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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第2階層―GREEN―
66/171

ニートな女神と初めての手料理

アストレアの得意料理は実はオムライス(本編未記載)だけど本編ではパスタを作りました。


 ――神界の私の部屋――


 街に戻ってからすぐにログアウトした私は現実世界に帰ってくるなりすぐに起き上がりゲーム機を頭から外し、そしてすぐに外へ行く支度を済ませると財布を握りしめて部屋を出た。

 アパートから歩いて5分のところにスーパーがあるのでそこへ向かう。


「えーっと、パスタだから。まず具材は……おっ、アサリ発見!」


 私は買い物かごを手に下げながら割と急ぎめでパスタの具材を選んでかごにいれていく。

 その結果今日のパスタは海鮮になった。本当はスパゲティでも良かったと思うけど魚介類が安売りしてたから。

 問題はメインとなるパスタの方であって、売り場を念入りに探してみたがやはり麺類トリオの言っていた会社の製品は見当たらなかった。

 ちょっと残念に思うけど今はとにかく時間もないので神界で1番で売れているという触れ込みのパスタを取ってかごにいれた。


「ああ、飲み物……まあ一応買っておくか」


 そうして私は最後に2リットルのオレンジジュースのペットボトルをかごに入れるとレジへ向かった。

 会計を済ませて大きな袋を1枚(金取られる)をつけてもらって私はかごを持ってカウンターのところへ行くと速攻でレジ袋の中に商品を入れるとかごを戻して店を出た。

 時間は午後5時49分。ふう、なんとか間に合いそうだ。

 ちなみにもちろんレシートはもらったよ。後でヤヌスに請求するんだから。


 アパートに戻ると私は1度自分の部屋に入り、平服に着替える。

 そして髪とか乱れてないか軽くチェックしてからレジ袋を持って部屋を出るとそのまま隣の部屋へ。


「そういや、なんだかんだ言ってヤヌスの部屋に入るのってこれが初めてだな」


 いや、いくら同じアパートに住んでいるとはいえ付き合いで他人の部屋の中まで入ったことがあるというやつは少数派だろう。

 私はよくヤリーロの部屋とか食料品たかりにいくけど。ヤヌスの部屋は今日が初めてだった。


 私はちょっとワクワクしながら玄関のチャイムを押した。

 すると押してからわずか3秒で扉が開いてまじでビビった。え、何。待ち伏せでもしてたの?


「やあ、アストレア」

「お、おう。約束通り来てやったぞ」


 ヤヌスは白いワイシャツと黒いズボンという恰好だったけど、こいつはまあ顔がそれなりにイケメンだから基本何着てても様になる。……私と違って。


「さあ、入って入って」

「おう。それじゃあま、おじゃましまーす」


 私はヤヌスに手招きされるままに部屋の中に足を踏み入れた。

『はしくれ荘』は全部で10部屋あるが、部屋の間取りや広さ、設備環境はほぼ全て同じだ。

 住人が希望して金さえ払えば後から色々付けられたりもするけど。

 ただ、ヤヌスの部屋は私の部屋とは違ってちゃんと整理整頓されてたというか、掃除も行き届いていたようだから清潔感はあった。

 ただちょっと家具とか物とかが少ない気もしたけど、それはヤヌスがそもそもそういうものに執着しないやつということなんだし、普段からよく部屋を明けて仕事場にいることが多いこいつはそこまで部屋を着飾らないんだろう。

