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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第2章 遊撃騎士団ドラゴン討伐隊 爆誕! ~ そしてハンターの影
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第88話 市内から市外の混乱


 ボワド市に続く街道に出ると、市内から逃げてくる市民たちの姿があった。その数はとても多く、道が埋めつくされているため、これ以上は馬車では進めそうに無い。


「仕方ない。降りて先へ進もう」

 

 俺はそう言って、馬車を降りる。

 直ぐにギーナとジェロームもついてきた。憲兵たちも馬車を放棄して、ついてきている。


「ユウムさん。本当はどこかで待機していて欲しいんですがね? 」


 このような事態になっていなければ、今頃ギーナとジェロームの身柄について話し合っていた頃だろう。


「俺が1人で待機していれば良いのか? なら、是非そうして欲しいね」


「ジェローム! これはお前が引き起こした事態でもある。当然、責任はとってもらう。もし適切な対処が出来たなら、ユウム家の名誉と地位だけは守ってやろう」


 どちらにせよ、ジェロームを極刑にするつもりなのは変わりないようだ。まあ、仮にレゲムーク王国で裁判を受けるにしても、極刑になる可能性は高い。


「かしこまりました。このジェローム、鋭意をもって事態の収拾に図ります」


 とんでもない事件を引き起こしておきながら、ゾラン公家に対する忠誠だけはきちんと残っているわけだ。

 ギーナと事を構えない限り、ジェロームはの心配はいらないかもしれない。


 ふと、こちらに向かってくる妙な気配を感じ取った。

 位置的に空中であるため、他の気配と区別ができたわけだ。


「ドラゴンが市街の外も襲撃している気配がある。市内に入る前に、戦闘になるかもしれない」


 俺は、ギーナたちにそう告げた。


「そうか」


 すでに、ドラゴンと一戦交えることは想定しているのだろう。

 ギーナは淡々と、そう答えた。


 それから、何とか逃げ惑う市民を搔き分けて進むと、焼けた異臭が強くなってきた。人を不快にさせる匂いだが、尊い命が無残に奪われたことを意味する。


 そして、気配は妙なところから感じた。

 時間が経つにつれ、失われていく気配もある。その場所は街道から外れたところにあるが、直線距離にして200メートルで、ここよりボワド市寄りだ。角度的には……大雑把に45度くらいか。


「あっちの方角で何か起こっているようだ」


 俺はそれだけいうと、1人で突っ走った。

 付近でドラゴンが市民を襲撃しているなら、まずはそれを片付ける必要がある。どうせボワド市内に戻っても、やることは同じだ。


 皆、俺を信頼してくれているのか、憲兵たちも含めて付いてきてくれた。ギーナも居ることだし、数体程度なら直ぐに方付くだろう。


 ふと思う。

 黒装束姿の連中が、あっさり撤退した理由だ。何かの罠かと思ったが、この事態に気づいてのことだったのかもしれない。


 ただ、遠隔地の現況をリアルタイムで知るには電話が一般的だ。連中が電話を使っている様子もなかった。


 まあ、今は深く考えず、目の前のことに集中しよう。


 

「畜生! なんで、こんなことにならなきゃいけないんだよ! 」


 1人の男がそう大声で叫んでいた。その他にも絶望する市民らしき姿、そして息絶えた者たちの亡骸もある。


 俺は直ぐに叫ぶ男の前に入り込み、ドラゴンと対峙した。


 そして、有無を言わさず火炎を放射する。

 これだけではドラゴンは倒せないが、とりあえずの牽制にはなる。


「お前らは、市民たちを安全なところへ! ここは俺と協力者……それとこのジェローム

とで何とかする」


 と、俺は憲兵たちに指示を出した。

 憲兵たちはそれに応じ、直ぐに動き出し市民の誘導を始める。


 その時すでに、俺は1体のドラゴンの懐にいた。

 拳に魔力を込めて、パンチを繰り出す。すると、ドラゴンは枯れた雄たけびをあげてその場で倒れこんだ。

 

 まずは1体。


 そして直ぐに周囲の状況を観察すると、いつの間にか拘束を解かれたジェロームが、ドラゴン数体を相手に応戦していた。それにギーナを守るように立ち回っている。


 さすがはハンター同士の連携と言ったところか。


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