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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第2階層―GREEN―
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ニートな女神と初めての半人半馬

もしも体の半分が別の動物に変わってしまうとしたら、筆者は下半身をサメに変えてもらいたい。

……あ、上半身は人間だから普通に溺れますね。すみません。やっぱ今のなしで。

 第3段階のバトルボアの能力は、私たちの想像以上だった。

 まず動きが速い。私以外の3人が突進攻撃をほぼ回避できないほどにバトルボアの敏捷は高く、よって盾を装備していない上に耐久の低いナポリさんはたった一撃で体力の6割近くが消えてなくなった。


「う、ぐぅぅぅぅ!」

「まずい!」


 盾を装備しているパス太でも突進を盾で防いでダメージは体力の3割というところ。おそらくスキルポイントの多くを耐久に割り振っていたのだろうと思うがそれでもこの有様ということはいよいよまずいことになった。

 バトルボアは敏捷の他に力も上がっているせいでさっきまでよりも一撃でダメージを受ける量が大きくなっていた。さらには……


「くそ、硬い!!」


 ペペさんの大剣による一撃でもバトルボアの体力は削れて6割。

 つまり第3段階のバトルボアは耐久の値も強化されているということ。

 まあ、それも当然と言えば当然のことなんだろうけど。


「パス太はナポリさんの援護に回って、ペペさんと私でなんとか敵の数を減らすから!」


 私はそう声を荒げるとバトルボア×7のうちの2体に向かって魔法を放った。


「ポイズン、パラライズ!」


 その2つの魔法によって2体のバトルボアがそれぞれ毒(小)と麻痺(小)の状態異常にかかった。

 毒の方は微妙だけどバトルボア相手に麻痺の状態異常は非常に有効であるということはこれまでの戦闘の中ですでに確認済みだった。


「ポイズンダガー!……3段斬り!」


 私は3体目のバトルボアに短剣の技、ポイズンダガーを命中させこちらも毒(小)の状態異常にすると、4体目のバトルボアに片手剣で3段斬りを叩き込んで倒した。これでまず1体。

 3段斬りは2回目と3回目の攻撃の威力が上がるからね。

 そうしている間にペペさんもさっきの攻撃で体力を減らしていたバトルボアに再び大剣での一撃を叩き込んで2体目を撃破。


 あ、ナポリさんがポーション飲んで体力が全快になった。けどもその間にバトルボアの攻撃を引き付けていたパス太の体力が風前の灯になってる!?


「大丈夫。課長はいったん下がって」

「え、でも君は」

「大丈夫だから。次はよける」


 その言葉は事実だった。回復したナポリさんは次からはちゃんとバトルボアの突進を回避していきながら、弓矢で私が毒の状態異常にして徐々に体力が減っている個体に攻撃をしかけていく。

 あれはきっと敏捷がどうとかいうよりもきっとナポリさんのもともとの動体視力がいいのだろう。

 そういえば、弓矢を初期武器に選んだプレイヤーは動体視力が上がるという噂話も聞いたけど、あるいはそれは逆で、動体視力に自信のある人が初期武器を弓矢にするのかもしれないな。

 素早く動く敵にも正確に狙いをつけて矢を放つ必要上磨かれるセンスのようなものだ。


「……すごい」


 私は素直に感心していた。いや、感心している場合でもなかったか。

 私はとりあえずナポリさんの方はもう大丈夫だろうと思って戦闘に復帰した。

 パス太もこの間にポーションで体力を回復。

 え、ペペさん?、ペペさんはむしろ心配なんていらないよ。

 だってペペさんはただこっちにまっすぐに突進してくるバトルボアに大剣の一撃を決めていくだけでいいんだから。このパーティの中で私についでダメージを受けていないのはペペさんだ。

