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引きこもり冒険者のおバカな英雄譚  第一部 暴れまくって王国を救う?   作者: 牟川
第2章 遊撃騎士団ドラゴン討伐隊 爆誕! ~ そしてハンターの影
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第95話 敵の動き


 多くのドラゴンが、特定の場所……その1カ所に集まってるようだ。

 もちろん、少なからず空を飛び回っている個体もいるが、ここにきてドラゴンに動きがあるとはな。


 その場所から、数人が逃げていく気配も感じる。誰かまでは判らないが……。


 普段以上に、俺は意識する範囲を広げている。長時間続けていれば、俺は疲労によって倒れてしまうだろう。



 そして、妙な状況だった。


「気配が、消えていく!? 」


 特定の場所には、とんでもない手練れがいるのかもしれない。ドラゴンを次々と倒せるとしたら、思いつくのは黒装束姿の連中か、或いは紫色の装束姿の連中だ。


「どうした? 」


 ギーナがそう訊ねてくる。


「ドラゴンの動向を察知した。どうやら、特定の場所に戦力を集中しているようだ。しかし、その場所に集まっているドラゴンの気配が次々に消えている」


「……つまり、倒されていると? 」


「恐らくな」


「要するに、連中を見つけたってことだろう」


 と、ジェロームが言う。


「連中とは何だ? 」


「≪影の兵団≫だよ。あんたもさっきやりあっただろう? 」


 ≪影の兵団≫……。

 さっき、ガゴル団の連中が言っていたが……なるほど。それが連中に対する呼び名だったというわけか。


「黒装束姿の連中か? 」


「ああ。まさか、あんた≪影の兵団≫だとは知らずに、戦っていたのか? 」


 ハンターと呼ばれている集団なら、あの黒装束姿の連中を知っていてもおかしくはない。


「まあな」


「皮肉な話だな? 」


 何が、皮肉なのか。


「やはりそうだったか。なんとなく、お前は黒装束姿の連中の正体までは掴んでいないと思っていた。だから、私はなるべく呼び名を伏せていたわけだ」


 今度は、ギーナがそう言った。やはり、ゾラン公国の暗部では共有されている情報だったわけだな。


「教えてくれても良いじゃないか」


「いや、それよりも今は事態の収拾に全力を注ぐぞ」


 はぐらかされたようだ。

 俺に、黒装束姿の連中について詳細を伝えなかったことに、何か深い理由があるのかもしれない。


「そうだな。なら早速、ドラゴンが終結している地点にでも行くとしよう」


 せっかく黒装束姿の連中から逃れてきたわけだが、現状で事件の真相に繋がるかもしれないのは、そこしかない。


 早速俺たちは移動を始めたが、秒単位でドラゴンらしき気配が消えていく。急ぐ必要がありそうだ。






 廃墟と化したボワド市内の某所。


「やはり、いくらドラゴンを投入してもレゲムークの最凶集団には通用しないようだ。オークの異常繁殖を、まさかあんな手で潰すくらいだし、判っていたが……」


 と、星形のバッチを5つ付けた男が言う。既に、ボワド市内を荒らしまくった中、仇敵の居場所を掴んだ彼は、ドラゴンを一気に投入することにしたのである。

 

 彼が、≪影の兵団≫であると確信したのは、ついさっきのことだ。

 当初から、動き方や人数などからマークしていたのだが、ソドがドラゴンを誘き出したことで、結果的に集団の戦闘力が判ったからである。


 さて、その男の周りには、数十人もの構成員が集まっており、中には負傷した者もいる。


 そして、ここに集まっている者たちは、最低でも1つ又は2つ以上のバッチを付けている。つまり精鋭揃いということだ。

 

「総帥閣下。今こそ総攻撃を致しましょう! ドラゴンとの戦闘で、いかに≪影の兵団≫も疲弊しているはずです」


 星型のバッチを4つ付けた男が、そう提案する。


「いや、革命派の切り札もいるだろう。奴らしき気配が、連中と接触すべく動いているようだ」


 と、バッチ5つの男が言う。


「気配察知ですか」


「私の気配察知は、その辺のポンコツどもが使うものと違う。魔王陛下から直々に叩きこまれたものだ。どのような妨害であっても私の気配察知をかき消すことはできん」


 つまり、イゴルが感じ察知できない者たちであっても、バッチ5つの男は察知できるわけである。


「敵の動きを完全に読み取れる以上、こちらが優位のようですね」


「ああ。そして革命派の切り札と、最凶集団。共に疲弊したところを叩けば、良いだけの話だ」


「なるほど。どちらも、我々の仇敵。共に潰せるなら、これ以上の満足はありません」


「この際、全てのドラゴンを≪影の兵団≫の主力に差し向けよう。何としても、互いに接触して欲しいからな。そう術者に伝えよ」


「畏まりました」


 そう言って、バッチ4つは指示どおり動き出すのだった。


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