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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第2章 遊撃騎士団ドラゴン討伐隊 爆誕! ~ そしてハンターの影
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第74話 蠢くもの

 俺たち3人は、山道に入った。

 襲ってくる魔物もちらほらと出てくるようになったが、まだオークとは出くわしていない。


「オークは、山の頂上から中腹にかけて増殖している。とんでもない数だったな」


 と、女が言う。


「そうか。なら早いところ、中腹まで行くとしよう」


 俺は邪魔する魔物を、波動魔法で吹っ飛ばしならがら前進する。


「へえ。面白い魔法を使うみたいだねぇ。国家憲兵隊の捜査官とはいえ、ここへ1人でやって来るだけのことはあるようだな」


 脇にいたカミラが、関心を示したようだ。


「当たり前だ。集団で襲撃されても対抗できる手段がなければ、わざわざ単独行動なんてしない」


 一方で、ハンターの幹部を自称する女は特に反応することもなく、周囲を警戒している。

 

「なあ、名前は何て言うんだ? お前を呼ぶ時に困るだろ」


 俺は、女にそう訊ねた。


「……ギーナだ」


 ギーナという名前はゾラン公国の公女の名前でもある。上司から散々叩き込まれた名前だし、こうして記憶に残っているわけだ。


「わかった。これからはギーナと呼ぶことにするよ」


 彼女の立場を考えるに、本名を名乗ったわけでないのだろうが、一先ず名前で呼べることが出来る。


 それから俺たち山道をひたすら登り、中腹付近にまでやって来た。

 魔物は一部を除き気配で感じ取れないので、ここへやって来るまで全然判らなかったが、見渡す限りオークが蠢いていた。正直言って、異常な数だ。さらに、きつい臭いも漂っている。


 山道を外れた斜面にも、オークがいる。


「先ほど、ここへやって来た時にある程度は掃討したはずなんだが……」


 と、ギーナが言う。

 つまり、倒しても倒しても延々に増え続けているのだろうか。どうやら、この前のスケルトンの異常繁殖とは、かなり性質が異なるようだな。


「帝国内で多発した事件と同じだ。いくら倒しても、増えつつづけるわけだ。まあ、こっちは主犯格の魔族をその場で始末して事なきを得たがな」


 カミラからすれば、魔族が絡んでいるという根拠がまた1つ増えたようだ。

 

「ところで、ギーナの推測はどうなんだ? 」


「まだ何とも言えん。だがあの連中が出しゃばってきている以上、ハンターの一部が何かしら関与している可能性は高い」


「なら、その一部が魔族の手先になったってわけだろ。答えは簡単だ」


「なるほど。仮に魔族と関わりを持ったのなら、私に知らせない理由にはなる。もしそれが明るみになったなら、私は処罰しなければならないからな」


 黒装束姿の連中も現れている以上、やはりハンターが関わっている可能性がある。そして、カミラは魔族の関与が疑わしいとしている。

 そう考えると、ハンターの一部が魔族と関わりをもったため、ギーナに内緒で行動に出たという線もあり得る話だ。


 まあ、良い。

 ここまで来た以上、前へ進むだけだ。


「焼き豚の大量生産でもしてやるか」


 周りに木々が生えていないことを確認した俺は、両手から火炎を放射した。


「おいおい。そりゃズルが過ぎるだろ」


 横でカミラが、言う。

 俺の魔力が尽きない限り、この炎は延々と放射される。魔力には自身があるし、かなりの時間はこの状態を維持できるだろう。


「焼き豚の大量生産は俺に任せて、2人は周囲の警戒に当たってくれ。思わぬ奇襲を受けるかもしれないからな」


 今脇にいるギーナも含めて、気配で感じ取れない連中も増えて来たわけだし、他の警戒に当たってもらう必要もある。


「おう」

「適切な役割分担だな」


 そして、目の前のオークを焼き尽くしながら前へと進む。証拠の探索や回収のことを考えれば、俺の行動は浅はかかもしれないが、現状オークの数は異常だ。軽く半数を焼き殺しても問題ないだろう。


「ところで、ギーナはどの辺りまで行ったんだ? 」


「ここからもう少し先だ。そこで黒装束姿の連中と鉢合わせになった」


「そうか」


 するとギーナの他、黒装束姿の連中もオークを倒しながら先へ進んでいるはずだ。それにも関わらず、今目の前にこれほどまでのオークがいるというのか。


 そういえば先ほどカミラが、オーク討伐の依頼を引き受けた冒険者たちが行方不明になっていると言っていた。

 このような状況になっているという情報が、一切無かったのも頷ける。


 そんなことよりも、俺はモヤモヤした感情を吐き出すことにしたのであった。

 懐かしい。戦地で戦っていた時のことを思い出す。


「また黒装束姿の連中とやり合うのか。やってらんねぇなぁぁぁぁぁ! 」


 そう叫び、さらに放射する炎の勢いを強めて、俺は前へと進むのであった。


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