 バトルボアは突進攻撃の最中に毒などの状態異常以外の攻撃によってダメージを受けるとそこでいったん突進攻撃がキャンセルされるので。

 おそらくペペさんからしたらバトルボアとの戦闘は比較的楽な部類なんだろう。だってもうただのバッティング練習に近かったし。


 そうして私たちはなんとかバトルボア×7を倒すとそこで1度休憩を挟んだ。


「っだぁ~!、なにあれ!?、もうほんとに死ぬかと思ったんだけど!」

「でも今ので一気に7つもカウントが減った。残りは13か」

「バトルボアも強くなってきてるけど、第4段階がないことを祈ろう」


 しかし現実はそうそう甘くはないのだった。

 それからバトルボア×3、バトルボア×6、バトルボア×4と合わせて13体のバトルボアを倒して魔物カウンターを0にした後で、カウンターが今度は5まで回復した。

 つまりはまあ第4段階があったわけである。


「嘘でしょ?、ねぇ?」

「いや、どうやら本当みたいだ」

「でもカウンターは5。つまり後5体倒せば次の段階に進む。そしておそらく次は……」


 おそらくこの次にはクエストボスとの戦いが待っているに違いない。


 第4段階では5本の雷が石碑の後に降り注いだ。

 その時点でもう石碑は跡形もなく砕け散っていたが、その分地面からたちあがる黒い靄も色が濃くなりまた大量に上がってきていたのでたぶんもう次で完全に封印がとけるのだろう。

 フィールド上の演出としては雨が強くなったことに加え遠くで雷の音まで聞こえてきた。

 もうなんていうかさ、世界の終わりってきっとこんな感じなんだろうなとか思ったりね。


「……いた。バトルボア、しかも最悪なことに5体まとまってる」

「……あのバトルボアはさっきのやつ以上の強さなんだろうけど、勝てるかどうか」

「……やるしかないだろう、もうここまで来たら」


 麺類トリオの3人はどうやら覚悟を決めた模様。

 だけど私はそんな無茶なことはさせたくはなかった。

 いや、もちろん戦って勝てないと思っているわけではない。相手は5体だし、仮に1体1体がすごく強くてもなんとかなるとは思った。

 だけど問題はこの後でさらにクエストボスとの戦闘が待ち構えているということ。

 その時に私以外の3人にHPやMPはともかく精神的な疲労の残る状態で戦ってほしくはなかった。

 ではいったいどうすればいいのか、答えは簡単だった。


「皆さん。皆さんは今回ここで休んでいてください」

「え!?」

「は!?」


 そう、第4段階のバトルボア×5は私一人でなんとか倒すということ。

 そしてその間に3人には離れたとこで休んでいてもらい今までの疲労を少しでも回復してもらう。


「皆さんは休んでいてって、まさか玲愛ちゃんあれを1人で倒す気?」


 ナポリさんの驚き交じりの質問に私ははいと答える。


「そ、それはさすがに無茶だ。あのバトルボアは少なくともさっきまでの個体よりも強い上に、1人で同時に5体を相手取るなんて」


 私はそういうパス太に首を振るとこう答えた。


「大丈夫です。実は私にはまだ皆さんに見せてない奥の手がいくつかあって。今回はそれを使うつもりなんです」

「奥の手って、必殺技か何かってことか?」

「まあ、そのようなものです」


 私はペペさんにそう伝えるとそれから3人に向けてもう一度今回の戦いは休んでいてくれていいと伝えると、さらにこう付け加えた。


「それと、できれば今回使う奥の手は他のプレイヤーの方には、その……」


 私が言いにくそうに語尾をしぼめたらその時点で3人はもう理解してくれた。


「わかったわ。つまり玲愛ちゃんの次の戦闘は見ないでほしいってことね」

「はい。あの、もしもどうしても信用できないというならまた考えますけど」


 3人はそれでお互いの顔を見合わせると、最終的な決定はリーダーのパス太に委ねられた。


「わかった。それじゃあここはお言葉に甘えさせてもらうことにしよう。ただ、もしもやっぱり1人では無理だと感じたら僕たちのところに逃げてきてほしい。その時は僕たちも加勢するから。それで大丈夫かな?」


 私はもちろんそれで大丈夫ですと答えた。

 そうしてパス太たち3人には私の姿が見えない位置まで下がってもらうことにしたけど、幸いにもこのクエストの今の状況は豪雨のまっただ中であったこともあってすぐに私の視界からも3人の姿は見えなくなった。それでも私が今から使おうとしている奥の手の前にはどれだけ意味があるのかわからなかったけども。


「さて、じゃあやるか。うーん、あんまり早く終わらせてもパス太たちが休めないだろうからな。ここはどうするか…………そうだな。せっかくだしあいつを呼んでみるか」


 私はそれからバトルボアとギリギリ戦闘に突入しないラインまでやってくると、そこで奥の手を発動させた。


「召喚:マダムバタフライ!」


 私は実際に呼ぶのは初めてだったがそこでマダムバタフライを召喚した。

 うん、そう。第2階層の迷宮ボスであるマダムバタフライさんだよ?

