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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第2階層―GREEN―
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ニートな女神と初めての羊

玲愛の必殺技は本当は別にあるけど、召喚スキルももう必殺技になってるよねってお話。

 ゴッドワールド・オンラインの世界ではモンスターにもレベルや個体ごとの能力値が設定されていて、もちろん盾などを持ったモンスターにはガードやカウンターが発生することもあり、当然のようにモンスターの攻撃もクリティカルが発生することもある。

 ただ、クリティカルは本当に稀に発生するものだから戦闘中あまり意識することはないのだけど。


「え、眠ってる時は全部クリティカル攻撃になるんですか?」

「ああ。だけど眠り(微小)なら敵の攻撃を一発くらえばすぐに目覚めるから。まあ(中)や(大)にもなれば致命的なんだろうけど」

「そ……そうですね」


 私はルドルフの言葉を聞いて少し安心した。

 けどもたった1回とはいえ眠ったら確実にクリティカル攻撃をくらうことになるとは。


 現状、私の耐久の値は装備やスキルの効果で最大限に高められていて通常の物理攻撃では、ウェアウルフやフォレストベアクラスのモンスターでもないと攻撃を素で受けてもダメージは0だ。

 しかしクリティカルは通常のダメージよりも数段威力が上のまさに会心の一撃であり私の防御力を超えてダメージを与えてくる可能性が非常に高い。

 そして自分では自分の治癒は不可能というマジで最悪な状態異常だな。


「どうする。眠り消し薬買って行くかい?、それとも他に何か?」

「いえ、いいです。私は今のところ1人ですから、買っても意味ないですし」

「そうかい。まあ、そういうことなら仕方ないか」

「ええ。あ、でも聖水をいくつか買わせていただきます」


 私はすでに聖水に関しては調合で作ることができるけどまだ数はないし材料となる魔力草も1個作るのに2つずつ消費するので数が多く必要になる。

 だから効果の高い私が作った方の聖水はボス戦とか、あとは緊急用ということにして普段のフィールド探索ではまだ店売りの聖水を使うことにしている。

 そして私はアイテムボックス内に念のため常に聖水は100個は確保してある。

 そんなにいらないんじゃないかとも思うのだが私は結構魔法やスキルを多用するので多めに持っておいて損はない。


「まいど。それでお嬢さんはこれから牧草地帯に向かうのかい?」

「ええ、そのつもりです」


 私がルドルフにそう言うと今度はエメリアが私に声をかけてくれた。


「牧草地帯にはスリープシープ以外にも厄介なモンスターがいるらしいから、気をつけてね」

「え?、ああ、はい」


 私がそう答えるとエメリアはそこで俯き、少し声のトーンを落として聞いてきた。


「ねぇ。さっきあなた調合のスキルがすごく役にたってるって言ってたけど。それ本当?」


 うーん?、その質問にはどう答えればいいのか。まあでもここは正直に言うか。


「はい。初めての生産系スキルっていうのもありますし、何より自分で素材を集めて回復アイテムを作るっていうのはすごく良いスキルだと思います。それに出来たアイテムは普通より良い効果のものになることもあって、それも嬉しいですから」


 ……うん。少なくとも嘘は言ってないぞ。嘘は。

 ただ私の場合は素材アイテム集めも苦労せず、作ったアイテムはすべて最高品質のものになるから他のプレイヤーが調合その他の生産系スキルを使った時ほどの感動はないのかもしれないけど。


「……そう。そうなの。…………あ、ごめんなさいね。唐突にこんなこと聞いちゃって」

「いえ、特には」


 さっきからずっと思ってたんだけどこの人は調合スキルというものをあまり良く思っていないような節が見え隠れしているけど過去に何かあったのだろうか?

