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第9話 俺に構わずはさせない

「なぁ、長嶺(ながみね)……お前はサキの事どう思ってんだ?」

「清水さん? 可愛いとは思っているけど」

「そうか。もし、付き合ったりする事があったら大事にしてやってくれ」

「何だよ急に、真面目か真面目なのか?」

「俺は別に不良名乗っているわけじゃねぇぞ? あいつお前の事よく見てるみたいだしさ」


 カズキはまだ、清水さんの本性を知らない。見られているのは俺だけじゃなくお前もなんだよと言う言葉が喉元(のどもと)でイガイガしている。


「それはそうと、住穂って何者なんだよ」

「まぁ、地元の同級生みたいな?」

「どう見ても海外から来ているし、銃を持っていたり普通じゃ無いだろ」

「普通じゃないというのは同意だな。多分カズキが殴りかかってもアイツには勝てないよ」

「ははは、武術家とかでも無い限り流石にそれはねぇだろ」


 冗談のつもりはない。実際本人がどれだけ強いのかは分からないが、彼女は魔人だ。多分、人間では全く歯が立たないレベルの強さに違いない。


「おーい、男子ー!」

「何で遠足みたいな呼び方なんだよっ!」

「とりあえずあそこに行ってみない?」

「……カフェか。まぁ、マモにしては都会らしくてまともだし、いいじゃねぇか?」


 少しポップすぎるがチェーン店以外行った事がなかった俺は少しワクワクする。


「そこはやめとけ。男女で行く場所じゃねぇ」

「さては宮田はカフェに行った事ないな?」

「長嶺、マジでいってんのか? 本来ならお前が一番に止めそうなものだが、田舎にはねぇのか?」


 しかし、女子二人は乗り気だ。カズキは何を心配しているのかと思っていたが、ドアを開けた瞬間に彼が正しかったのだと理解したした。


「いらっしゃいませご主人様〜……と、珍しいですわねお嬢様〜❤︎」

「いやいや、メイドカフェかよ!」

「だから言ったじゃねぇか」

「メイドさんも可愛いとおもうよ?」


 清水さん、なんか興奮してない?

 それよりマモの奴はどこに消えたんだ。まさか間違えていたのに気づいてスマホに戻ったんじゃないだろうな?


「はーい、萌え萌えキュン❤︎」

「おい、貴様は何をやっている」

「はーいタカシもキュン❤︎」

「キュン❤︎ じゃねーよ! さてはお前、分かっててここにしただろ!」


 マモは少し照れた顔をして少し上目遣いになると、恥ずかしそうに言った。


「私をメイドとして雇ってくれませんか?」

「なんでノリノリなんだよっ!」


 その場でマモをトイレに連れて行くと、元の制服すがたに戻るように閉じ込めた。しばらくして膨れっ面の彼女が席に戻ってくる。


「あはは、やっぱりお前ら無茶苦茶だな!」

「お、お二人は何を? まさか……」

「清水さん、普通に着替える様に言っただけだよ。キミが想像している様な事はなんにも無いからね」


 誤解というより妄想(もうそう)を解く。だが、マモはまだ不満な様子でオムライスを注文していた。


「せっかく可愛いメイド服を借りたのに……もう、タカシが頼んでも着てあげないんだからねっ!」

「それ、彼女とかのセリフな? どちらかと言うとお前には大人しくしてて欲しいからな?」

「清水さんのは見たいんでしょ?」

「それはちょっと……みたいかも……」

「えっ、私? そ、そんなメイド服なんて」


 マモは彼女を抱えると、トイレに駆け込む。しばらくするとメイド服に着替えさせられた清水さんがディスプレイに放り投げられた。


挿絵(By みてみん)


「に、似合ってますか?」

「はい! 似合ってます」

「私の時と反応ちがいすぎるんだけど?」

「だって程よく闇の部分がいい感じになっているだろ? 見せられるパンツより見えたパンツが大事なんだよ! なぁ、宮田もそうだろ!?」

「はっ? なんで俺に振んだよ! 俺は……住穂のメイドも良かったと思うけどって何言わせてくれてんだよっ!」


 もちろんの事ながら、すぐにお店を出されてしまった。一部のスタッフはマモのメイド映えするルックスにノリノリだったのだが、オーナーの逆鱗に触れてしまったらしい。


 追い出される様に店を出た俺たちは、次の目的地を決める事となった。とはいえ親睦会という名の通りそれほどお互いを知っている仲では無い。そこで俺は気になっていた事を聞いてみた。


「宮田と清水さんってどういう知り合いなんだ? 友達というほど遊んでそうでは無いし、かと言ってお互いようく知っている様にも見えるのだが?」

「言ってなかったか? 幼馴染だよ」

「小学校の時はよく遊んでいたんだけどね」

「なるほどなぁ。あの先輩に言っていた幼馴染って清水さんの事だったのか」


 そう言うとカズキは平然を装いながらも、少し顔を赤くした。


「うるせぇな。知り合いが巻き込まれるのが嫌なんだよ……」


 言葉遣いは悪いものの、実はいい奴なのかもしれない。ただ、少し素直になれないだけなんじゃないのだろうかと思った。


 しかし、それ以上に気にしていた事があった。


「ユキオさん、あいつらっす」

「なんじゃ、思ったより普通じゃのう」


 見覚えのある先輩が一人。他二人もあの時にいた奴等だった気もする。しかし、見るからに重量級の厳つい男を携えてあらわれた。


「おい。長嶺、二人を連れてにげろ」

「は? 宮田はどうするんだよ?」

「そもそもは俺が蒔いた種だ。逃げる時間くらいは作らせてくれよな」


 うん、どう見ても勝てない相手を足止めしようとしてくれているのは味方ながらにカッコいい。しかし俺には魔人も願い事もあるんだ。


「いや、俺達がどうにかするさ!」

「またあの銃をつかうのかよ? ユキオさんはそんなので引く様な人じゃねぇ、死んでも面子を守るために向かって来る。お前、最悪人殺しになっちまうんだぞ!」


 カズキはアレを見ている以上勝てないとは思っていないのか。確かにそうなると精神的な駆け引きとなってしまう。


「喧嘩にチャカ出しよったガキっちゅうのは貴様じゃのう?」

「ま、まあ……?」


 マズい。さっきのカズキの言葉が(よぎ)り、何を願えばいいのかが分からない。そもそも俺は初っ端から命のやりとりなんて考えてはいなかった。


 だが、魔人のマモなら……。

 ふと彼女たちの方を見る。清水さんは(すで)に物陰に身を潜め、マモの姿が無い。アイツまさか?


「うわぁデッカい兄ちゃんだねー」

「なんじゃ? めんこい嬢ちゃんじゃのう?」


 いきなり前に出て(あお)るとか彼女はアホなのか? いや、アホなのはそうとして、もしかしたら勝算があるのかもしれない。


「……その方言。さては広島出身ね?」

お読みいただきありがとうございます!

挿絵いれてみました。


もしよろしければ評価、ブックマークをして頂けると創作の励みになります!


感想などもございましたらお気軽に書いていただけると嬉しいです★


次回もまたお会い出来る事を楽しみにしています(*ꆤ.̫ꆤ*)

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