 逆にいつも部屋に引きこもってるヤリーロなどは完全に部屋を自分空間に変えているわけだけど。

 まあ、部屋に引きこもってるのは私も同じか。


「意外と綺麗なんだな」

「あはは。いつもはもっと散らかってるんだけどね。今日は朝から、ああいや、アストレアが来る前に掃除したんだよ」

「ふうん。その割にはキッチンのシンクまでぴかぴかに磨かれてるみたいだけど?」

「それは……あ。そんなことよりも、今日はいったい何を作ってくれるんだい?」

「うん。今日はな、パスタだ」

「え?」

「パスタだ。なんだよ、何か不満か?、それともお前パスタアレルギーでも持ってるのか?」

「いや、えっと。ううん、そんなことはないけど」


 私はヤヌスがいまいち反応が悪いことに疑問を抱いたが、まあ元はいうと今日ヤヌスに手料理を振る舞うと言い出したのは私の方だしな。


「だって私、お前の食べ物の好みとか知らないし。だから人に聞いたりもしたら、男は女が作った手料理ならなんでも喜んで食うって聞いて」

「それ誰に聞いたの?」

「居酒屋のウケモチのおっさん」

「そ、そう。まあ僕は別にパスタが嫌いとかじゃないし、食べられないものもないから大丈夫だよ」

「そっか。それならいいんだけど」


 私はヤヌスの部屋のキッチンのところでレジ袋を置くと中身を取り出していく。

 まずオレンジジュースは先に冷蔵庫に入れさせてもらったが、驚いたことに冷蔵庫には水の入ったペットボトルしか入ってなかった。


「ヤヌス、お前これ……」

「ああ、僕は基本その日食べる分の食材はその日買って、その日のうちに消費するからいつもそんな感じだよ?」

「いや、でもさすがに……」


 調味料の類も一切なかったのだけどこいつ普段味付けとかどうしてんだろうか。

 まあ、いいか。よくわからんがそういうやつもいるんだろう。


「じゃあ、キッチン借りるぞ。あ、確認だけど鍋とか皿はもちろんあるよな?」

「う、うん。さすがにそれはあるよ」


 もしもそれがなければ今日はこのまま帰れるんだけど。

 あ、でもそうしたら日頃のお返しというか、当初の目的が果たせないから意味がないのか。くそ、なんで私手料理作るとか言っちゃったんだよ。


 私はすごくいまさらながら面倒くさいなと思いつつも、それでも手を抜かずにテキパキとパスタを作り始める。

 ヤヌスが途中で何か手伝おうかと言ってきたけどアパートのキッチンスペースは狭く、そもそもパスタってそこまで作業工程ない料理だし断っておいた。

 お前はいいから静かに待ってろといったらヤヌスはすんなり引き下がった。聞き分けいいな、今日は。

 そうして具材の準備を終えて後はパスタと共に鍋でそれぞれ茹で上がるのを待つだけとなった時に、それまで沈黙を守っていたヤヌスが声をかけてきた。


「そういえばさ、アストレア」

「んーーーー。なんだーーーー?」

「アストレアは、今年の夏祭り行くの?」

「え!?」


 私はヤヌスからの唐突な質問に思わずそう叫んでしまった。


「いや、とくに行く気はないけど」

「そう…………」


 ただ、ヤヌスは聞いただけで別にそれ以上その話題を膨らませる気はなかったみたいで。

 でもそれだと急に会話が終わってしまって、しかもなんだが私が終わらせちゃった感がすさまじく、私はそれは嫌だったので会話を続けることにした。


「そういうヤヌスは行くのか?」

「うん」

「え、行くの?」

「うん、親方たちと一緒にね。夏祭りの屋台あるでしょ?、あれの組み立てとかいつもうちの工房がやってるんだって。もちろんうちだけじゃないみたいだけど」

「ふうん…………」


 家具職人というのは家具作りだけでなく建築もやるのか。

 まあ屋台くらいなら同じ木を削りだして物を作る職業だからそういうこともあるんだろう。

 ただ、またそこで会話が終わってしまった。いや、今のは私は悪くないよな?