 いや、あるいは自分の生んだ息子が第1階層でプレイヤーに調合スキルを教えているということに何かしら思うところがあるのだろうか。


「私、初めてだったから。調合スキル持ったお客さんと会うの」

「まあ。これ言っちゃあれなんですけどぶっちゃけあんまり人気はないみたいですよ。リックスさんも自分で教えておきながらそう言ってました」

「そう。あの子が……」

「だけどリックスさんはこうも言ってましたよ。このスキルは極めればきっとすごいスキルになると思うからって。私も、別にその言葉を完全に信じてるってわけでもないんですけど、せっかくいただいたスキルなので出来る限りのところまでは極めてみようかな、と」


 私がそう言うとエメリアは目に涙を浮かべたがすぐにそれをポケットから取り出したハンカチでふき取るとまた元の顔、声に戻って最後は笑顔でこう言った。


「そう。そうなのね。……ありがとうね。そう言ってもらえてきっと息子も喜ぶと思うわ」

「そうですかね?」

「ええ。それじゃあ気をつけてね。また何か足りないものがあったらいつでもうちの薬屋に来てね」

「はい。また来ます」


 私はエメリアに礼をするとルドルフにも礼をしてから薬屋を出た。

 ふむ、まあ何かしらの事情はあるっぽいけど2人とも良い人そうだったな。さすがリックスの両親というだけのことはある。

 とくにルドルフなんて……きっとリックスがもっと歳を取ったらああなるに違いない。

 まあ、ここはゲームの中だからプレイヤーはともかくとしてNPCの見た目や年齢なんかはずっと変化しないはずなので考えるだけ無駄だけど。


 ああでも、そういやこのゲーム世界にも時間の概念はあるんだよな。

 NPCたちはいつまでも変化しない自分や周囲の環境に疑問を抱かないのだろうか?

 いや、最初から抱かないようにプログラミングされているのか、あるいは1定周期毎にNPCの記憶や記録等はリセットされているのかも。

 というか絶対後者なんだろうな。あ、そう考えると例えばこの先1年後くらいにまたこの階層のこの街に来た時にはあの2人は私のことなど忘れているに違いない。

 もちろんこれまで私が出会ったNPCたちも同様に。


 寂しいような気もするけどそもそも現実でも1年間まったく連絡等も取らない相手のことなどそれ以上に長い時間を共に過ごした者でもなければ忘れてしまうのも無理はないだろう。


「このゲーム内のNPCの記憶情報はいったいどのくらい持つのか」


 私はそんなことを考えながらフローリアの街の西門を目指した。

 この街にあるフィールドへと続く3つの門、その西門から先が牧草地帯だ。

 エメリアはスリープシープ以外にも厄介なモンスターが出ると言っていたけど、さて何が出てくるかな。新しい場所へ初めて行く時はいつもこのドキドキを味わえるから好きだ。

 第1階層では、情報屋を頼ったこともあったけど。


「牧草地帯の攻略が終わったら次は最後のフィールドの沼地だし。その後はもう迷宮ダンジョンだから、またその辺になったら探してちょっと聞いてみようかな。とくに迷宮のボスのことについて」


 第1階層の迷宮のボスであるドラゴンとは、事前情報なしに本当に初見で戦って危うく死にかけたからな。この階層ではそれは避けたいって言うかこの先の階層でも死ぬのはごめんだから。ボスや迷宮ダンジョンの情報についてはあらかじめある程度知っておいた方がいいだろう。

 正直、ドラゴンに関していえばあの時点で事前に攻撃方法や弱点を知っていたとしても苦戦は免れなかったと思うけど。やっぱり次の階層に向かうのに最後に立ちはだかるボスは強いよね。

 第2階層の迷宮の奥で待ち受けるボスも、ドラゴン以上の強さだとするなら用心するに越したことはないのだし。


「ま、今は目の前の冒険に集中だな」


 私はフローリアの街の西門の前にたどり着くと迷わず門をくぐってフィールドに出た。


<第2階層:牧草地帯>


 牧草地帯と言うと一面に草が広がっているような景色を想像するだろう。

 それは正しくて門の外にはもう一面が草、牧草が広がっていた。第1階層の平原に似てるけどところどころ傾斜もあって完全に平らな土地というわけでもなさそう。

 そして私はさっそくフィールドを歩き始めたが、そこで遠くに何やら木で出来た策で囲われた一帯と、その策の中にいくつかの建物があるのを発見した。あれが牧場だな。まずはあそこを目指すか。


 牧草地帯での初戦闘はゴブリンランスが2体とゴブリンメイジが1体のパーティだった。

 まあ、初めて訪れたフィールドでの初めての戦闘で、そのフィールドで初めて出現するモンスターと遭遇するとは限らないのでこういうこともあるだろう。

 私は手早く3体のゴブリンを片付けた。ちなみにここでもゴブリンメイジはファイアーボールではなくサンダーボールの魔法を撃ってきたのでもしかするとこの階層では全部そうなのかも。