 え、どうしてそれを選んだのかって。いやいやそれはもう決まってるでしょ。


「ポイズンパウダー!」


 そうだよ、召喚したマダムバタフライが使えるスキル、ポイズンパウダー。

 これで広範囲にまき散らされた毒の鱗粉によって眼前にまとまってたむろしてたバトルボア×5が全部毒の状態異常になった。


「うーん、後はもう勝手に体力減っていくんで放置しててもいいけど念のため数を減らしておくか」


 ということで私は攻撃を受けたことでこちらに気づき、いきなり毒をくらわされてちょっと怒ってるっぽいバトルボアたちに向かってマダムバタフライのもう1つのスキル、エナジービームを浴びせかける。

 結果的にそれで4体のバトルボアは消し飛んだわけで。最後の1体は毒で死ぬのを待つか。


「いや、そうだな。どうせならここで盾のスキルの経験値でもためておくか」


 私は左手に装備した蝶々の短剣を、そこで白銀の盾へと装備変更した。

 短剣と片手剣のダブル武器で攻略しているとどうしても盾を使わないから、こういう機会に少しでも盾で敵の攻撃を受け止めて盾のスキルレベルを上げるための経験値を稼いでおこうと思って。


 最後に残ったバトルボア(中レベルの毒状態)は私に向かって突進攻撃をしてくる。

 私はそれを盾でガードしたらなんとそれでも私にダメージが発生した。

 やっぱり第4段階のバトルボアはさっきまでのやつよりもさらに強化されてたか。

 ナポリさんにこのバトルボアの突進攻撃が直撃していたらおそらく一撃で死んでいたと思う。


「でもまあこの程度なら、先にバトルボアの方が毒で死ぬだろう」


 私は後方に少し吹っ飛ばされたが、すぐに体勢を元に戻すと再びバトルボアの突進攻撃を盾で受け止めるというのを延々と繰り返した。途中でライトヒールなどを挟んでHPを回復させつつね。

 そして最後は装備を元に戻した私がバトルボアに短剣を投げ当てて止めをさした。

 視界右上にある魔物カウンターの数字が0になったことを確認して、急いで他の3人の待つ場所へと向かおうとしたらその途中でフィールドに変化が訪れた。


 雷の音がやみ、雨が徐々に小降りになってくると空にかかった暗雲の雲間から光がさしてきて。

 その光は一本の筋となってあの石碑の跡地のある場所に降り注いだみたいだ。

 それでも、まだ空に暗雲は残ったままだったので少なくともまだクエストは終わってはいないはず。


「あれ?」


 だけども私の予想ではきっともっとすごい天変地異みたいなのが起きた後にあの場所にこのクエストのボスモンスターが出現すると思っていた。だからその変化は完全に予想外のことで。

 視界の右上にはすでにカウンターはない。ということは少なくともバトルボアを倒すというここまでの流れはもう終わったということなんだろうが。


「玲愛ちゃん……ほんとに1人で倒しちゃったんだ」


 合流してからの第一声はナポリさんのそんな言葉だった。


「はい。でも……」


 3人もさきほどまで視界の右上に表示されていたカウンターが完全に消滅したことと、フィールドの変化及びさっきの光にはもちろん気づいていたのだけど。


「クエストがこれで終わったわけじゃないんだよな?」

「それは間違いないと思うよ。だってクエストの詳細画面にまだ挑戦中の文字が出てるし」


 ペペさんとパス太はそう言っていた。


「とりあえずあの石碑の跡地に行ってみましょう。何か変化が起きてるかも」


 そうして私たちはそれからまたあの守護者を奉ったという石碑のある場所へと向かった。

 ああ、ちなみにもちろんその前に私もポーションと聖水を飲んでHPとMPは全快させておいたよ。


 ……で、その後のことなんだけども。


 まあ先に言っちゃうとクエストの第5段階というのはどうやら中ボス戦みたいだった。

 いや、最初はそいつがこのクエストのボスモンスターかとも思ったんだけどね。2つの理由からそれは間違いであるという結論に至ったわけだ。


 理由の1つ目は、まあこれはすごく単純な理由だったんだけどね。


「よし、着いたっと」

「うーん、最初に来た時よりも石碑が壊れている以外に、特に変化はないみたいだけど」

「いや、変化はあるぞ。地面の下から湧いてでていたあの黒いもやが消えている」

「え、あ、本当だ」


 私たちは石碑のある、というかあった場所に再びたどりついた。

 道中でモンスターと一切出くわさなかったので、やっぱりバトルボア退治はさっきまでで終了だったみたいだけど。

 私たちが揃って石碑(の破片が散乱している現場)の方を見ていたらそこで突然の地鳴りが起きた。

 そうして次の瞬間には黒いもやが出ていた地面からなんか神秘的な、緑色の光が出てきたと思ったらその光はどんどん大きくなって形を変えていき、そうしてそいつは私たちの前に姿を現した。