「……祭りっていつだっけ?」

「3日後の夕方。そこから3日間。今年は例年よりちょっと遅いかな」

「ふうん。じゃあ神もたくさんくるのか」

「うん。アストレアは神の多いところは苦手?」

「うーん。まあそうだな。あんま好きじゃない、けど。親とか友達とかと一緒にだったら昔はよく行ってたよ、こっちくる前」

「ふうん。じゃあ今年はなんで行かないの?」

「なんでって、いや今言ったでしょ。私は1人ではあんまし、そういう場所はいかないんだよ」


 私はパスタが茹で上がったのを確認するとそれと具材を混ぜ合わせて、そうして2枚の皿にそれぞれ盛り付けながらそう言った。


「今年は一緒に行く友達とかいないんだ」

「うん。というか、最近は特に誰かと一緒にどっか行く機会も減ったし。地元の友達とも、もう今はあまり連絡とってない。……よし、出来たぞヤヌス」

「お、ついに完成かい?」

「おお。我ながらうまく出来たと思うぞー」

「ふふふ。じゃあ飲み物出すよ」


 そうして私とは部屋に1台あった大きめのテーブルの上に出来たパスタを2皿置く。

 ヤヌスはガラスのコップを2個容易して、そこにさっき私がしまったオレンジジュースを冷蔵庫から取り出すと注いだ。それから食器の準備も済ませると私たちは座って。


「それじゃあ食うか」

「うん」

「「いただきます」」


 作ったパスタはもちろん美味かった。けど私的にはもう少し茹でた方が良かったかなと思ったけど。


「どう?」

「うん。すごく美味しいよ。アストレアって意外と料理上手なんだね」

「いや、これくらいなら誰だって作れると思うけど……って、今意外とって言った?」

「あははは。でもアストレアも僕の部屋を見た時に言ったじゃない。意外と綺麗だなって」

「ん。そうだったな」

「だから今のはおあいこだよ」


 ヤヌスってけっこう記憶力良いっていうか、ねちっこい性格だったんだな。

 まあそれでも、やっぱり自分が作った料理を誰かに食べてもらって、それで美味しいと言われることは普通に嬉しかったよ。

 ヤヌスはお腹空いてたのかすぐに一杯目を食べ終わるとおかわりを所望してきた。

 お前、そんなに腹減ってのかと聞いたらなんと今日は朝から何も食べてなかったという。

 ヤヌス、お前も私のこととやかく言えないだろうに。


 神は不死だ。だが不滅ではない。

 人間と同じように神にもある一定の時期がくると寿命を迎え消滅することもあるし、それ以外にもいくつかの要因により神がこの世界から消えるということはある。

 ただ、神は人間のように病気になったりして死ぬことも、空腹をこじらせて餓死することはない。

 と、そう言われてはいるがあまりに空腹な状態が続くとやはり寿命が縮んだりして消滅に近づくからあまり推奨されてはいないのも事実であって。


「ヤヌス、お前飯くらいちゃんと食えよ」

「アストレアにだけは言われたくないセリフだね」

「私はいいんだよ、ニートだし。でもお前は少なくとも、その、ちゃんと働いてるんだしさ」

「ふふふ。じゃあ僕もニートになろうかな」

「っ!……お前なぁ~」


 私はヤヌスの態度にあきれつつも、でもそうなったらなってでちょっと面白そうだなとか思った自分がいることを少しだけ恥じた。

 ヤヌスがニートとか、それもう天変地異の前触れか何かじゃねぇの?

 こいつは下界を滅ぼす気なんだろうか。もしそうだとしたらちょっと困る。

 まだあのゲーム始めたばっかで今ちょっといいところだから。せめて滅ぼすなら私がゲームに満足するか飽きるまで待ってもらいたいな。


「「ごちそうさまでした」」

「いやぁ、本当に美味しかったよ」

「お、おう。まさか作った分全部食うとは思わなかった。私はてっきり残ったら明日食うことになるんだと思ってた」

「ははは。言ったでしょ。僕はその日のうちに消費するんだ」

「お前、空腹以前に実はけっこうな大食漢だろう?」

「それはアストレアだって。貧乏人は誰だってそうさ」

「いや、それはどうかと思うけど」


 むしろ貧乏人の方が普段から節約とかしてる分少食になるんじゃなかろうか。

 とは思ったが、まあこの話は平行線になるだろうしやめとくか。


 そして食事が終わった後で私が皿洗いをしておこうと思ったらヤヌスに止められた。

 さすがに片付けくらいは自分で出来るからと言っていたけど、まあ作るときは何も手伝えなかった分片付けまでやらせるのは忍びないってことなんだろう。私はそれに従ってそれから帰り支度をした。

