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ニートな女神がログインしました。  作者: 唯一信
第2階層―GREEN―
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ニートな女神と初めての麻痺

森の中には危険がいっぱい。

 次の日の朝。私は目覚めると昨日買っておいたサンドイッチ(ハムタマゴ)を朝食として食べると軽くシャワーを浴びてから髪と体を乾かし、その後でさっそくゲームを始めた。

 うーん、夏場は2、3日に1回はシャワーとか浴びておかないと汗がすごいからね。とくにゲームやってる間現実の私の体はずっとベッドの上なんだし。


<第2階層:花の都フローリア>


 ゴッドワールド・オンラインの世界では昼夜はあって、日付の感覚もあるが季節は存在しない。

 というのも、階層ごとに気候やら天気やらが大きく変わってしまうので設定しようがないのだ。

 寒い階層は現実の世界の季節に限らず年中寒いし、暑い階層は年中暑い。

 第1階層と第2階層は基本的に穏やかで温かく、夜はちょっと気温が下がったかなという程度。

 ただいずれにしてもゲーム的に気温、暑さ寒さがプレイヤーの行動に直接的な影響を及ぼすことはない。暑くて汗を大量にかいたり、寒くて体が震えたりとか。


 でもプレイヤーは汗と涙については設定で出したり出さなかったりといじれる。

 他にもいろいろと現実の世界では肉体的な代謝機能や反射などもいじれると聞くが私はゲームを始めてからそこらへんはとくにいじってない。

 体感温度もいじれるらしいけどそれについてはむしろそのままでプレイするプレイヤーが多いとか。寒い階層ではちゃんと寒さを味わいたいって言ってね。まあ私は寒いのも暑いのも苦手なんだけど。


 ただ、徹底して排尿、排便は出来ないように設定されているのはおそらく人道的、生理的な配慮だろう。

 ゲームの中とはいえやはりそこら辺はデリケートな部分で気にする人間も多いだろうしね。

 VR世界って結構刺激に満ち溢れてるんでたとえばフィールドでめっちゃ恐ろしいモンスターと遭遇するたびにチビったりしてたらそれこそ大問題だし。

 だけどNPCが住む街中にはあるんだよな。トイレとか。

 もちろんNPC用だけど一応プレイヤーも入ることは出来る。何も出ないけどね。


 むしろNPCの街にもトイレとかなかったら矛盾が生じるよね。お前らほんとに人間なのかって?

 どこまでもリアリティーを追求してるこのゲームのことだ。そんな初歩的なミスというか、矛盾が起きるようなことはしないだろう。

 あとは、プレイヤーの場合は男女混成でパーティ組むこともあるし、それでフィールドやダンジョン内で誰かがトイレに行きたくなったりしたら、ね?

 簡易トイレのようなアイテムがあったとしても、色々と……やっぱり問題はあるだろう。


「よし、森に行ってみるか。準備は、キラービー対策で麻痺消し薬買っておいたけどそれだけでいいんだよね?」


 本当はもっと事前に情報を集めておくべきなんだろうけど時間がもったいないしとりあえず行ってみて何か致命的な問題がなければこのままで良いか。

 というわけで私はまず花畑のフィールドに出てから森を目指して歩き始めた。


<第2階層:森>


 森の入り口には看板が立てられてあって、ここより先、森と書かれていた。

 そして私が看板から一歩先に足を踏み入れるとそこで景色が変わった。メニュー画面で現在位置を確認してみたがそこには森とだけ書かれていたからどうやらあの看板がフィールドとダンジョンの境界線のようなものらしかった。


 森も第1階層迷宮と同じようにダンジョンであるため大小のルームとルートに分かれているが、この場合ルームとは森の中の木が生えてない開けた地面のある空間をさし、ルートとは獣みちのこと。

 ダンジョンの壁が森の木々によって作られていてこの木々に関しては破壊不能オブジェクト扱い。

 ようは剣で斬ったり火属性の魔法で燃やして木を消し飛ばしながら進むことはできないって話。

 当然のことなんだけどね。剣で木を斬ろうとした時に見えない何かに弾かれるのを体感するといまいち納得できないだよね。なんか、ちょっと。


 まあ、ダンジョンは迷路みたいなもので、現実の迷路でも壁を破壊しながら進むなんて邪道というか、やったらダメだことだしね。それが出来るならそれはもはや迷路って呼べないだろうし。


「ま、道なりに進んでいくか」


 ダンジョン内もフィールドと同じで自分が直接行った道、部屋がマップにリアルタイムで記載されていくので迷うことは……まあ先の階層ではあるのかもだけど幸いにもこの森はそれほど大きくはなさそうだから大丈夫だろう。