 森と同じでここも草原なので火は厳禁ということももちろん考えられるのだけど。


「まあ、どっちでもいいや」


 私はドロップアイテムの回収を済ませるとまた探索を開始した。

 そういや、ゴブリンたちからもらった木製の武器とかもそろそろ溜まってきたから武器屋に行ってまとめて売らなきゃな。なんだかんだでフローリアの街の武器屋にはまだ行ってなかったし。


 牧草地帯に出現するモンスターは全部で9種類とこれまた森と同じで多い。

 けど、もしかするとこの先の階層でも1つのフィールドでこれくらいの数が出てくることは珍しくもなくなってくるし、さらに種類が増えてくる可能性もある。


「嫌だな。最後の階層のフィールドとか、出現モンスター全部で30種類とかいってそうで」


 一応この牧草地帯も、この第2階層では最高の広さだと言うがたしかに広いなとは思った。

 見渡す限りずっと草原が広がっていて、途中に大きな障害物がないことで戦いやすさもこの階層の中でここが1番なんだろうけど。


 出現モンスターについてだけど、まずは既存のモンスターとして4体。

 そう、ここが重要なのだが逆に言えば新モンスターが5体も出現したんだよ。

 既存のものは先ほどのゴブリン2種にコボルト。そしてワイルドボアである。

 なんだろう、森ではホーンラビットの強化版であるニードルラビットが出てきたからそろそろワイルドボアの強化版的なモンスターも出てくるかなと思ってたんだけど。

 でも第2階層の2番目のフィールドということもあってワイルドボアや他のモンスターもレベルやその他の能力値も高いので油断は禁物だ。


 そしてここからが新モンスターの紹介なのだがまずは3体まとめて紹介しよう。


「うお!?、なんだあれ。野菜か?」


 私が遭遇した時その3体がセットになって出現したこともありかなり印象に残っている。

 私の前に現れたのはそれぞれニンジン、トマト、そしてナスのような形をしたモンスターだった。


 まずニンジンだが、ダンシングキャロットというモンスターで名前の通りなんかくるくると回転するように踊っているニンジンだ。

 回転の遠心力を利用する形で高速でこちらに飛来し二股に分かれた足(?)での蹴りを仕掛けてきた。最初飛んできた来た時はちょっとびっくりしたよ。

 ちなみにダンシングキャロットには顔はなく、本当にニンジンのボディに両手両足がついて踊っているだけのモンスターだったけどそれが逆に怖いというか。

 ああ、コボルトみたいな可愛い顔もこんなやつについていたなら良かったのにと思った。


 次にトマトだが、これはデビルトマトというモンスターだった。

 デビルという名称がついていたから悪魔族なのかと思ったが倒した後に図鑑で確認したら普通に植物族のモンスターだった。

 デビルトマトには手足はないが代わりに全長1メートルくらいのトマトボディに悪魔のような顔がついていてしかも空中を浮遊するという。

 攻撃方法は主に体当たりと、あと口から高速で無数の種をマシンガンのように射出してきたのには驚かされた。幸いにも弾が植物の種だったことと1発の威力が低かったのか食らってもダメージはなかったが、あれが普通のマシンガン銃と同じだったとしたら大ダメージだったろう。心臓に悪い。

 耐久がかなり低いのか剣での一振りで倒せたけど。うん、まあトマトだしそこは納得。


 それで逆に1番耐久が高かったのはナスだ。モンスター名はエッグプラント。

 うん、もうね。わかると思うけどそのまんま。ナスを英語で言うとエッグプラントだから。

 これはマッドプラントやマッドフラワーと同じでボディから伸びた2本の触手でこちらに巻きつけてからの地面に叩き付けや、普通に鞭のようにしならせて攻撃したりしてくるのだがこの触手がマジで速い。本体の方はむしろ遅すぎるくらいなのだが触手が常に高速で攻撃してくるのでなかなか近づけない。

 仕方がないので遠距離からファイアーアローで攻撃したら一撃で死んだ。どうやら賢さは低かったらしい。


「そして3体共にスキルはなしで落としたアイテムもそれぞれニンジン、トマト、ナス、と」


 私は3体すべてを倒した後でそれを確認するとつぶやいた。


「うん。ふざけてるね、これ」


 おそらく牧場も近くてそこにはきっと畑とか農場もあるのだろう。それ故のこの野菜3種のモンスターが出現するんだろうけど、たしかに普通のプレイヤーならそれぞれ厄介なモンスターではあろう。

