14話 〜思い出漬け〜
トントントン、
「何やってんですかぁナミさん?」
「ん?お仕事〜」
「もぉそうじゃなくて〜?マスターに似てきましたねナミさんはっ」
「それは褒めているんだろうなぁモエ?」
「そんな訳ないじゃないですかぁ〜マスター」
「おいっモエ〜」
「タダシさん助けてっ!あの人が悪いことをしてくるっ?きっと」
「いやぁ、助けてって……今んとこモエちゃんしか悪いことはしていないよ?」
相変わらずおかしな子だね?
あら……水になっちゃったわね。
「マスター氷くれる?」
「はいよっピンちゃん」
トントントン、
でも何か小気味いいわね、あの包丁の音。
「はいどうぞぉ」
「ねぇ、ナミちゃんは何を切っているの?」
「あぁ、漬物ですよ。良かったらピンちゃんも食べる?」
「いいわね、いただこうかしら?」
「ナミぃ、ピンちゃんも……」
「うん、みんなにお出ししちゃっていいわよね?」
「そうだね、気に入ったらまたオーダーして貰えばね?」
「うん」
「え、何かくれるんですか?マスター」
「モエの分はねぇよっ!タダシのはあるけどな」
「そんなぁ酷い〜。私の方が長いお客さんなのにい〜……あ、タダシさんのをなしにして私にくださいよぉ?」
あの子はホントに……
「いや、モエちゃん。どっちにしても一緒に食べればいいんじゃないかな?」
「じ〜っ!そんなこと言ってぇ騙されませんよっ?」
「いや、だからモエちゃん……」
「お前らはどんな関係なんだっ?」
「はい、これ良かったら食べくださいねぇ?」
「ありがとうございます」
「ピンちゃんも良かったら?」
「ありがとう……これって?」
「味噌漬と奈良漬ですよぉ」
「うわぁ!?久しぶりよぉどれどれ?」
カリっ、サクっ、
「美味しいっ!これヤバいわね?マスターお酒ちょうだいっ」
「はいよーピンちゃん」
「うべっ、しょっぱい」
「モエには合わないか?」
「いや、美味しいですよノリさん。良く漬かってるし、ねぇモエちゃん」
「う〜ん?私には……あ!?呑むと美味しいっ、合うかも?」
「ははは、お前は呑兵衛だな?」
「もぉマスター、私のイメージが崩れますよぉ〜」
「今更だからね……モエちゃん」
はは、あのタダシさんって人も大変だあ?
とんでもない子に捕まったもんだ。
チリン、チリン、
「おぉ、松さんいらっしゃい、元気なんだぁ?」
「お前はいつもいつも俺に……」
ははは、松さんもとんでもない人に好かれたもんだね?
「ピンちゃん、向かいにいいかい?」
「どうぞ、松さん」
「おっ?オツだねぇ瓜漬に酒とは……俺も同じのくれるか?」
「は〜い、松さんは特大のねぇ」
特大って……大っきい瓜でもあったのかい?
「はいお待ちどうさまっ」
「おお、来たきたぁ。マスターのせいで今じゃこれでないと呑んだ気にならんわいっ」
「はははっ、そのうち桶くらい大きいの用意しておきますよ?」
「おお〜いいのぉ……ておいっ!?それってまさか?」
はははは、まったく困った人たちだね。
「いやぁ、いい酒じゃったなぁ」
「アンタもよく呑むのねぇ、松さん」
「ん?目の前に若い人がいたからかなぁ?はははっ」
「若っ、、、て、もう松さん……あ、そうかアンタからしたらまだまだ私も小娘だね?」
「そこまでは言っとらん!断じてな」
「はははは〜」
「そうそうナミちゃん、ご飯あるかしら?」
「チンで良ければぁ?」
「うんいいわ。それと追加でコレも両方ね?」
「はい、ピンちゃん」
あれ、、、
「これは?」
「冷たい麦茶ですよ」
「あぁ!?ナミちゃん分かってるぅ」
「へへ、子供の頃よくやりましたからね?」
「ふふ、暑い日や呑んだ後には最高よね?」
バリバリ、サラサラ、
「あぁ〜美味しっ!昔母がよく漬けてたから」
思い出すわぁ……
「うちもですよ。母が毎年ねぇ」
「おぉ、俺にももらえるかな?」
「はい、松さんもねぇ?」
「私もぉ〜ナミさぁん」
「モエは好きじゃなかったんじゃないのか?」
「お茶漬けにしたらもっと美味しそうだから、欲しいのですっ」
「あ、ノリさん俺もください」
「ああ、タダシさんには私の残りがありますから……」
て、やっぱ変な子だ?はははっ。
チリン、チリン、
「ありがとうございました〜」
瓜漬ひとつでこんな気分になれるなんてねぇ……
子供の頃は『またこれか?』なんて母によく文句を言ったもんだけどね?
明日……
墓参りでも行くかな?
お酒でも持ってさ。
お土産にいただいたコレもね……
完




