2話〜ウエットorドライ〜
「ナミさん、今日もお通し美味しい」
「ホント!?ジューモンさん、いつもありがとうね、そう言ってもらえるとやり甲斐があるわ」
「良かった、でも本当に美味しいですよ」
はぁ、落ち着くなぁ……
美味しく食べて、楽しく呑んで……
1週間の疲れを癒して……
「ほぉ〜」
「どうしたの?ため息なんかついて」
「ああ、ノリさん、幸せだなぁと」
「ホント福々しい顔してますよね」
「そうですかぁ?ノリさんもニコニコしている時は」
「え!?俺はいつもニコニコしていますよ」
「えぇ〜!?怒った顔しか思い浮かばない」
「お前は黙れモエ」
「ほら〜そうやって怖い顔するぅ」
モエちゃん、わざと怒らせているよね?
やっぱ……
「そう言えば店長は?」
「ああ、健康診断が近いとかで」
「なるほど〜」
「1日や2日ヤメても意味ないですよね」
「まあ、今更感はあるけど、気は心だから」
「ノリさん……それは贈り物の時の言葉ですよ」
「え!?そうなのモエ?」
この子って!?
ホントはやっぱり——
「よ〜し、じゃあ店長の分まで頼むなモエ」
「まっかされましたぁ」
「え!?いいの?モエちゃん」
「何がですか?ジューモンさん」
「いや、だって……ねぇノリさん」
「うん、いいっつったから、いいんですよ、なぁモエっ」
「やっぱりちょっと待ってください」
「何だよ?モエ〜」
「じ〜」
「分かった、分かった、冗談だよ」
じ〜、だけで回避するとは侮れない。
「はい、ジューモンさんナポリタンができたわよ〜」
「うわぁ、ナミさんありがとう〜」
コレコレっ。
「うわぁ、ジューモンさん美味しそう。いいなあ」
「モエちゃんも頼む?」
「え!?いやいいですナミさん」
「美味しいですよ、モエちゃんも頼んだら」
「いえ、これからタダシさんとディナーですから」
「は!?おまっ、ここに来てんのに他で食べんの?」
「ふっふっふ〜、今日は記念日なんです」
「いいですねぇ、それで何の記念日ですか?」
「よくぞ聞いてくれました、ジューモンさん」
「あ!?いいよいいよ聞かなくて、ジューモンさん食べてて」
「そおですね、そうしましょう」
「あはんっ、酷い〜」
「なぁ〜、ジューモンさんはホント酷いよな」
「そうです、酷すぎですぅ」
「え!?俺ですかぁ?ノリさんが——」
「そうです、ジューモンさんなら聞いてくれると思ったのに裏切りですっ」
「そうだよなぁ、ジューモンさんしか聞いてくれないもんなぁ」
「そう……ブ〜!」
「分かった、分かった、ごめんて」
今度はブ〜だけでノリさんを操っている。
すごいのか!?
やっぱ——
てゆ〜か、ナポリタン美味しっ。
「あれ!?ナミ〜、ジューモンさんのナポリタンに目玉焼き乗っかってないぞ」
「ああ、入っているわよ」
「ああ、ホントだぁ、ナミさん1番下に」
「そう、鉄板で温まるから好きな硬さで食べてね」
「ああ、じゃあ今のうちに、トロっトロの黄身を混ぜて〜」
っと、
う〜ん!?
「うまぁいっ」
「うわ〜ん、やっぱ私も食べたい〜」
「タダシに連絡してみればいいじゃん」
「まだ残業ですって」
「ならどうする?」
「ジロっ——ジロっ」
え!?
じ〜、じゃなくてジロ?
「も、モエちゃん……食べます?」
「い、いやぁ悪いじゃないですかぁ、いいんですかぁジューモンさん」
だって……
「お前がジロジロ見てんから食べづらいんだよ、まったく」
「ええ〜、私そんなに見てないですよぉ」
「そんなにって……ガン見より遥かに見られていた気がするけど」
気を取り直して、いただきましょう。
「しかし、本当に美味しいですねナミさんのナポリタンは」
「ありがとうございます、ジューモンさん」
「でもアレですよジューモンさん」
「何ですか?ノリさん」
「そのナポリタンはほら〜、そこの弁当屋のですよ」
「へ!?ウソ?確かにあそこのも美味しいけど……」
「なぁ、ナミ〜」
「アンタ、ホントにいっぺん○したろか?私が一生懸命作っているのに」
「ごめ、ごめん、Just kidding!」
「ふざけんな、今日こそはっ」
チリン、チリン、
「アユミちゃん、いらっしゃい」
「こんばんは、ナミちゃん」
って、アレ!?
ノリさん……
「ちょっと、何やってんのアンタ」
「は!?○されたらタマんないから」
カバン背負って!?
「じゃあ、お疲れしたぁ」
「ちょっ、おいっまだ8時だよ」
全員っ集……って、ははは懐かしい。
(帰ったら見よぉっと)
チリン、チリン、
「ホントに行っちゃったぁ」
「え、マジですかぁ」
「ノリさん、どうかしたんですか?」
「ナミさんが、ぶっ○すぞテメーって言ったら怖くなって帰っちゃいました」
「ちょっ、そこまで言ってないでしょモエちゃん」
「ああ、なるほど〜って!?それは帰るわ」
「もう、アユミちゃん違うわよっ」
「だから、ナミちゃん……」
「何?」
「包丁持ったままだから」
「あ、ヤバっ」
「それで慌てて?」
「いや、多分ですけど呑みに行ったんですよ、あの人は」
モエちゃん……ドライだね。
「あ!?うえ〜ん」
「今度はどうしたのモエちゃん」
「そう言えばノリさん、何の記念日なのか聞かずに帰っちゃいましたぁ、うわ〜ん」
「え、まだ続いていたのその話」
「チロっ、ジューモンさんやっぱ嫌いになりましたぁ」
「ええ、良ければ聞きますよ?」
「ジューモンさんはさっき聞かないって言ったからもういいですっ、フンっ」
ええ!?
やっぱウエットなの〜?
モエちゃんは分かんないよぉ〜。
完




