ニートな女神と初めてのトラップ
今回のタイトル。初めての中ボスにしようかとも思いましたがあえてこちらを選びました。
中ボスなら今までのフィールドで戦ったエリアボスも全部中ボスみたいなものだし。
ダンジョンは、基本的に4つの空間に分けられる。
ルームとルート、その大小による4つの分け方だ。
ルームとは部屋のことであり、部屋の形は様々だが主にモンスターとの戦闘がある。
とくに大ルームの方は1度に10体以上ものモンスターが出現したり、5体ずつ5回に分けて合計で25体も出現したりするので注意が必要だ。
ルートとは、ルームとルームを繋ぐ通路のことだ。
こちらでも大ルートでは戦闘があるが、小ルートではモンスターとの戦闘はない。
ただし、小ルートも安全である保証はなく狭い通路には必ずと言っていいほど罠、トラップがある。
そう、ダンジョン内にはトラップという罠がしかけられているのだ。
では具体的にどのようなものがあるのかというとだ。
トラップの例①――落とし穴――
通路に多い。地面に足を着けた瞬間にかぱりと床が開けて穴に落ちる。
穴の下は竹やりなどの棘のようなものならダメージ。たまに毒液がたまっていたりしてその穴に落ちるともちろん毒の状態異常になる。
穴に落ちてダメージや毒の処理が終わるとプレイヤーは穴に落ちる前の地面に戻される。
そしてその落ちたプレイヤーは1度ダンジョンから出るまでは同じ穴には2度落ちない。
まあ、パーティを組んでいたなら誰かが穴に落ちたらほかのメンバーはそこの地面をよけて通るという方法が1番確実な回避方法ではある。1人の犠牲で皆が助かるというわけだ。
で、もちろん1人でダンジョンを攻略中の私は落ちに落ちまくった。
幸いにも毒無効のスキルのおかげで毒液穴はほぼ何もなしであったけど竹やり穴の方はそうもいかない。
この落とし穴に落ちた時のダメージって固定ダメージで自分の防御力とか上げても関係ないんだよね。
ちなみに竹やり穴に落ちた時のダメージは1回で10ダメージ。
落とし穴は1つのルートやルームにいくつも仕掛けられていることもあって全部に落ちていたらそれこそダメージ量が半端ないことになるので要注意だ。
トラップの例②――モンスターゲート――
こっちは逆にルームの方に多い。ようは部屋の中に入った瞬間に入ってきた通路の扉と、先へと繋がる通路への扉が閉められて閉じ込められるのだ。
そしてそこから脱出するためにはその部屋の中に出現するモンスターを全滅させなくてはならない。
これはフィールドのように、道中で出現するモンスターを無視して先へ先へと進むプレイヤーへの牽制のための罠だろう。ダンジョンを攻略するのだからちゃんと戦闘もしなさいというわけだな。
他にもトラップにはたくさんの種類があるのだけど、今はこのぐらいにしておこう。
また先のダンジョン攻略中にでも暇があれば教えていこうと思う。
「ふむ。まあ私の場合はモンスターゲートは関係ないんだけどね。強制戦闘っていうと大変そうな罠に聞こえるけど道中のモンスターを最初から全滅させる前提の私にとってはむしろ望むところだし」
私は初めてのダンジョンでトラップに翻弄されながらも着々と先へと進んでいく。
さて、ダンジョンの説明はここまでとしてお次は私が今絶賛攻略中のこのダンジョン、第1階層迷宮についていくつか言っておこう。
まず、迷宮と呼ばれるダンジョンには他のダンジョンとは違い明確な特徴がある。
その1つが出現モンスターの傾向だ。
これは、迷宮ではその階層に出現したモンスターの強化版とも呼べるモンスターが多数出現するということらしいのだが、どうやらその通りだったようだ。
私がダンジョンに入って最初のルートで遭遇したモンスターはこんなのだった。
「わ、なんだこいつ。でっかい、ブルースライム?」
第1階層迷宮に出現するモンスター①――ビッグブルースライム――
名の通りブルースライムをそのままでかくしたようなモンスターであり大きさは体長4メートルほど。
ただこのモンスター。ブルースライムと同じで攻撃も移動もしないのでただのでかい的である。
「正直言って邪魔なだけなんだけど」
このモンスター。ルーム内で出た時はそれほど問題でもない。
問題はルート内で出た時に、通路をふさいでしまうのだ。
いや、別にブルースライムと同じで倒すのは簡単なのだけどこいつに通路をふさがれると、ふさがれている間に別のモンスターが反対側の通路からやってきたりして挟み撃ちされたり、さらにこいつを倒すのに時間をかけてると別のモンスターがどんどん集まってきて通路内が大変なことになったりするのだ。
つまりは時間稼ぎ要員の壁。本当に面倒くさいモンスターだ。
なお、ドロップアイテムはスライムの雫(青)が1体につき3~4個ほど落とす。
ポーションの材料になるから一応拾っておくけどダンジョン制覇後にアイテムボックスの中にこれがいくつ溜まっているのか想像しただけでもおそろしい話だ。
え、じゃあ拾わなきゃいいじゃんって?