 少なくとも地下3階構造だった第1階層迷宮とは違って森は地上1階構造っぽいし。

 ただその分、この森はフィールドほどではないが広いみたいだ。


 森に入って少し歩いたところでモンスターと遭遇し戦闘になった。

 出現したモンスターは暗緑色のウルフ、そう第1階層の迷宮に登場したワイルドウルフだった。それが同時に3体。

 なるほど、森の中の緑と相まって出てきてもおかしくはないモンスターではある。

 でも、階層の迷宮の中のモンスターもこうして別の階層、別のダンジョンに現れたりするんだ。覚えておかなきゃ。


 もちろん私はすでにワイルドウルフの動きは完全に把握しているので圧勝。

 ああ、また獣の爪だよ。もう本当にそろそろ獣の爪とか持てる上限の999個になりそうなんだけど。

 もういっそのこと拾うのやめちゃおうかな?


 いやいや、私は落ちてるものは全部拾う主義だから。変えるつもりはないよ。

 ただ、ゲームシステム的にもう拾えないってなったら仕方ないけど。


 そしてそれから数回は既存のモンスターとの戦闘を繰り返した。

 グリーンスライム、マッドフラワー、コボルトは花畑と共通。ただし森にはハニービーが出現しない。

 まあ花の蜜が吸いたきゃ花がたくさん生えてるところに行くよね、普通は。

 それでゴブリンランスも共通で出た。ただしゴブリンソードは出てこない。もう剣はお払い箱か?

 ただゴブリンアーチャーは何気に続けて出てきてるんだよね、まあそれも森の中だからなんだろうけど。

 そういやゴブリンアーチャーって第1階層の森林フィールドの森の中で初登場のモンスターだっけ。


 それでだ、ゴブリンソードの代わりに出てきたのがゴブリンメイジ。

 ワイルドウルフと同じく第1階層迷宮に出現した魔法使いのゴブリンだ。

 迷宮で出現したゴブリンメイジはファイアーボールとマジックショットを使用してきたが、この森で出てきたゴブリンメイジは違った。


「うげ、サンダーボールかよ。ソイルボール!」


 私はゴブリンメイジが放ってきた雷属性の魔法であるサンダーボールに、土属性の魔法であるソイルボールをぶつけて相殺した。


「ま、森の中だしファイアーボールは使わないってことなんだろうけど」


 でも、さっきも言ったようにこの森の木々はどれも破壊不能で火属性の魔法を使ってはいけないという制約などは特にない。現に私はさっきからばんばん使ってるし。

 だけど、そこもリアリティーの追求の一貫なのか、あるいは現実的には森の中で火なんて放つのは自殺行為であるからそこら辺を考慮した上でのことなのか。

 ただこの森のゴブリンメイジから学んだことはそこではなかった。


「ようは、今までに出てきてたモンスターでも階層や出現場所が違えば行動パターンや使ってくる技なんかも変わってくるってことが言いたいんでしょ?」


 私はゴブリンメイジを倒した後でそうつぶやいた。つまりはそういうことなのだろうと。

 厄介な話ではあったが、でもその方がゲームとしてのやりがいはあるし面白い。


 と、ここまで森に出現するモンスターを既存のもので6種類紹介したがここからが森で新しく出現するようになったモンスターだ。

 新モンスターは3体。だからこの森には合計して9種類のモンスターが出現するということなんだけどやっぱりこれはダンジョン故にか、あるいは第2階層に上がったことで第1階層よりも少し難易度が上がったということなのか。