 しかしに私にとっては消化不良もいいところでさらにこの3体、決して経験値や獲得ゴールドが低いというわけではないということが逆に腹立たしかった。


「くっそー。しかも見た目とは違って地味に強かったし。あーもう!!」


 おそらく最初、見た目がただの野菜であることに油断して近づいたプレイヤーはまず間違いなくやられるだろうな。やっぱモンスターは見た目で判断したら危険ってことか。


「……お。あれってまさか、羊じゃないか?、ああ、じゃああれがスリープシープ」


 そして新モンスター4体目。これは聞いていた通りスリープシープという眠っている白くてもこもこのデザインの羊だった。

 しかし油断は禁物だ。こいつはこちらを眠りの状態異常にしてくる攻撃を……攻撃を……あれ?


「つーかあいつ、普通に寝てね?」


 そう。スリープというだけあって羊は完全に熟睡していた。

 私が至近距離、なんと普通に剣での攻撃が届く距離に近づいても目覚める気配さえない。


「あっれー?、これまさかモンスターじゃなくて普通に羊だったりする?」


 ゴッドワールド・オンラインの世界にはモンスター以外にも普通に動物もいる。

 私もアストというフクロウをペットで買っているけど、森のダンジョンでもたまに小鳥とかリスとか見かけたしね。もしかすると今私の目の前にいるこいつもモンスターではなくただの熟睡中の羊という可能性はないだろうか?


「うーん。周りに他のモンスターもいなさそうだしちょっと突いてみるか」


 ちなみにこの時点では目の前の羊にはいっさい何の表示も出ていなかった。

 私が剣でちょんちょんと突くと羊はようやく目を覚まし、そしてそこでようやくスリープシープというモンスター名とHPケージが現れた。ああ、やっぱこれモンスターで合ってたのか。


「え、まさかこっちから攻撃しないと基本寝てるの?」


 だとしたらそれはもうなんていうか。あまりにも簡単に倒せすぎる気がするのだが。

 だってこれもうあれだよ。ブルースライムと何も違いないよ。


「お、攻撃か?」


 そして目覚めたスリープシープがあくびと共に口からだしたのはなんか黄緑色の音符だった。

 私は、あえてその音符攻撃を体で受けてみた。すると……


「え?、ああうそ本当に?、これが、眠り攻撃……なん……だ……」


 私はゲーム内で初めての睡魔に襲われ次第に視界が真っ白になり体の感覚もほぼ消え失せた。

 視界内にはただ端っこに眠りの状態異常の残り時間を示すカウンターがあるだけでこの状態の時はメニュー画面の呼び出しも出来ない。ただ時間が過ぎるのを待つだけだ。

 眠り(微小)の効果時間はたった1分。1分後私の視界は回復したのだが。


「ってええ!!、また寝てるしこいつ!」


 スリープシープはまた攻撃前のように熟睡状態になっていた。

 今度はためしに全力で剣で斬りつけてみたがHPケージが見えなくてもちゃんとダメージは通った。

 そしてまた目覚めたスリープシープだったがそこからが本当にやばかった。


「メェェェェェェ!!」


 と、なんか大ダメージを受けて怒ったスリープシープが叫び声を上げると。

 どこからともなく別のスリープシープ(激おこ)がどんどん出現して合計11体に。


「…………え〝?」


 そして叩き起こされて怒っているっぽいスリープシープたちは一斉に私に突撃してきた。

 これはあれだな、数の暴力だ。集団リンチだったよ。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 しかも11体の寄せ集まりでの突撃攻撃は私のHPを12も削ってくれた。

 そして私の攻撃だが、それは1体ずつに個別にダメージが与えられていくためなかなか大変だった。

 1番の問題だったのは先ほどの眠りの状態異常にする音符攻撃。

 さっきのはすごく遅くてふわふわ漂っているようなものでこちらから当たりにいきでもしない限りまず当たらないレベルだったのに対し激おこ状態の今ではすごい速くこちらに向かって飛んでくる。