 あ、そうそうもちろんヤヌスに今日の料理に使った食材の代金。スーパーで取っておいたレシートを見せてちゃんとせしめたよ。値段は……まあそんなにかかってはないよ。


「それじゃあ私は帰るよ。って言っても隣の部屋にだけど」

「うん。あのさ、アストレア……」

「んー。なに?」

「いや、これは別に深い意味があって言うわけじゃないんだけども……」

「なんだよ、勿体つけて。あ、言っておくけど手料理はもうなしだぞ。面倒だし」

「いや……うん。じゃあ言うけど……」


 そして玄関先で靴を履き終えてまさに帰る直前という私に向って、ヤヌスは言った。


「夏祭り。あの、もし良かったら僕と一緒に行かないか?」

「…………え?」

「いや、だからその。えっと、これはそういんじゃなくて。あくまで友達として」

「え、ちょっと待って。まず、1個良いか?」

「う、うん。なに?」

「私たちって、友達だったの?」

「え?」

「え?」


 あ、やばい。今の言葉ちょっとしくったかもしれない。

 なんかヤヌスがそれ聞いてすごくショックを受けた感じになってる。

 うーーーーん。うん。まあそうだな。こうしてお互いの部屋に来たりとか、料理を作ったりとか。

 普通はしないんだよな。アパートの隣人レベルでは。


「なんて、冗談だけど」

「ちょ、え!?、今の、え!?」

「なんだよ。少なくとも私は、お前のこと友達だと……思ってる?」

「なんで疑問形なのさ!?」

「うそうそ友達だって。それで、あー、なんだっけ。あ、夏祭りな。でもなんで私と?」


 そう、私が本当に聞きたかったのはそこだ。

 ヤヌスは、少なくとも今の私よりは交友関係も広いだろうし友達なら他にもいるだろう。

 それなのにわざわざ私を誘うことの意味がわからなかった。というか私はこれでも女だ。

 それでヤヌスはもちろん男。普通は友達と祭りに行くなら同性の神と行くだろう。


「それにお前、屋台組み立てに行くんじゃなかったのか?」

「うん。でもまだ僕は見習いだから。その、2日目と3日目の夜は空いてるんだ。アストレアを誘ったのは、アストレアもたまにはそういう場所に行けば、少しは気分転換になるんじゃないかと思って。だってアストレア、毎日ずっと部屋に引きこもってるでしょ?」

「余計なお世話だし。それに私、祭りに来ていく服とか持ってないぞ」

「別にそのままでいいんじゃないかな。僕だって当日は仕事着なんだし」

「いや、そりゃお前はそれでいいかもだけど……」


 でも待てよ。私もヤヌスへの日頃の差し入れに対する恩返しに、今日の手料理だけじゃ釣り合いが取れてないんじゃないかと思ってたし、むしろこれは好機なんじゃないだろうか。

 別に私は絶対に祭りに行きたくないわけじゃないし、ヤヌスと……友達と一緒に見て回るというのなら行ってもいい。


「あー、じゃあ1日だけな。お前にはいつも色々もらってお世話になりっぱなしだし。今日の分を差し引いてもまだ足りないと思ってたから、日頃の感謝の気持ちを込めて付き合ってやるよ」


 私がそう答えるとヤヌスはなぜか凄く喜んだ。私はこんなに喜ぶなんてこいつ実はそこまで友達多くないか、あるいはすでに友達全員に断られでもしたのかなと思った。

 あ、なんかそう思うとちょっとこいつが可哀想なやつに見えてきた。


 え、そういう私はどうなのかって?

 そりゃあ私は元から行くつもりも一緒に行く相手もいなかったわけだし特には何も。

 ただ、まあ行くなら行くでせっかくだし祭りを楽しむのはやぶさかではないな、うん。


「本当に?、本当にいいの?」

「なんだよ。そっちから誘ってきたくせに」

「いや、その、あの、あれ?、僕はてっきり断わられると思ってたから、その、嬉しくて」

「ふうん。あっそ。じゃあやっぱ断わろうかな~」

「ええ!?」

「ふふふ。冗談だよ。それで、お前はいつがいいんだよ。2日目と3日目の夜が空いてるって言ってたな」

「ああうん。じゃあ2日目の夜でどうかな?」

「オッケー。じゃあ4日後な」


 そうして私たちは4日後の夜、私が祭り会場に行って先に来てたヤヌスと合流するという形で話はまとまると、私はヤヌスの部屋を出た。


「はぁ~。疲れた」


 自分の部屋に戻ってきて早々に私はそう言った。

 ヤヌスは、まあ理由は聞いたけどそれでもまだ納得がいかないんだよな。

 いや、いつも差し入れとかくれるからあいつが割と世話焼きだというのは知ってたつもりだけど。

 でも、そうか。あいつは少なくとも、私のことを友達だとは思ってたんだよな。


「ん、待てよ?」


 というか、そもそもヤヌスはどうして私にいつも差し入れをくれるんだろう。

 たしか最初は、あいつの実家が農家をやってて。定期的に送られてくる野菜を自分ひとりじゃ食べきれそうにないからってことで野菜や果物とか差し入れてくれてたんだよな。

 私もここに引っ越してきて最初の方は、まだ自分がニートであるっていう自覚はそんなになかったから、くれるというなら全部もらったし、あいつのくれる野菜類はどれも新鮮で美味しくて……ってそうじゃなくて。


