みんなでいただきます!
無理
クロの食欲は本当なのか、、、、
「じゃあ、そろそろお昼にしましょうか」
グランファリーの穏やかな声に導かれて、かんなたちは寝室を出て何枚もの扉をくぐり抜け――広々としたリビングへとたどり着いた。
室内は、ひんやりとした空気が漂い、外の暑さとはまるで別世界。
窓から差し込むやわらかな光に、机の上の小さな植物がキラキラと揺れている。
それにしても椅子の数は、30脚。
会議室か!? と、かんなは心の中で突っ込みを入れた。
(ひ、一人暮らしなのに椅子30って……ま、まあ精霊が遊びに来るからかもしれないけど……。精霊が集まるにしても多すぎ!)
大きな机の上には、紙箱に入ったお菓子や、透き通ったガラスの鉢に植えられた観葉植物。
リビングは清潔で、ほんのりと花の香りが漂っていた。
すると、クロがぷにっとした声で言った。
「かんな、なんで辺りを見回してるクロ? いつもお腹空いたーって言ってるクロのに!」
「……え?」
思わずきょとんとするかんな。
なんでそんなこと知ってるの? と考え込んで――すぐに思い出した。
(そうだ。クロって、私のぬいぐるみだった……)
いつも座布団の上に座らせてあって、かんなが勉強する時はすぐそばにいた。
だから、
「ご飯まだ〜」
「お腹空いた〜」
……なんて言葉は、聞き飽きるほど聞いていたはずだ。
「まぁ……そうだけど、グランファリーさんの家だから、お腹空いたーなんて言ったら失礼でしょ?」
と、かんなが言ったその瞬間――
「グランファリーさん、お腹空きました!」
「りゅうと!? それ言っちゃダメなやつ!」
びしっとかんなが叫んだ。
(今、言ったばかりなのに!)
でも、グランファリーはくすっと笑って受け止めてくれていた。
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ふと、かんなは気になることを口にする。
「ねえ、クロ。本当に……全部食べられるの?」
クロは一瞬びくっとしてから、ぷるぷると胸を張って答えた。
「た、食べれるに決まってるクロ!」
(あやしい……動揺してるじゃん)
でもその不安は口にする暇もなく、グランファリーがすっと手を合わせた。
「それでは……森がこれからも健やかでありますように。いただきます」
その言葉に、かんなも
「いただきます!」
と返した。
まるで学校の給食みたい。日直が
「いただきます!」
って言ったら、みんなも合わせて言わなくちゃいけない――そんな空気。
りゅうとも、同じクラスだからか
「いただきます!」
と元気に言っていた。
ただ――クロだけは、まるで号令を聞く気なんてなく、もう口いっぱいにご飯を詰め込んでいた。
(……すごい。というか、はやっ!)
果たして、クロの小さな体にどこまでご飯が入っていくのか――その食欲の真実が、今、試される。
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### おまけ:かんなの紹介
- 名前:かんな
- 学年:小学4年生
- 所属:児童委員会
- 勉強:テストは90点くらい。でも社会だけはちょっとニガテ
- 習い事:スイミング、そろばん、ピアノ
- 性格:学校では真剣!でも家では遊びすぎて、毎日お母さんに怒られることも
無理




