毒の雨
どうもこんにちはずっと一人で設定煮詰めるだけ煮詰めて何もしなかった男です。
前置きがめんどくさいことにも定評があるので今回はすぐどうぞ
戦場では、『遺産』と呼ばれる謎の存在が各地で確認されて『いた』。
その存在が確認されなくなった境目は無論謎の男の登場なのだが、そのことは誰も知らない。
そう、この戦いが次の段階に進むまでは誰も……
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「まさか対魔物班まで出動することになるとはな……」
ケインズ=メイソンは物陰に隠れながら悪態をつく。
彼は本来『魔物』の中でも『雑魚』を殲滅することに秀でた人間である。
『人間』の『強者』と戦うのには不向きである。
「俺の『能力』が戦闘向きでも無ければ銃が効くかどうかも怪しい…これ、勝ち目なくねーか?」
メイソンの脳に勝ち筋は浮かばない。
かと言ってこの状況から撤退できるかというと、それもまた難しい。
つまりは
(こりゃ死んだな……俺。)
「そこにいる男! 私は殺し合いを望んでいないから出て来てくれ!」
その時。
メイソンは戦場で初めて敵の声を聞いた。
「…何を狙ってる? 予め言っておくが俺に人質としての価値はねぇし吐かせる程の情報も持ってねぇぞ?」
メイソンは先にそう告げる。
それは何も嘘ではない。
だがそれ以上に相手の言葉に。
「私が望むのはこの戦争の終結だけだ。 それも……」
「それも…?」
「我々が共存を選んだ上での。だ」
嘘がない。
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ルサンチ=ジェルマンと呼ばれる大きな丘。
今、その丘の上にはひとりの男が立っていた。
中年太りのその男は、遺産の持ち主。
「これは…まぁ後は任せれば良いですか」
その男は空気の流れから『何か』を感じ取り、その場を去っていく。
「最終的に私が『異神』になればそこまでの過程なんてどうでも良いですからね」
彼の探す目的はこの世に3席しか存在しないもの。
この世界の運営側に回る事である。
「さぁて…この戦いで他の『魔人』が2、3人死んでくれれば万々歳なんですが…そう上手くは行かないでしょうねぇ……」
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「いや全く…『あの財団』には感謝の文字しかないな」
マドゥは自身の部屋中で嗤っていた。
これから起こる悲劇のことを自分の身が知り得ることを。
実は『ある男』がその真実を握っていると言うことも知らずに。
「それでは行ってみようか」
マドゥは手元にあるそのボタンをゆっくりと。
じっくりと楽しむように押す。
「生存者は何人だろうか…とは言っても主な被害者は一般人だけでギルドと灯火の連中には回避されるのが終いだろうがな……」
「まぁ…まさかギルドでも想像できんだろう……」
「ここまで大規模な殺戮が行われるだなんて、な」
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「クレッタ。 ちょっと待って」
「どうした勇者?」
その日。
「何か降って来てる。 雨じゃない何かが……」
世界の至る所で緑色をした雨が降った。
その毒は、まるで全てを無に帰すように無慈悲に。
いつまでも降り続けた。
が、
「なんて事しやがる……」
そんな事は関係ない。
近くの建物に避難したクレッタの心に灯るのは憎悪の炎。
単純な悪意への憎しみ。
それが全てである。
只今はそうであるのだが。
「お二人様。 少々お時間頂いてもよろしいでしょうか」
「誰だ…?」
「私は包み隠さずに全てを話します。 ですから一先ずついて来て頂いてもよろしいでしょうか?」
この戦場はそうじゃない。
そんな単純な構図ではない。
一つの組織の中で複数の対立があり、更にそんな組織が複数存在する。
「申し遅れました。 私は『シリウス・オーバーライン』 と申します。 以後お見知り置きを」
「…!」
その男の顔に見覚えがある。
何故なら。
今勇者がその手に握っている紙には灯火のボスの参謀としてその名が綴られているのだから。
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「ここまで純粋な悪意なんて珍しいな……」
第二次終世戦とは全く無縁の仕事中だった殺し屋『劉 神鸞』は『雨宿り』をしながら感嘆する。
出口のすぐそばに居るのは自分だけだが、建物の中には数百と人間がいる。
その一人がそばに寄って来ていた。
「どうした? 俺様に何の用だ?」
「劉 神鸞君を世界一の殺し屋だと見込んで頼みたいことがあるんじゃ」
「‼︎」
劉の動きが一瞬止まる。
二人の間に緊張が走る。
そして数刻。
時は再び刻まれ始める。
「妾と共にこの戦いを終わらせてくれないか?」
「……第二次終世戦をか? お前正気か?」
また数刻時が止まり。
今度は動き出すと同時に二人は笑っていた。
この地獄の中。
二人は笑っていた。
「そりゃ傑作だ‼︎ お前は面白い冗談を言ってくれるな! はははは‼︎‼︎」
「確かにいきなりでは分かりにくかったかもしれないな。 すまないすまない。」
「だが…妾の覚悟は……本物だぞ?」
空気が張り詰める。
無言の二人の中、すぐそばの床がタイル一つ分だけ開いた。
その下には謎の地下空間が広がっている。
「来い。 雨やみを待つ時間なんか無い。」
「…本気か?」