私は、落ちてるものは全部拾う主義なんだよ。前にも言ったと思うけど。
第1階層迷宮に出現するモンスター②――ワイルドウルフ――
名前からお分かりいただけるだろう、ウルフの強化版である。
ウルフを一回り大きくしたようなサイズで体色は緑色っぽい。
ウルフと同じ飛びつきひっかき攻撃の他に、レッドウルフもやってきたけど牙での噛みつき攻撃もしてくる。
ウルフの能力値をそのまま強化したようなモンスターなのでとにかく素早い。
敏捷と力の割合がおそらくは高いのではないかと私は推察する。
これが推察であるのは無論ちゃんとした理由があって。
まず私の敏捷の方がまだ高いのでこいつの動きもゆっくりに見えること。
そして、これは迷宮に出現する他のモンスターたちにも言えることなのだけど……
「噛まれたのにダメージ0なんですけど。これってもうそういうことだよね」
私のVITの値が高いせいかもうダンジョン内のモンスターであっても私に物理攻撃によってダメージを与えてくるモンスターはほとんど存在しなかった。
なので私はどれだけ大量のモンスターに囲まれたところで常に余裕の表情をしている。
「うわ、なんかいっぱい来ちゃった。……まあ、ゆっくり倒していけばいいか。どうせ何されてもダメージなんてないんだし」
私はそれに気づいた時点で緊張感というものが無くなっていた。
もちろん、ダンジョン内でも魔法攻撃をしてくるモンスターや前述のトラップ等の危険はあるので完全に油断は出来ないのだが。
なんというか普通に戦闘する分においてはそれほど危機感を抱けないというかね。
いや、岩場を攻略中にも経験してたから驚きもなかったんだけど。
「もっとこう、苦戦するものかと思ってた」
それもこれもあのストーンゴーレムからいただいたスキル、頑丈のおかげだ。
頑丈のスキルレベルを最大の10にまで上げたおかげで、私のVIT値は元々の50%上昇という強大な効果になった。
その結果として今のような状態に陥っているのだけど、なんていうか張り合いがない。
もちろん楽に攻略できるならその方がいいにこしたことはない。
だけどあんまり簡単に攻略できてしまっても私はつまらないわけだ。
ここら辺のバランスが難しいところで私は1度だけ頑丈のスキルをオフにして戦闘をしてみたが、そこでまあ普通に死にかけた。
ダメージが、ダメージがやばかったんだ!
「うん、まあ安全なのはいいことだ」
私はもうこの先は絶対に頑丈のスキルだけは何があっても外さないと、そう心に決めるはめになった。
ああ、そうだ。ちなみにワイルドウルフからもウルフからドロップする獣の爪が1体につき2~3個ほど手に入ったのだけど。
この獣の爪の方はいまだに使い道がわからないし、これまでに倒したウルフからもたくさん取れているのでもう本当に大変なことに。
特に迷宮内では、ワイルドウルフが同時に5体とか珍しくもないのでそれを片づけただけでも大漁なのだ。
このゲームの中では1つの種類のアイテムは最大で999個まで持てるのだけど、私は現在この獣の爪というアイテムをすでに500個以上持っている。
この調子だとすぐに持てる上限までいきそうな勢いだった。もしそうなったら仕方ないのでいくつか売ることにしよう。そうだな、500個くらい?
