものは後にも先にも現れない。

この時代には。


_________________________________________


マドゥは一人研究室(ラボ)にいた。

とある物を使う為だ。


「あとは……」


ほんの数時間後。

この戦場はただの地獄と化す。


_________________________________________


『とある昔の大国』の話である。

戦場で戦った兵士にアンケートを取ると、見える敵に発砲することが出来たというのは、僅か2割以下だという。

何を言いたいのかというと。


「クソ…ッ!」


善人(心を持つ者)は戦争において必ずしもその実力をフルに発揮するというわけではないということ。

とりわけ、人間の平和を守ってきたギルドにとって善人と悪人は全て人間。

例えそれが闇ギルドであろうとも殺すことを躊躇うギルドメンバーもそう少なくはなかった。

だが。


「ではさようなら」


悪人(心無き者)というのはそうではない。

人を殺すことに一切の感情が湧かない。

そんな人間ばかりが集まる集団が正義の中にあろうとする組織に負けるビジョンがあるのだろうか。

尤も


「待て。 コイツは私が派遣したスパイだ。 殺すな」

「ゼロ様…‼︎ 申し訳ありません」

「どういうつもりだ?」

「黙れ。 いいから付いて来い」


この騒動を起こしたと『言われている』男は決してそうではないのだが。

はっきりというと、スカリアの設定がこれから生かされるのかと聞かれると頭を傾げるほどストーリーの根幹との関わりがありません

強いて言うなら『ルサンチ=ジェルマン』を登場させる為ですけど

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