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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第2章 遊撃騎士団ドラゴン討伐隊 爆誕! ~ そしてハンターの影
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第58話 いざボワド市へ!


 あの歓迎会から、数日が経った。

 ドラゴン討伐隊はテキトウに依頼を受け、日々を過ごしてた。あまり活気が無いのは隊長である俺のせいだろう。もう少し、盛り上げていくべきなのかもしれないが、そういうのには向いていない。


 市内は、また冒険者大会前特有のお祭り状態が復活している。市民たちはもはや先日の騒乱騒ぎなど忘れているのだろう。

 

「ちょうどいいタイミングだね。これから、何の依頼を受けようか話し合っていたところなんだよ」


 と、冒険者ギルドに顔を出すなりアンナに絡まれ、そのまま掲示板の前まで連れていかれた。既に、俺以外のメンバーは集まっているようだ。


 ドラゴン討伐の依頼が出るまでは、基本的に自由に活動して良いことになっている。


「もう決まっているのか? 」


「いやぁ、それが全く」


「なら、ミズロン村での復興活動はどうだ? 現地に行くだけで、1人当たり金貨5枚は出る」


 まだ例の依頼は続いている。


「その依頼なら、アンタがドラゴンを討伐した後に行ったわよ」

「俺もつい先日行ってきたばかりだ。今さら行っても日当しか貰えない。近場ならまだしも、旅費のことを考えたら、後で叱られるぞ? 」


「そうだったな」


 『遊撃騎士団』に所属している者は、毎月給与が支払われる。その代わりに、依頼で生じる報酬は全て『遊撃騎士団』に入ることになるわけだ。


 要するに、サラリーマンなわけである。

 サボった者こそ得しそうだが、『遊撃騎士団』のメンバーの殆どは士気旺盛だと聞いている。まあ、理由として考えれるのは『遊撃騎士団』の一員であるという自負や、歩合制の要素もあること、そして1カ月ごとに諸々の項目で表彰があるからだろうか。


 特に、表彰を受けた隊のメンバーは賞金が貰えるわけだから、皆こぞって頑張るわけだろうな。




 さて、依頼についてはどれもありきたりなものなので、正直どれでも良い。テキトウに決めて欲しいものだ。


「この依頼はどうだ? 」


 ソドが依頼票の1枚を掲示板から取り外し、持って来る。


 内容は、オークの討伐だった。

 オーク討伐の依頼を受けるには、D級以上の冒険者が同行する必要がある。幸いドラゴン討伐隊にはB級冒険者とC級冒険者がいるわけだし、問題は無さそうだ。


 まあ報酬額を見る限り、割の良い歩合報酬を期待してのことだろうかね。


「俺は別に構わない」


 俺は真っ先に、そう言った。

 積極的に賛成することもなく、反対することもしない。基本的には、俺を除いた3人で話し合って決めて欲しいのだ。


「アタシも別に良いけどさ、ってか隊長がそんな態度で良いわけ? 」


 と、アンナに文句を言われてしまった。デニスは何だかんだでリーダーシップを取っていた気がする。


 そんな彼のリーダーシップをずっと見てきたためか、何かリーダーというものに対して思入れがあるのかもしれない。まあ、『脱兎の耳』時代から色々と文句を言われ続けたわけだし慣れっこだ。


「別に良いだろう。それより、ソフィナ。お前はどうなんだ? 」


「一体当り金貨1枚ですし、それなりの報酬を稼げそうですね。是非にこれしましょう」


 何とか意見はまとまり、こうしてドラゴン討伐隊の最初の依頼を受けることになったのであった。


 依頼の場所は、ボワド市近郊にある山岳地帯だ。そのボワド市は、王都ムーク市を出てシェヌロカの町をさらに越えた先にある。

 つまり、それなりの日程を要する依頼というわけだ。



 そんなわけで、俺たちは今馬車の中にいた。


「場所からして、ボワド市の支部であぶれた依頼ってわけだ。何かしら問題のある依頼かもしれないな」


 と、俺は個人的観測を述べた。

 報酬金額も決して悪くないわけだが、わざわざ王都ムーク市の支部にまで貼りだされるということは、何かあると考えるべきだ。


 ふと、ユウとミヤビのことを思い出した。

 2人は、ボワド市支部に臨時で常駐する人員の募集依頼に応じたため、数日前にボワド市へ向かっているはずだ。


 思っている以上に、ボワド市支部は深刻な人員不足なのだろうか。


「隊長の癖に、もう怖気着いたのか? 」


 ソドが、早速挑発的な態度を表してきた。


「何かあるかもしれないと意識するに越したことはないだろう。そうすれば、想定外の事態に陥っても何とか対処できるかもしれない」


「なら、その想定外について、具体的に何が起こるのかまでここで示してくれよ。そっちの方が手っ取り早いよな? 」


「そこまでは判らない。俺の言いたいのは、とにかく意識して……」


「判らないなら、周りの士気を下げるようなことを言うな」


 それっきり、ソドは不機嫌そうに馬車の外を眺め続けた。アンナはため息をついた後、仮眠に入っている。


 俺は、新聞を広げた。


 相変わらず、新聞の一面はハンターに関するものである。だが一面は既に読んでいたので、ペラペラと新聞をめくっていると、面白い記事を見つけた。


 『教会、ゾラン公国との調整難航』という見出しだ。

 要するに、教会騎士団がゾラン公国内での捜査をするべく、ゾラン公国と交渉したものの、ゾラン公国が拒否しているということだ。そのゾラン公国の主張としては、「大公騎士団が主体的に捜査をする以上、他の機関による捜査介入は反って捜査の進捗に悪い影響を及ぼす」と言ったものである。

 

 一応、ゾラン公国側の言い分は通っている。

 だが俺の上司は、ハンターの正体はゾラン公国だと睨んでいるわけだ。その線から考えれば、単純にバレたくないから捜査を妨害しているとも言える。


「あぁ、ゾラン公国はプライド高いですし仕方ないですね」


 いつの間にか、俺の脇から新聞を覗き込んでいたソフィナがそう言った。

 彼女はハンターの関係者であるわけだが、あえて追及はしていない。迂闊に追及するものなら、俺の身が危険になる。

 

「だが、教会が本気を出せばゾラン公国内での捜査など、容易くできる。あえてセーブしているのかもしれないな」


 魔族を除いて、少なくとも形式的には全人類=信徒なわけだから、教会の権威はそれなりにあるわけだ。

 恐らく、じわじわと外堀を埋めていく方向なのだろう。そうすることで、ゾラン公国民の教会に対する不信感を抑えることが出来る。


「それはゾラン公国も判っていると思いますよ? 近々、何か大きな動きがあるはずです」


 やっぱり、こいつ何か知っているな。

 少なくとも、ゾラン公国の内情をある程度知っているはずだ。


 それから、馬車に揺られること数時間。

 辺鄙な場所にある馬車駅に到着した。


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