第1階層迷宮に出現するモンスター③――ゴブリンメイジ――
迷宮内には出現するモンスターの種類がとにかく多い。
これまで紹介したビッグブルースライムとワイルドウルフの他に、もちろん今までのフィールドに出現していたモンスターたちも普通に出現する。
ワイルドボア、マッドプラント、ポイズンスパイダー。
そしてゴブリンメイス、ゴブリンアーチャー、ゴブリンソードのゴブリン族3種の他に、この迷宮内では新たにもう1体ゴブリンが出現する。それがゴブリンメイジだ。
メイジ、つまりは魔法使いでありこいつは木で出来た杖を持っている。
そして魔法、マジックショットとファイアーボールを撃ってくるのだ。
これがまあ、このダンジョン内で唯一魔法攻撃をしてくるモンスターであり、今の私にダメージを与える攻撃をしてくるモンスターでもあるのだが。
「あ、しまった。もう避けられない!…………あれ?」
他のモンスターとの戦闘に夢中になっていた際に、ゴブリンメイジが撃ってきたファイアーボールがたしかに私に直撃してダメージを受けた。
ただそのダメージはわずかに5。おそらくはゴブリンメイジは、それほど賢さが高いわけでもないのだろう。
私の賢さ、INGの値の方がもしかしなくても上なんだ。
だからたとえ直撃してもそれほど大きなダメージにはならないと。
「なんだ。心配して損した」
それでもダメージを与えてくるモンスターであることは確かなので私はモンスターとの戦闘が始まった時はまず真っ先にこいつを潰すようにしたらとても安全にダンジョン攻略を進めることが出来るようになりました。
もうね、このダンジョンで私の1番恐れているものがモンスターじゃなくて竹やり落とし穴っていう。
ああ、落とし穴。なんでか知らんけど私かなり落ちやすい気がする。
落とし穴に落ちたダメージを回復するために飲まなきゃならんポーションって、なんか虚しいわ。
もういっそのこと全部の落とし穴にわざと落ちてやろうかな?……いや、もちろん冗談だよ。
ちなみにプレイヤーが自分で1度落ちた落とし穴はダンジョン内のマップに記載されていくのでダンジョンに2回目以降入った時もそうとううっかりしていない限りまず同じ穴に2度は落ちない。
ただ、ダンジョンに入りなおすたびに穴が開く仕掛け自体はリセットされるようだけど。
ゴブリンメイジからは何がドロップしたのかって?
君さあ、それもうわかってて聞いてるんだよね?、うん、そうだよ木の杖だよ。いつものやつ。
というか木の杖って、もう杖っていうかただの木の棒だったんだけど。
先端をちょっと杖っぽく削っただけの木で出来た棒。そんな棒からどうして魔法が放てるのかまったく理解不能だよ。
「ゴブリンたちももう少し良い装備つければいいのに。……まあ、無理か」
しかし私はこの時はまだ知らなかった。
この先の階層ではちゃんと鉄などで出来た剣や、しっかりした杖などを装備しているハイゴブリンという種類のモンスターたちが存在することを。
「お、下へと降りる階段発見。地下2階だな」
アイリッシュから聞いた話によれば、この第1階層の迷宮は地下3階構造。
地下3階の1番奥のルームに、ボスが待ち受ける部屋、ボス部屋へと繋がる大扉があるらしい。
それまでは基本的に一本道だけど中には分岐もあるらしい。
ただ、ゲームで最初のダンジョンだと言う割には難易度は高い方なのだとか。
「ま、私からしたら普通のフィールドと大差ないんだけど」
私はそういいながらも地下1階の奥の部屋で見つけた階段を下って、ダンジョン地下2階へと到達した。
ダンジョン地下2階も、1階とはそれほど大きく違いはなかった。
ただ1点。地下1階よりもモンスターゲート=強制戦闘の機会が増えたような気がする
やっぱりそう簡単には進ませてくれなさそうだよね。私は余裕で突破できるけど。
それから大体30分後くらいかな。
どうやら地下2階のフロアは地下1階よりかは小さかったようで、この様子だと地下3階の方はもっと小さいんじゃないかと思いつつ入った地下2階最後の部屋。
そこで私は思いがけない敵と戦うことになった。
「ん、なんだろう。この部屋」
私が部屋に入った時に入った方の通路へ繋がる扉がしまったので、私はここでもモンスターゲートか思って身構えたのだが何やら様子がおかしい。
それまでであればすぐに部屋の中に大量のモンスターが湧き出て襲い掛かってくるのだけどやけにモンスターの登場が遅い。
