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024 その錬金術師はリサイクル回収をこなす

 ゴミは資源です。資源になるんです。どんなものでも、再利用にかかるエネルギーさえ考えなければ、資源になるのがゴミなのです。

 しかし、ゴミですらない有害な生物は、資源を食い散らかすだけなので資源には再利用も出来ないのが辛いところです。

 誰の事かって?多分、二次元のエロは偉大だと常日頃から思っている作者(私)の事。


 大量の金属製品はゴミだ。ゴミである。

 それは錆びた鉄がほとんどなのがその理由の一端だが、なまくらな剣や不純物の多いボロボロの銅鍋等、誰がそのまま使うだろうか。特に鉛を含んだ品は、調理器具としては元より、身に付けるものとしてもアウトであろう。


「何ゆえ鉛の鎖とかがあるんだ。しかも細くてシャラッシャラなやつ。どうみてもこれ、装飾品だよな?」


 鉛は肌に直接触れているだけでも有害だ。故に、そのまま再利用なんて出来るはずもない。

 そこで行うのが錬金である。錬金とは黄金を練るのではなく、元々は金属を扱う事を指した言葉だった。そして、それを為すのが錬金術師の本性である。更には正真正銘の錬金術師が俺だ。

 魔術?あれはついでだ。錬金術を極める為には、どうしても身に付けざるを得ないものだったからな。他にも、鍛冶とか彫金とかいろいろ身についてしまった技術はある。


「ふう――。」


 それらのおかげで、大量にあったゴミは不純物が取り除かれ、それぞれのインゴットへとその姿を変えていった。

 最後に眼の前に鎮座したのは、見慣れた形状の立方体だ。長方形に形を整えたそれらは、鉄、銅、錫、鉛と、実に様々である。中でも鉄はこの先大量に使うだろう。鉛との配合率を合わせてやれば、元なまくらな剣が切れ味抜群の刀剣へと姿を変える事だって可能になるのだから。

 え?鉛は有害なんだろうって?――それはあくまで直接素肌に触れれば、の話である。武具に使う分にはなんら問題は無いのだ。

 勿論、鍋とかに加工するにしても、鉛は使う事は無い。水に溶け出して摂取してしまいかねないからな。当然、それらには只の鉄や銅を使うのだ。


「錫は鍍金メッキ用かなぁ。鉄の表面に使えばブリキになるし、トタンとして利用するか。」


 そんなインゴットを大量に製造しては、広がった空間庫へと仕舞っていく。今までは捨て置いてきたそれらだったが、こうして持ち運びが可能だと分かってからは全部回収するようにした。

 廃品リサイクルって環境に優しいし、久々の錬金は楽しいからな!しょうがないよな!しかもそれが、今まで飯の種だったんだから尚の事な!

 惜しむべくはこれらを金銭へ変えられない事だろうか。全て今後の暮らしに役立てる為、貯め込むだけ貯め込んでおく必要性があるのだ。おかげで、領主婦人からの依頼料以外に今のところ、俺には金が無い。


「まぁ、使う予定ももう無くなるだろうけど。」


 しばらくは森の中に小屋でも建てて生活だ。そして、魔力の扱い方の特訓である。暴発は怖いんだよ、色々と。


「あ、そういえば。」


 メルシーちゃんこと開拓村の一団が、ゴブリンの掃討が済み次第戻ってくるとか言っていたな。上手くやれば、物々交換くらいは出来るだろう。

 どうにも飯に飢えてたっぽいし、食い物との交換がいけそうだ。

 森の中にはその食える物が多い。中には有用な薬草なんかも豊富に生えてるところもあった。それらを錬成して魔法薬に拵えてやれば、食い物でなくとも何かしらとの交換は期待出来るだろう。例え錬金術が詐欺って言われていても、一度その効果を実感してもらえば割りとなんとかなると信じてる。