「え、ケンタウロス?」

「いや、この場合は守護者だな」


 そいつは上半身は精悍な体つきをした男性で、下半身はまた引き締まった肉を持った馬という姿をしている怪物で手には弓矢を装備していた。ケンタウロス、このクエスト内では守護者とよばれる存在だということはすぐにわかった。

 上半身の顔はなにげにイケメンで、金髪。ただ目が真っ赤だったのはやっぱり守護者もモンスターだということだからか。体躯は以外と小さく、身長3メートルと半分というところか。


「え、え、じゃあこいつがこのクエストのボスってこと?」

「いや、それにしては様子が変だ。HPケージも見えないし」


 そう、私たちの前に現れた守護者にはHPケージが見えなかった、この時はまだ。


「あ、黒いもやが!!」


 そして私たちの前に現れた守護者は現れた時点でもう体中傷だらけの満身創痍で、かなり弱っている様子だった。そこに石碑跡地の方から再び黒いもやが湧きだしたかと思えばその黒いもやは守護者の方へと向かい、そうして守護者の体にまとわりついた。


 そう、もうここまで言ったらわかったよね?、つまりこのクエストの中ボスとは。


「え、ねぇちょっと、あれって」

「ああ、そういうことだろうな」

「まさか守護者が敵に回るとは」


 理屈はわからない。色々と推察できることはあるけどどれも確証はない。

 守護者は自分の存在と引き換えに暴れまわっていた魔物の魂を封印したという話だったが、あるいはその長い長い封印の中で何かがあったのかもしれない。

 ただ、目の前で起きた事実だけを述べるとしたらこうだ。


 守護者は黒いもやに包まれるとそれから苦しみだし、体中の体色がなんかダークなカラーにチェンジ。

 カラーチェンジが終わったところで守護者はすごく元気になったみたいだけど、その直後に守護者の頭の上にHPケージとモンスター名が表示された、と。


「ダークガーディアン、ね」


 それがモンスター名。体力は200%と大ケージ2本分であり、普通で考えたらもうこいつがボスだと思っただろうけど、でも、むしろ今までのバトルボア退治の難易度から察するにそれでもボスの体力は低いような気がしてならなかった。


「っていうかこれ、ボスじゃないわよね」

「たぶん、こいつを倒した後にラストにあの黒いもやの元凶となった魔物と戦って終わりだろう」

「じゃあつまりこいつってラスボス1個前のボスみたいな感じ?」

「まあ、普通に考えるならな」


 私たちがダークガーディアンを中ボスであると判断した理由その1は、ダークガーディアンは元は守護者であって、おそらくこの戦いの後で守護者が封印していたと思われる魔物との戦いが待っているんだろうなと予想できたから。


 で、もう1つの理由は戦ってみてわかったんだけど、ダークガーディアンはこの階層で最高難易度のクエストのクエストボスにしては弱かった。

 もちろんそれでも普通にボス級のモンスターとしては強かったし、まああまりモンスターの強さを別のモンスターで比較するというのもどうかと思うけどたぶんドラゴンよりちょっと弱い程度、かな。

 これならまだあの『野菜大作戦!』に登場したベジタブルキングの方が強かったんじゃないかな。

 私はベジタブルキングをかなり邪道な方法で倒したから一概には言えないけど。


「敵の武器は弓矢みたいだから距離を取るのは控えてまずは散開しよう」

「「「了解」」」


 というわけで私たちはダークガーディアンの四方を囲む形でフォーメーションを組んだ。

 そこから戦闘開始となったわけだけどまず1つだけ言っておくと、その最初のフォーメーションは直後に無駄になったとだけ。


「跳んだ!」


 そう、跳んだんだよ。私たちが取り囲む中でダークガーディアン、もう長いんでDGと略すけども、DGは思いっきり跳躍して包囲を抜けた位置へと着地、はい、この間わずかに5秒ね。