そして何より、地下3階へと続く階段へと繋がる通路へ向かう扉の方が普通に開いていた。
これ、もしかしてバグか何かかと私は思ったが違った。
ガシャン、ガシャン、ガシャン、ガシャン……
何だろう。何かの音が聞こえてきた。
私がそこでさらに数歩部屋の中に足を踏み入れたところで私はようやくその音の正体を確認した。
部屋の奥、地下3階へと繋がる階段からそいつは上がってきた。
プレイヤーではない。それはつまりモンスターであって、さらに言うならおそらくは……
「なるほどね。中ボス的なやつか」
中ボス。それはRPGではボスの元へ行く途中で戦うことになるちょっと強い敵。
ゲームバランスが破綻したゲームなどでは、ボスよりも中ボスの方が強いんじゃねとかいう話を良く聞くあの中ボスだ。このゲームも多くのRPGにもれず中ボス戦が用意されていたか。
そいつは、私が今まで戦ってきたどのモンスターとも違った容貌をしていた。
そいつは、人型でなおかつ全身西洋の甲冑を身にまとっていて手にはでかい鉄の斧を持っていた。
モンスター名、ナイトアーマー。文字通り騎士の甲冑が動き出したようなモンスターだった。
HPケージはストーンゴーレムと同じで長いケージ1本分。
つまりは少なくともエリアボス級の強さはまず間違いなくあるに違いない。
ナイトアーマーが完全に姿を現して部屋の中に入った時、それまで開いていた奥の階段へと繋がる通路、今まさにナイトアーマーが通ってきた扉がパタリと閉じられた。
「あの姿、絶対に耐久高いだろう。それに斧も。力も強そうだし」
私は強敵の出現に注意しつつもちょっとだけ嬉しい気持ちもあった。
ああ、ようやくまともな戦闘というか、少しは張り合いってやつが出てきたかなと。
「オオオォォォ!」
ナイトアーマーが、人間ともモンスターともつかないような雄たけびを上げたところで戦闘は始まった。
先に動いたのはナイトアーマーの方だった。
「うわ、意外と速いな!」
私は、重厚そうな鎧と兜をつけたやつは敏捷は低め、動きはゆっくりとしたものだと考えていたのだけどどうやらそうでもなかったらしい。
ナイトアーマーは手に持った大斧を振り上げると私めがめて一気に振り下ろしてきた。
私は意外と速かったやつの動きに一瞬驚きつつもすんでのところでそれを回避した。
そして反撃とばかりにやつとの距離をつめてまずは胴体の鎧に剣で一太刀。
ガキーン!
という音と共に弾かれる私の剣。そしてやつへのダメージはほぼ0に近い。
うわぁ。予想はしてたけどこいつ固すぎじゃね?
私はさらに追撃で今度は頭部の兜を剣で攻撃してみたが結果は同じだった。
どうやら、こいつには今の私では物理攻撃でダメージを与えることは難しそうだ。
私はそこでやつの反撃をかわすために一旦距離を置いた。
私が離れた瞬間にその場所に斧での横なぎが通ったためこれも間一髪というところ。
「じゃあ、魔法で行くか。ファイアーボール!」
と、私が次に攻撃を魔法メインに切り替えて放ったファイアーボールはなんとやつが大斧を盾代わりに使ったためにダメージを大幅に減らされてしまった。
ナイトアーマーは盾を装備していなかったけどそうか、あの大斧は盾代わりでもあるのか。
「っていうかこれ、ちょっと。じゃあどうやって倒せばいいって……うわ!」
私は再びの振り下ろされた斧を回避しながらも考える。
落ち着け。冷静になって考えるんだ。
まず物理攻撃は、もう絶対に効果はないだろう。
だから問題は魔法攻撃の方だ。ナイトアーマーが飛んできたファイアーボールをわざわざ大斧で防御したということは裏を返せば防御しなければダメージを与えられるということ。
「ウィンドステップ!」
私はそこで敏捷を上げることで回避を楽にさせてその間に思考をまとめる。
つまり、大斧で防御されないように魔法を当てる方法。それはつまり……
「今だ!、ファイアーボール!」
それは、やつが両手を使い大斧を頭上に掲げて振り下ろし攻撃をしてくる直前。
ここならばむしろ胴体はガラ空きである。ただし、そこに魔法攻撃を撃ち込むにはある程度やつに近づく必要がある。
ただ、ということはもちろん振り上げられた大斧の攻撃射程範囲に入るということで。
「ぎゃあああ!」
私もやつの大斧振り下ろし攻撃を直にくらうはめになった。
たったの一撃で14ダメージも受けたところを見るに、やはりやつは力の方も強い。