 後は、件の森で繁殖してしまったブラッディー・スライムの殲滅だな。あれは肉食性の魔物な上に見境なく動物を襲うので、完全に駆除してしまわないとならない。放置は無しの方向だ。下手したら俺だって死ねるし。


「おう、ゴブリンが済んでもそっちがまだあったんだな。」


 て事は、俺のお布団はまだまだお預けか――クソっ。仕方ないとはいえ、ここまで繁殖してるのが悔やまれる。

 まぁ、兵を動かす際の物資だという寝袋だって、そこまで悪いものじゃないから、今すぐじゃなくてもいいが。

 何せ、適当に干し草でも敷けば、小屋暮らしでも使っていけるだろうし、現状としては悪くはないのだ。

 後は何事もなく暮らしていけるのを祈るのみである。


「変異種ワラワラだったら堪らんからなぁ――手に負えない魔物の討伐までは、流石に俺も出来んし。」


 死なない為に仮死の魔術を起動して、現代に甦ったのだ。甦った先で無茶して死んだら目も当てられない。

 手に負えない魔物というのは、大体進化し続けた先にある。同じスライムでも、グラトニー・スライムという暴食の名を冠するアレには、魔法や魔術が使える俺でも太刀打ち出来ないのだ。尚、スライムの最終形態と言われてる奴で凶悪通り越して最凶である。

 この為に、俺は身の回りの安全確保にせっせと勤しんでいる状況にあったのだ。スライムの討伐は早ければ早い程良い。あいつらの進化速度は他の比じゃないからな。

 しかし、稀に魔法が効かないスライムというのも出てくる。例えば岩とか石を食ってるスライムだ。この手のは、固くて俺の水魔法や氷魔法は余り効果が無い。故のインゴット制作である。


「護身用にはメイスあたりがいいか。後は、解体用に一応短刀かね?他に欲しいのは、木材と家畜だな。木材は森で調達出来るとして、家畜はどうっすっかな――。」


 水はそもそも川の傍に家を建てれば良い。畑はその際に開墾した森の中に作ればいいし、植える物は森の中から持って来れる。つまりは、しばらくはまたサバイバルが役に立つのである。

 ――あれ?俺は生産職のはずなんだがなぁ?

 まぁいっか。


「うん、いけそうかね。一応。」


 家畜だけは、メルシーちゃん達開拓村に期待するしかない。だが、それだって絶対必要というわけじゃない。

 時間はかかるだろうが、ブラッディー・スライムを掃討してしまえば、そのうちどこかからか動物だって流れてくるだろう。そっちを気長に期待するという手もあるし、蛋白質の入手手段は魚からも可能だ。つまりは、しばらくの間ならば特に問題は無い。


「割りと俺、適応力高いよな?」


 そうなるよう仕込んだのは師匠だったが、マジであの人は何処までを見通していたんだろうか。インゴットを作る即席の炉だってあの人の教えだ。ブラッディー・スライムの攻撃を躱せたのだって、あの人から空間を感じ取る術を叩き込まれたからでしかない。

 先見の明があるにしても、度が過ぎるだろう――まぁ、度々国お抱えの話まで出てたって噂だったし、割りと本気で欲しがられる程の傑物だったのかもしれんが。

 何にしろ、あの人のおかげで今の俺は窮地に立たされないで済んでいる。もう死んでるだろうが拝んでおこう。


「有り難や有り難や。」


 その後、壊滅させてきたゴブリン達の巣でも同じ様にゴミのリサイクル回収と作業をこなしてから、開拓村の一つに泊まり、翌日から森での活動を俺は始めたのだった。


 2018/11/14 ご指摘いただいた誤字修正しました。閉まって→仕舞って。


 メッセージでいただいて知ったのですが、携帯だと誤字脱字を修正してくれるアプリあるんですねー。

 PCでも無料のソフトあたりで無いかなーと探しましたが、使いこなせるようになるのに時間がかかりそう。

 頑張って使いこなせるよう練習だー(`・v・)これで私も誤字脱字から脱却!多分。



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