「最初の方は野菜とかだったけど、最近ではコンビニのアイスとか、普通に自腹で買ったものを奢ってくれたりして……あれ、いつからそうなったんだっか?」


 私はヤヌスとはもちろんここに引っ越してきてから出会ったわけであって。

 それに引っ越してきた当日にちょっと挨拶しただけでそれ以外にとくにあいつと話をしたりした記憶はないのだが。

 これはやっぱりあれか。ヤヌスは、私のことを憐れんでいるんだろうか。

 いや、きっとそうに違いない。あいつは、神のくせに定職にも就かずにここでこうしてダラダラとニート生活してる私を内心で嘲笑って……る、ようにも見えないんだよな。


「あーーーーー。くそ!、わっかんねーよ。もういいや!、ゲームしよ」


 現実で何かわかんないことやストレスがあったらゲームをしてそれを発散させるといい。

 今日はもう、夜通しプレイしてレベル上げでもすっかな。


<第2階層:花の都フローリア:自警団本部>


 私はゲームにログインするなりさっきの続きというか、クエストクリアの報告をするために依頼人であるカーズの元へ行った。

 カーズは、私が本当にたった1人で花畑の問題を解決したことにすごく驚いていたけど、すぐに気を取り直すとクエストの報酬をくれた。


 クエストの報酬はボスクエストということもあって豪華だったよ。

 まずは武器と装備品が1つずつ。それとなぜかしら色の花を20個ずつもらった。

 赤い花、黄色い花、白い花、青い花、紫色の花、ピンクの花というこれまでにも手に入れていた6種類の色付き花が各20個ずつ。

 まあ、花畑の異常を解決したんだし報酬としてわからなくもないんだけど。


 それで武器の方だけどそれは杖だった。うん、だから私はまだ装備できないんだよね。

 クイーンビーからもらった女王の錫杖も余ってるし、出来れば早いとこ杖を装備できるようになりたいんだけども。

 そういや装備できる武器が増えるようになるクエストって、この階層にはないのかな。

 残りの26個ある住人クエストの内容を、もっとちゃんと確認しておこうか。


 〇フラワーロッド

 ING+23

 特殊効果:回復魔法を使った際に回復量が15%上昇する。


「ふーん。まあこんなものか。ヒーラーなら喜んで使いそうな杖だ」


 ついで装備品の方も確認したらこれがちょっと面白かった。


 〇花のかんむり

 ING+10%

 特殊効果:1戦闘中に1度だけ、装備プレイヤーが状態異常になった時にそれを治癒する。


「ほおー。なるほど」


 この花の冠という装備品、もちろん頭に装備するもので。

 まあ名前の通りまんま花で作ったサークルの冠で見た目はすごい可愛いんだけど。

 でも効果もけっこういいんだよね。状態異常って書いてあるってことは毒とか、麻痺とか種類を選ばずになんでも1度だけ、それもたぶん程度によらず直してくれるんだろうし。

 ただ、1戦闘中に1度だけっていうのがネックではあるんだけど。


「でも私は装備しないよ。私は今全身ドラゴンシリーズの装備で固めてあって崩したくないし。それに毒、麻痺、眠りならもう効かないんだしね」


 この先別の状態異常を引き起こす攻撃をしてくるモンスターが出てくるなら、その時だけ被ってもいいかもしれないけど。


 私はカーズに別れを告げると自警団本部を出て、その足で冒険者ギルドへ行き受付でクエスト達成の報告を済ませた。この時ばかりはもう馴染みのお兄さんもちょっと驚いて、称賛してくれたけど。

 とにかくこれでクリアした住人クエストは24個になった。残りは26個でそのうち2つはボスクエストだということは知っているけど。


「あの、この街に何か装備、新しい武器が装備できるようになるクエストとかってあります?」


 私は受付のお兄さんにそう聞いた。するとお兄さんはにっこりと微笑んで頷くと答えた。


「ええ、ございますよ」

「え、あるの?」


 私はそれを聞いてちょっと驚きつつもお兄さんにそのクエストの名前を聞いた。


ということでアストレアは4日後の夜にヤヌスと夏祭りに行く約束をしました。

そこでまあこれからなのですが、この第2階層も同じくらいのタイミングで突破したいなと。

ええ、つまり祭りの前か後になるかは未定ですがだいたいそこで玲愛は迷宮を突破する予定です。


ですが、その前までにまだ牧草地帯(夜)、沼地の昼と夜。さらに迷宮の攻略に加えてボスクエストを2つ残っているのでまあ時間が足りなくなるでしょう。

なので、玲愛はボスクエストの残り2つのうち、ヤタガラスと同じレベルのボスが出るという最高難度のものは迷宮突破後に挑戦することにして他にもいくつか住民クエストを残します。

(もっともこれは第1階層の時も同じでしたが)


なので牧草地帯、沼地、迷宮とボスクエストの簡単な方1つのエピソードを書いて、とりあえずは玲愛は第2階層をクリア。ただし物語の第2階層編についてはちゃんとその後の最高難度のボスクエストまで書くのでそのつもりで。


何がいいたいのか言いますと、第2階層編のラストは迷宮ボス戦ではないということです。

後はまあ、ちょいちょい小さなエピソードも挟みつつと言ったところで次回予告を。


次回、玲愛は夜の牧草地帯を攻略。そして片手剣に次ぐ新たな武器が装備可能に!


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