 その数全部で11。私はそれを避けれるわけもなく食らい、そして寝た。

 ただ今回は私が眠りになった後ももちろん激おこ羊軍団の追撃はあって先ほどの集団突撃攻撃を受けた私はクリティカルになったダメージよって25のダメージを受けた。まあ攻撃を受けてダメージが発生したおかげで目は速攻で覚めたんだけど。


「やばいやばいやばい。これは本当にやばい」


 私は今さらになって現在の状況が危機的なものであるという認識を持った。

 これ、もしかしたら死ぬかもしれない。


「仲間を呼ぶなんて話聞いてないんですけどー!」


 私はただただ手遅れになった現状と、ああこんなことならもっとちゃんと情報を先に集めておくべきだったと後悔した。

 そしてほんの好奇心からかスリープシープにちょっかいをかけた上げ句にこの危機的状況を招いたしまったことにも。


「好奇心猫をも殺すなんて言葉が下界にはあるそうだけどそれ以上だな」


 私は態勢を立て直すと改めて11体の激おこ羊たちを見据えるとこう言った。


「好奇心神をも殺す……なんてね」


 そう言い終えるなり私は羊軍団に向かってあるものを投げつけた。

 それはアイテムボックスから取り出した私お手製のアイテム。麻痺薬☆だった。

 羊は、攻撃後は散開して11体にばらけるが突撃攻撃の瞬間は絶対に大きな塊になって集まる。

 そこに投げ入れたのだ。結果は大成功で羊たちは1体残らず麻痺(大)になった。

 麻痺薬や毒薬は瓶が砕け散った時にかなり広範囲に飛び散ることは確認済みだったので密集している敵のど真ん中に投げ込めば1本で複数同時に麻痺や毒に出来る。


「お前たちに地獄を見せてやるよ。召喚:ヤタガラス!」


 ああ、私はまた使ってしまったよ。もう本当にこれで何度目だろう。いつももう2度と使わないと決めるのになんと意志の弱いことか。しかも今回の相手は本来であれば使わずに倒せたはずの敵なのに。


 数十秒後、そこにはもう羊の姿は1体も残っていなかった。

 麻痺によって動けない5秒間でダークボールの雨にすべての羊が消えていった。

 残ったのは羊毛とスリープシープの角というドロップアイテムが11個ずつとMPが0になりその場で佇む私が1人。


「聖水多めに用意しておいて正解だったな」


 私は気持ちを切り替えて聖水を5本飲みMPを全快させてからドロップアイテムを回収するとそう言った。もう、私の必殺技これってことにしてもいい気がしてきたよ。いや実際そんな感じになってるよな。モンスター召喚スキルは。


<モンスター辞典>

〇ダンスキャロット

植物族。その名の通り大きなニンジンに手足が生えて踊るようにステップを踏んでいる。

回転しながらの体当たり、飛び蹴りが攻撃手段で意外と力が強く侮れないぞ。

ちなみにこのダンスキャロットの踊っているダンスだが、開発段階では実際にダンサーの人の動きをモーションキャプチャーで取り込みそれを実装する予定だったがあえなく見送られた。

理由は、動きにキレがありすぎると正直キモイから。

ドロップ:ニンジン


〇デビルトマト

植物族。デビルという名前がついているものの悪魔的な要素はほぼないただの大きなトマト。

体当たりの他、口から種をマシンガンのように飛ばしてくるがこの攻撃は威力が低いので壁役ならまずダメージは負わないだろう。浮遊しているので複数人のパーティだと前衛を飛び越えて後衛の魔法使いなどが狙われる可能性もあるのでそこは注意が必要。

ゲーム内で出現する全モンスター中ワースト3位で耐久が低いモンスターにランクインしているほど紙装甲なので倒すのは容易。

ドロップ:トマト


〇エッグプラント

植物族。名前の通りナスの形をしたモンスターで2本の触手を用いて攻撃する。

耐久が高めだが代わりに賢さが低いのである程度のレベルがあればファイアーボール1発で倒せる。

しかし触手の攻撃範囲も広いので倒すなら遠距離から攻撃できるファイアーアローがオススメ。

本体と触手は一応同じモンスターではあるものの触手の方が敏捷が格段に高く触手を操るモンスターはこの特徴をよく持っているので覚えておこう。なお触手を攻撃しても本体にダメージはほとんどなくすぐに再生するので攻撃はあくまで本体に。

ドロップ:ナス



※スリープシープと今回本編内で登場しなかったもう1体の新モンスターについては次回紹介。

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