 新モンスターの1体目だが、これは事前に聞かされていた。キラービーだ。

 キラービーはハニービーよりも一回りでかいサイズのハチで、色もやや黄色が濃い。

 なんて言ったっけ、下界のあの、キイロスズメバチに近いような感じ。


 ただ、このキラービー。もちろんハチであるから空中を飛来してくるのだがハニービーよりも格段に速い。

 しかも尻尾の先端についていたやや黄色っぽい緑色をした針が、ミサイルのように射出されてきたことには私も正直驚いた。

 驚いて、それでもちろん食らったよ。それでもっておまけに麻痺になったよ。

 なんか私、厄介な攻撃に関しては初見では絶対食らってる気がするけど、でもそれってこのゲームの中だと普通のことだよね。


「う……これが麻痺か」


 聞いていた通り、麻痺という状態異常は食らってから10秒が経過する度に全身に鈍いしびれのようなものが伝わって体が一瞬だけ(1秒って話だったけど)硬直した。

 この硬直が想像以上に厄介でたとえば……


「ファイアーボーッ……ああ、くそ。うざったい!」


 このように魔法名を唱えようとした矢先にしびれが来て硬直すると口も固まってしまうため魔法が使えずものすごくイライラする。

 麻痺消し薬を使って直しても、またキラービーのミサイル針攻撃を受けたら意味がないし。


「ウィンドステップ!」


 仕方ないので敏捷を上げることでキラービーよりも数段速く移動できるようにしてからさくっとキラービーを片付けて、戦闘が終わってから麻痺消し薬を飲んで麻痺を直した。


「あー、ザコモンスター相手に支援魔法使っちゃった。こりゃまずいかな?」


 一瞬、いまだに使ってない溜まっているスキルポイントを敏捷に割り振るかと考えたけどやめた。

 もういいだろ、私はもう使わないって前に決めたんだから。

 それにキラービーを倒したことで、予想通りというか私は麻痺耐性(微小)のスキルを入手した。

 毒耐性の麻痺版だ。だからキラービーも100体倒せばもう怖くはない。

 そしてもう一つ予想通りだったのが、キラービーはキラービーの針というアイテムをドロップしたことで。


「ふふふ。これで麻痺消し薬が作れるぞ。街に帰ったらさっそく作ってみよう」


 え?、麻痺消し薬を作るにはもう1個麻痺消し草が必要だったんじゃないのかって?

 もちろんそうだよ。でも、あーこれは後で言おうと思ったけど森の中には花畑にはなかった薬草とか、草系のアイテムは結構頻繁に生えてたんだ。

 それで麻痺消し草ももう見つけてたんだけど、それ以外にも新種の草を見つけてたからそれらに関してはまた後でね。


「ようし、キラービー狩りだ。麻痺耐性も進化させて麻痺無効にするぞー!」


 ただ、それまでに何度キラービーのミサイル針を食らって麻痺になるかわからんけど。さいわい放っておけば自然治癒するし、症状も。まあ10秒に1回1秒だけ行動不能になるって言うのはそこまで厄介ではないしね。ただ、時々ものすごくうざったい気持ちになるだけであって。


 それで、えっと何の話してたんだっけ?

 ああ、そうそうこの森で新しく登場したモンスターのことね。

 2体目はニードルラビット。うん、そう、あのホーンラビットの強化版モンスターね。

 ホーンラビットが茶色かったのに対しこっちは暗い青っぽかった。きっと森の中に登場するモンスターだからそれに合わせたカラーリングだったんだろうけどそれ以外には特に変化はなかった。

 私は常々思うんだけど、既存のモンスターのデザインは同じまま色変えただけで別のモンスター扱いにするやつ、ちょっとどうかと思う。


 名前違うならせめて見た目的にも何か、せめてどこか一部分でも変化が……と思っていたら発見した。

 ホーンラビットの角が直線的な三角コーンの形だったのに対し、ニードルラビットはそこに螺旋というか、そう、ネジみたいになってた。


「いや、微妙。……だけどもまあ、そっちの方が痛そうではあるね」


 ただ、このニードルラビット。考えようによってはキラービーよりも厄介だった。

 というかキラービーの麻痺攻撃の数倍うざかった。


 というのも、ニードルラビットもホーンラビット同様にこちらに一撃食らわせたらすぐに距離を置く一撃離脱、ヒット&アウェイ戦法を取ってくるのだが。

 まず第1階層のホーンラビットが最大でも4体同時にしか出てこなかったのに対し、ニードルラビットは最大で6体同時に出現する。(その場合は他のモンスターは同時に出現しないのだが。)

 これがもうね、すごくうざったいんだよ。


「この、ぐえ!、くそっ、ぐえ!、いい加減にし、ぐは!」


 今のでお分かりいただけただろうか。

 つまりは1体目が攻撃してすぐに離脱、してる間に2体目が突撃してくる。これが6体もいるせいで私は反撃できずにほぼエンドレスで攻撃を受け続けることに。

 わかってるよ。これはソロプレイだからこうなってるのであってきっと複数人のパーティなら攻撃対象が分散されて少なくともそうはならないってことくらい。

 で、結局は私は盾で攻撃を防ぎ続けてドラゴンシールドの効果で上がったカウンター率で決まったカウンター攻撃を当ててニードルラビットの数を減らしていくという戦法を取らざるを得なかった。