私は、さらに運が悪かったのかどうやらナイトアーマーは火属性に耐性があるようだった。
たしかに直撃してダメージを与えたもののそれは小さかった。
私は火魔法最強のスキル効果で火属性の魔法で与えるダメージが2倍になってるはずなのだがそれでもちょっとしかダメージが入ってないということはつまりそういうことに違いない。
「最悪だな。でも、仕方ないか」
私はそれから、いくつかの魔法をためしながらナイトアーマーとの戦闘を続けた。
途中でウィンドステップの効果が切れた時は、そこから3分間は逃げに徹して再度ウィンドステップを使いながらの攻防。
いや、でないと攻撃するために斧を振り上げてるやつに近づいたときにやつの攻撃の方を回避できないのだ。
そして、私は戦いの中でナイトアーマーの弱点がどうやら雷属性であることを発見した。
まあ甲冑は鉄製みたいだし。電気をよく通すのかね。
「サンダーボール!……ひょわぁ!」
近づき、魔法を放ち、すぐさま全力で回避するの繰り返し。
たまに回避できずにやつの攻撃をくらってしまったりして。
うん、まあいい感じに苦戦させられたよ。でも、勝ったけどね。
私が戦闘開始から9発目のサンダーボールをやつに命中させた時だった。
やつのHPケージがついに終わりを迎えたのかケージは空になって消えた。
「オオオォォォ!!」
そしてやつは大斧を地面の上に落とし自身も地面に膝をつくと、戦闘開始時よりも大きな雄たけびをあげて、そうして体を光の粒子に変えて砕け散り消滅した。
ただ、なぜか大斧の方は地面に残ったままだったからこれはドロップアイテムだろうか。
とにかくまあ私は勝った。
中ボスだけどかなり苦戦させられた感は否めない。
私はソロプレイなので強い敵との戦闘の途中で呑気にポーションを飲んで体力回復させる暇がないのだ。パーティならそれができるからこのゲームはパーティプレイ推奨なんだろうけど。
見れば私のHPは残り42となっている。あと3回ほど斧攻撃を受けていたら死んでたな、きっと。
「うへぇ~。中ボスでこれとか、じゃあボスはどんだけ強いんだって話じゃん。ああ、疲れた」
私はそこでちょっと休憩しようと地面に座り込む。
自分が作ったポーション☆を2本ほど飲み干しさらに聖水も飲んでHPとMPを完全に回復させる。
聖水の方は、今日薬屋に行ったときに大量に買っておいたのでまだまだ数に余裕がある。
でも戦闘と戦闘の間でしかこれ出来ないんだよね。回復。
「第2階層からは、やっぱどこかのパーティ入ろうかな」
私はそこでソロプレイの限界を感じてそう呟いた。
私は、ただただこの先の地下3階の奥で待ち受けるボスに私が1人で勝てるのかどうかということだけを考えてじっと天井を見つめていた。
<モンスター辞典>
〇ビッグブルースライム
スライム族。ブルースライムの強化版でブルースライムをそのままでかくしただけのモンスター。
攻撃も移動もしないので正直ただの邪魔な壁モンスターだがこいつを倒すのに時間をかけていいると他のモンスターがどんどん集まってくるのでさくっと倒すべき。
プレイヤー間ではでかい的と呼ばれブルースライム同様に親しまれている。
ドロップ:スライムの雫(青)×3~4
〇ワイルドウルフ
獣族。ウルフの強化版で緑色を基調とした狼のモンスター。
ウルフの能力値を全体的に強化したものでありとくに敏捷と力が高い。
ウルフと同じ飛びつきひっかき攻撃の他に噛みつき攻撃もしてくる。
どうでもいい情報だが一応、風属性に耐性があるみたいだ。
ドロップ:獣の爪×2~3
〇ゴブリンメイジ
ゴブリン族。ゴブリンの魔法使いでありマジックショットとファイアーボールを使用。
実は表示されていないがGGOのゲームで登場するモンスターにもMPは存在している。
ゴブリンメイジにあえて魔法を撃たせ続けMP切れにした時は、なんと手にした杖を捨て去りただのゴブリンへと変わるのだが玲愛はそのことには気づかなかったみたい。
杖を捨てた元ゴブリンメイジは普通のゴブリン以上に悲痛な声を上げながらやけくそ気味に殴り掛かってくるらしいのでそれを見たいがためにあえて戦闘を引き延ばすプレイヤーもいるとかいないとか。
ドロップ:木の杖、銅貨袋
※ナイトアーマーについては次回紹介。
なお、本編では書きませんでしたがここで紹介した3体のモンスターを玲愛が倒した時に新スキルはもらえませんでした。さすがにそこまで都合よくはない。




