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お風呂タイム

波の音が心を静め、冬の冷風が火照った顔を撫でる。体の芯まで温められ、日頃の疲れが流されていく感じがする。

「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」

俺は何故か露天風呂に入っていた。乳白色の温泉に海が目の前に見える最高のロケーションである。普段ならリラックス全快全裸開放スタイルドリフの良い湯だなハハハン的な感じになってること間違い無しである。横にいる人物が同性ならだ。チラッと横を見ればタオルを巻いた女性がいる。いや、健全な男子なら異性との入浴シチュエーションなんて夢の状況なのだろうが、つい数十分前までかなりシリアスな話をしていた相手となると半端なく気まずい。

何故こうなってしまったかというと、遡ること数分前、村越(むらこし)さんに連れられ放り込まれたのが何故か大浴場の脱衣場だった。

「一度裸で腹わって話してこい!」

何とも男らしい台詞である。

村越さんおっとこまえ~って同性同士なら正解だよバカヤロー!異性でそのセリフは色々とヤバイし語れるかっちゅーの!バカかあの人はバカヤローなのか!?

なんて想いながら横を見るとポカーンと口を開けて絶句している。そーだよね。普通そういう反応するよね。俺が間違ってるわけじゃないよねうんうん。

「と、とりあえず、村越さんは頭がバカヤローみたいから、まずはここから出ようか?」

俺はそう言いながら、引戸を開けようとしたが開かない。何かつっかい棒みたいなもので開かなくしている。

「今日は誰も入ってきやしないから、二人でゆっくり温泉に浸かってぶっちゃけトークかましてこい。腹の中のモヤモヤも背中と一緒に流し合いっこしたらいいぞ。お前らもう大人何だからよー。まぁ、一時間後には開けてやるから、おい京介、押し倒すにしてもそんだけ時間あれば十分だろ?」

「な、な、な、なに言ってるんですか村越さん!冗談やめてくださいよ。男女でそれ成立するわけないじゃないですか?押し倒すってちょっと待って下さい!初めてがこんなアブノーマルなシチュエーションなんて嫌ですよ?!開けて開けてくださいよゎー!」

「ム~~リ~~」

村越さんの爆弾発言に椿は顔を真っ赤にしながら焦り出しドアをドンドンと叩いている。そんな二十歳にもなって初めてとかぶっちゃけて恥ずかしくないのかこいつは。村越さんも村越さんで子供いないのにどうして妖怪なネタできるんだよ。

しばらく“開けてよーム~リ~”を二人で繰り広げていたが開けてもらうのが無理だと悟ったのか、椿は表情を消して足を肩幅ぐらいに広げ腰を落とし拳を前に突き出した。

「……こんなドア駆逐してやるわ」

相手が只の引戸じゃなきゃかっこいいセリフだが、何ともシュールな光景だ。

しかし、椿にはそんなことは全く関係ないのだろう。目をつぶりスーハーと呼吸を整えだした。

「気合い十分なとこわりぃが、この引戸壊したら弁償だから覚悟しとけよ」

椿は今まさに蹴り出そうとした足を止めて固まってしまった。

「そういうことだから、椿も諦めて京介に美味しく頂いてもらえ。いや、逆に椿が京介を美味しく頂く方か?まっどっちでもいいか。ちゃんとタオルと着替えは置いてあるから心配すんな。おっと、そのまま風呂に入らない何て選択するんじゃねーぞ。そんときは……わかってるよな?じゃぁな~。」

最後の言葉だけはマジな口調でしゃべり、コツコツと村越さんの足音が遠退いていく。

椿はペターと女の子座りで床に経たり混みなんかぶつぶつと呟いている。

「悪夢だわ。悪夢だわ。悪夢だわ。…そうか、きっと夢なのよこれは」

ついには現実逃避を始めてしまった。

「お、おい大丈夫か?」

ちょっと話掛け辛いが状況が状況なので、俺は椿に声をかけた。椿は体勢がそのまま首だけをグルっと回し無表情に見つめてくる。コエーよマジで。

「え~っと、どうしようか?」

なんか選択ミスったら即ゲームオーバーな感じがする。とりあえず、当たり障りなくしゃべってみた。

「村越さん、最後の言葉だけは本気っぽかったから、温泉に入らないって選択肢はできないよな?とりあえず、俺が先に入るから椿は後で来るか?」

無表情に見つめていた椿はみるみる赤くなりうつむいて、小さい声で呟いた。

「美味しく頂くの?」

「いただかねーよ!」

「じゃぁ、私が頂いたらいいの?」

「よくねーよ!」

何をとちくるったのか発言がおかしい。

「正気に戻れ。別に風呂に入るだけで襲ったり、襲われたり、押し倒したり、押し倒されたりというパターンになるわけないから。ちょっと冷静に考えてみ。はい深呼吸」

諭すように俺は椿に語り掛けスーハーと深呼吸をさせた。

「落ち着いたか?」

「えぇ。覚悟は出来たわ。女は度胸!犯られる前に殺ってやるわ」

「全然落ち着いてないじゃん!何を殺るつもりだよ!ってどこ見てんだよ!?息子は殺らせないからなって違うわ!だから、そっち方向から離れろよ。全くこれだから、しょじ」

ドスっという音と共に椿の正拳突きが俺の腹筋にめり込んだ。

「死ねばいいのに」

その言葉と一緒に俺は意識を失った。

ここで読んでくださりありがとうございます。今回から、椿と京介の入浴シーン突入しました。ここで椿と京介が過去から未来へと一歩を踏み出していきます。よさこいシーンへもあと少しです。どうぞお楽しみにしていてください。

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