 カウンター攻撃は発生すれば100%敵に攻撃が命中するからね。


 で、まあ3体くらいになったら私も余裕が出てきて普通に対処できるようになったんだけどね。


「盾の性能に頼らないとダメなんて」


 私にダメージはないのだ。でも、それで一方的に簡単に倒せるかというのは少し違う。

 モンスターの種類、特性、数によっては死亡はしないけど苦戦を強いられることはある。

 だけども私は別にそれが嫌というわけではなく、むしろこの場合は……


「ふ。ふふふふ。いいぞ、いい感じだ。やっぱりこれくらい苦戦しないと張り合いがないな。スキルや装備でチート気味になってる私でもまだ苦戦する相手がいる。いいゲームだ」


 私はそんなことを言いながらニードルラビット複数との戦闘に備えていろいろと作戦を立て始めるのだった。

 ちなみにニードルラビットからはスキルはなし。ドロップしたのはニードルラビットの角というアイテムだったけどそれはもうどうでもいいか。


 それでさ。この森で新しく登場したモンスターの3体目なんだけど、正直言って私はこいつが一番やばいというか、少なくとも危険度で言うならこの森一番だと思ったんだけど。


「……お、あれは。熊だ!」


 モンスター名はフォレストベア。森の熊さんだったけど体色は鮮やかな青色とかなり目立つ。

 そして2足歩行でありながらかなりの肥満体型というか巨体だった。

 目に見えるHPケージも雑魚にしてはすごく長くて一瞬このダンジョンのボスかと身構えたほど。


 だけどこのフォレストベアはストーンゴーレムと同じでこっちから攻撃をしかけない限り戦闘にはならないタイプのモンスターのようで、私が接近したのにむこうから攻撃をしてくることはなく、そのまま横を素通りすることもできたけど。

 ここはやっぱり戦ってみようと先制攻撃でファイアーボールを1発撃ち込んだらそこからはもう地獄だったよ。


 まずね、巨体のくせに意外と速くて力もすごい高いの。

 どんくらい力が高いかっていうとウェアウルフ以上。わかった?、うんつまりは物理攻撃で私に普通にダメージを与えてくるくらいの攻撃力があった。

 攻撃方法も、普通に両腕のなぐりかかりや口での噛みつき攻撃の他にさ、高くジャンプしてから巨体で押しつぶしてくるスープレックス攻撃とか、まじでやばかったよ。

 初見で食らったらHPが一気に25も削られたんだ。


「やばいやばいやばい。うわぁぁぁぁ!」


 さらに私をその太くて大きな手でつかむと思いっきり投げ飛ばして周囲の木々の壁に叩きつけてきてそれでも大ダメージ。

 ただ、それだけならまだ大丈夫だったろう。フォレストベアから距離を取って魔法等で攻撃して行けばいいのだから。だが私がフォレストベアの一番厄介だと思ったのは……


「嘘でしょ。うぎゃぁぁぁぁ!」


 フォレストベアが遠距離に離れた私にむけてまさかの魔法攻撃をしてきたことだ。

 こうね、大きく腕をぶんって振ったと思ったら爪の先から風が巻き起こって風の刃になって私に襲い掛かってきたわけ。しかもその風の刃がものすごく速くて、私は攻撃の軌道を見ることもできずに食らっちゃったんだよ。


 でも、だけど私は幸いなことにその攻撃でのダメージは0だったんだ。それは何故か?


 私はすでに風魔法無効のスキルによって風属性の魔法攻撃によってはダメージを受けないのだ。


「あ、あれ?…………あ、そうか」


 私は風の刃が体を通過したはずなのにとくに何のダメージもないことで最初意味がわからなかった。

 けれどもすぐに今の攻撃が風属性の魔法攻撃だったことに気がつくとめっちゃ感謝したよ。

 何にって、そりゃ決まってるだろグリーンスライムにだよ。

 風魔法無効のスキルは元は風魔法耐性、そのスキルをくれたのはグリーンスライムだからね。


「まさかスライムに感謝する日が来るなんて。……いや、違うか。私はこれからも風、そして水属性の魔法攻撃を受ける度に無効化スキルをくれたスライムたちに感謝することになるんだろう」


 さて、それがわかってからはまあ楽だったよ。

 フォレストベアがどんなに風の刃を連発してきたとしても私は一切無傷なんだしね。

 遠くから色々と魔法で攻撃してたらどうやら氷属性が弱点だった。

 だからアイスアローの魔法で攻撃していくと簡単に倒すことができた。

 熊だから冬眠とかするだろうし寒さには弱いということか。


「ストーンゴーレムもそうだったけどこっちから手出ししない限りあっちから襲ってこないモンスターはどれもやばいやつばっかだな」


 当然か。だからこそあっちからは襲ってこないのだろうし。

 いや普通にフィールドやダンジョンの中を歩いててあのレベルのモンスターが襲ってきてたらさすがに、少なくとも第2階層というゲーム序盤ではありえないだろう。強すぎるし。