 それを速いととらえるか遅いととらえるかは人によるだろうが、少なくとも私たちは戦闘の出鼻をくじかれることとなったのは明白だ。


 それで、そこから本格的にDGとの戦闘が始まったのだけど。


 まずDGの第1形態の攻撃方法についてさらっと紹介しておく。


 ①突進攻撃

 速さはクエスト第3段階のバトルボア程度だったが、力の値が高いのか食らうと大ダメージを受ける。

 私とナポリさんは回避できるが、ペペさんは直撃必死で注意が必要。パス太は距離が離れていればぎりぎりで回避が間に合うが、盾で受け止めようとするとはるか後方に弾き飛ばされる上に最大HPの4割近くを削られていたのでそこからは回避に専念。


 ②弓矢を射る

 1射だけだが攻撃速度が速く、これはナポリさんですら回避できない。

 ただし矢を放つまでの間に大きな隙があり、この時にダメージを与えると矢を射るのをキャンセルできることがわかってからはむしろ反撃のチャンスに。


 ③ジャンプしてからの踏みつけ

 これはジャンプした時の滞空時間が割と長かったために全員回避可能だった。


 ④後ろ足での蹴り

 DGの背後にプレイヤーがいると使用してくるが、なら後ろに回り込まなければいいということで事実上使用してこなくなった。


 そして戦闘開始直後の段階では攻撃方法はこの4つだけであり、やはり1番危険なのは①の突進攻撃だった。だからDGの真正面には基本的に私が陣取ってメインで攻撃をしかけてDGの注意をひきつけて、できるだけ私以外の3人に突進攻撃がいかないようにすることでメンバー全員がダメージを追うリスクが激減した。


「あの、ナポリさん。今から私が全部の属性の魔法で1度ずつやつを攻撃するんで、他よりも多くHPを削れたのがあったら教えてください」

「え、全属性の魔法ってちょっと!」


 私は動体視力に優れるナポリさんにDGのHPケージに注視しているように頼むと、それから宣言通りにDGに向かって全属性の魔法を1度ずつ放った。

 魔法は威力よりも命中させることを優先して全部アロー系の魔法にしたけど、おかげ私のMPが大幅に減ったんでその後で隙を見て聖水を飲んだわけだが。でも収穫はあった。


「どうでした?」

「光と雷属性、かな。他よりは効いてたと思う。逆に火、土、闇属性はほとんど効いてなかったわ」

「わかりました。光と雷ですね」


 DGの弱点属性が判明するなり私たちはその情報を共有した。

 結果各々その弱点属性の技や魔法で攻撃するようになったことでDGのHPはすごいスピードで削られていってすぐに大ケージ1本分を削り切った。


「皆さん気をつけて。ボスは体力が減ると攻撃パターンが変化したり増えます!」

「大丈夫、みんなもう知ってるわ。ドラゴン戦でそれはもう痛いほど知ったから」


 ああ、そうか。じゃあ今のは余計な助言だったかな。

 しかし、やっぱり4人パーティだとソロプレイよりもボス戦が楽でいいな。

 ここまで特にそこまで苦戦もせずに戦ってこれたし……と、私が思ってたら甘かった。


 体力が残り半分をきったDGは、そこから驚きの戦法を使ってきたのだ。

<モンスター辞典>

〇ダークガーディアン

伝説族。第2階層の住人クエスト『草原の守護者』に登場するモンスターで、クエストボスモンスターの前に戦うことになるクエスト中ボスモンスターである。

もともとは人間の味方であったはずの守護者だが、長い封印の中で疲弊し、闇に心をとらわれてしまいモンスターと化してしまったものであり、もともとの守護者自体はモンスターではない。

(この守護者の存在については先の階層で正体が判明する。)

弱点属性はすでに本編内で判明した通り光属性と雷属性で、火、土、闇属性に耐性あり。

特に闇属性の攻撃に対してはダメージを完全無効化してしまうので注意が必要。

攻撃方法等については今話および次話参照のこと。


なお、先の階層にはこの守護者を小さくした姿のモンスターでケンタウルスというモンスターが登場するが、それはだいぶ先の話なので別に覚えておく必要もない。

また今話の本編内でダークガーディアンのカラーリングについてダークなカラーと表現しましたが、一応ここで色の変化について説明しておきます。


髪の毛:金→紫 目の色:赤→青

上半身:肌色→黒っぽい灰色 下半身(馬):茶色→黒


その他細かな部位のカラーリングについてはご想像にお任せします。

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