 下手なパーティならあいつ一体で壊滅してただろうな、と思えるくらいには強かったよ。


「これからは気をつけよ。あー、それにしてもびっくりした。私でもこんなダメージ食らうってことは他のプレイヤーは一撃でももっと致命的なダメージを受けるに違いない。あいつ、この森のボスだったのかな?」


 私はフォレストベアを倒した後でそう言ったが、フォレストベアはダンジョンのボスではなかった。

 それから森の探索を続けているうちに2体目のフォレストベアを見かけたし、そもそもダンジョンのボスモンスターは基本的にボス部屋という決められたルームにいるって話だったから

 ああ、それとフォレストベアを倒した私は、そこで魔法を1つ手に入れた。


<新しいスキルを入手しました>

 魔法:ウィンドエッジ


 〇ウィンドエッジ

 風属性の初級攻撃魔法。吹きすさぶ風の刃で敵を切り裂く。


 消費MP:5 リキャストタイム:5秒


「やった。これってあの風の刃だよね。でも初級の魔法なんだ。てっきり中級レベルの魔法かと思ったんだけど」


 私は次の戦闘でフォレストベアからもらった魔法をさっそく試してみることにした。


「ウィンドエッジ!…………おお、これはすごい」


 あえて言うならアロー系の魔法の発動速度と射程距離を持ちながら、威力はボール系にも劣らないというか。とにかく遠距離にいる敵に大きなダメージを与えられる魔法だったわけで。

 なにせ空中を素早く飛び回っていたキラービーが一撃で倒せたしね。ウィンドエッジ強いわ。

 まあその分1発の消費MPも高めだったんだけど。


「ふふふ。これは使える魔法だな。でもほんとに風魔法無効のスキルがあって良かった。それなかったらきっと私、フォレストベアに殺られてたかもしれないし」


 まったく、本当にグリーンスライムには感謝してもしきれないな。


<モンスター辞典>

〇キラービー

昆虫族。ハニービーがミツバチならこちらはスズメバチに近く凶暴。

尻尾に生えた針をミサイルのように射出して攻撃してくるが、もちろん射出せずつけたまま突撃して普通に刺してくることもある。針攻撃を受けると麻痺(微小)の状態異常になる。

力と敏捷が優れているが耐久が低く物理攻撃に弱い。賢さも低めではあるが魔法攻撃はよけられる可能性が高いのでその速さに慣れるまでは控えた方がいいかもしれない。(MPもったいないし。)

ドロップ:キラービーの針


〇ニードルラビット

獣族。ホーンラビットの強化版で体色が黒っぽい青。角にネジのような螺旋がついている。

基本はホーンラビットと同じでヒット&アウェイ戦法をとってくるが、こちらの方が全体的に能力値が強化されている他常に3体以上の群れで行動する習性があるためソロプレイヤーは苦戦を強いられる。

なお、森にはワイルドウルフとニードルラビット、狼とウサギが共生しているが互いの力関係は拮抗しているという話だ。(1対1ならワイルドウルフに分があるが、ニードルラビットは群れで行動するため)

玲愛は第1階層ではウルフとホーンラビットが同じ場所には出現しなかったので訝しがっていたが、本来の食物連鎖的にはむしろ同じ場所に出て当然だともいえる。

(狼の食料であるウサギがいないと狼は死ぬため)

ドロップ:ニードルラビットの角


〇フォレストベア

獣族。巨大かつ巨体の鮮やかな青い毛皮をした熊で、森に出現する雑魚モンスターのなかでは最強のモンスターである。

ストーンゴーレムと同様でプレイヤー側から攻撃をしかけない限りは戦闘にならないが、ひとたび戦闘状態になるとそれまでの温厚な熊さんから一転しとても攻撃的になる。

力がずば抜けて高く、その他の能力値も森に出現する他のモンスターたちの平均値を大きく上回っているので危険。ただ、その中では敏捷と賢さがやや低めではある。(それでも高いけど)

本編内でも触れたとおり接近戦では様々な技を繰り出したり、プレイヤーを掴んで地面や壁にたたきつけるなどの乱暴攻撃もしてくるので非常に危険。だが、かと言って距離を置くとウィンドエッジの魔法を使用してくるので一見すると倒すのは難しいと思われる。

しかし実はこのモンスター、すごく簡単に倒せる方法もあるという話だがさて……

ドロップ;青い毛皮、木彫りの熊(?)

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