文化祭編:6 体育祭スタート!
文化祭三日目、スポーツ大会の日当日。
早速、朝っぱらから誰かさんが問題起こしたみたいだ。
「あの・・・皆さん、是非とも優勝してください!!」
ペコリ、とこちらに必死にクラス全員に頭を下げているのは、他でもない我らがクラスの担任小坂先生。
暫くの沈黙。
「先生」
・・・誰も何も言わないなら俺が聞いてやらぁ。
「え?あ、知樹君?なんですか?」
「理由、聞いてないんですけど」
「あ、そ、そうでした。
実は・・・・内のクラスがこの体育大会で優勝したらお付き合い願えますか、と今朝、東条先生にお願いされまして・・・・。
うっかりオーケーしちゃったんですよ〜〜〜」
オロオロしながら話す小坂先生、少し萌え・・・・じゃ無くて!!
「何でそんな事オーケーしちゃうんすか!!」
東条つったら筋肉モリモリのスポーツ馬鹿でスポーツ科のF組のクラス担任じゃねぇか!!
どうやったら小坂先生と釣り合うんだよ。
いや、顔で恋愛関係がどうのこうのじゃなくて、合わないの、小柄な小坂先生と筋肉野朗が。
「すみませ〜ん。。。
朝早かったから眠たくて・・・・」
・・・小坂先生らしい理由だな。
「もう、しゃあないか・・・・。
こうなったら是が非でも・・・・」
「勝てっこないよな〜〜。
敵はスポーツ科だぜ?」
「そうそう」
後ろからヒソヒソと声が聞こえる。
まずい、こんなに弱気ではマジでやられてしまう。
「おいっ!!お前ら!クラス全員に告ぐぞ!!!特に男子はよぉ〜く聞け!
この小坂先生があの筋肉野朗に取られてもいいのか!?
俺達が頑張る事によって小坂先生を救えるのなら俺達は命を掛けて戦うべきではないのか!?
違うか!?」
「・・・・・・・そうだ。
あんな筋肉野朗に・・・・」
よし、後もう一押しっ!!
「何時もお世話になってる小坂先生に、今こそ恩を返す時だ!!
皆、全力を出してF組を叩き潰すぞ!!」
『オオォ〜〜〜〜〜〜!!!!!』
流石、B組だ。
ここ一番の団結力では必ず負けないはずだ。
え?個人ではどうするんだって?
個人でも団体戦でも同じ、要はクラスの雰囲気が良ければいいほどいい結果が出る。
俺はそう思ってる。
「知樹君・・・・ありがとうございますっ!
皆さんもありがとうございます!!
私も頑張って応援します!」
よし、士気は上がった。
後は・・・B組助っ人係の俺、俊一、涼が全力を出すだけだ。
「それじゃ、時間になったから、男子はここで、女子は更衣室で着替えて、外にでましょう!!」
小坂先生にも笑顔が戻ったみたいだ。
よしよし、マジでいけるかもしんねぇぞ?
「知樹」
ポン、と着替えてる途中に肩を叩かれた。
「あ?何だ俊一?」
「俺がいるクラスが優勝するに決まっているだろう」
その自信はどっから・・・・まぁいいか。
「おう、そうだったな」
「フッ・・・・・」
・・・でも、怪我人だけは出すなよ?
運動場へ出た俺達は、開会式の校長のどうでもいい話を聞き終わり、
俺は最初の種目100m走 男子&女の予選の召集場所に集まっていた。
予選だから決勝進出者を決める為に走る訳だけど、進出できるのがタイムが早い順に8人だから結構シビアだ。
決勝進出者は走って、順位が一位の奴のクラスから
10ポイント、8ポイント、6ポイント、5ポイント、4ポイント、3ポイント、2ポイント、1ポイントが加算される。
リレー以外はこのポイントの入り方になる。
リレーは上のポイントが各2倍になるから積極的に狙っていきたい。
んで、学年ごとにポイントが一番高いチームが優勝。
とりあえず、この種目は決勝進出で最低1ポイントはクラスに入るって言う事だな。
因みにこの種目は助っ人としてではなく、俺が元々やる為の種目だ。
結局やることは一緒だから、関係ないけど。
俊一も同じく元々この種目だ。
涼の種目は障害物競走だけど、これには助っ人として参加するので結局同じ。
と、いうか、俺はハードルと障害物と1500m以外は全て参加。
涼、俊一はハードルと1500m以外全て参加、と言った方が早い。
こんなのでいいのか?と思うかも知れなけど、ルール上オーケーだから仕方がない。
出るしかないのだよ。
「おい、見てみろ、一年B組の応援団」
「あ?何だ涼か。
応援が何だって?・・・・・」
各クラスごとに、応援団があるのもこの学校の特徴だ。
応援だけが目的ではなく、クラスの得点に応援団の評価得点が加算されるから、毎年この学校の応援は凄いらしい。
でも、どのクラスもやってることは似たような―――――
「――――ぶっ!!!」
「っておい!汚ぇな!」
そりゃ、そうだ、吹いても仕方が無いだろ?
なにせ、B組の応援に学校のチアリーディング部がいるんだからな。
「おいおい・・・・B組の為だけにチアリーディング部全員で応援してんのか?!」
「ああ、誰かが頼んだらしいぞ」
「頼んだからって・・・」
「滝野の名前だしたら一発で全員オーケーだってよ」
・・・・俊一効果恐るべし、か。。。
「あぁ、なる程」
納得するしかないな、こればっかりは。
「だけど、滝野の応援ばかりじゃないぞ」
「あ?半数はお前のファンだって言いたいのか?」
「ハハッ・・・そうだといいんだけどな。
まぁ良く見てみろ、最前列の真ん中にいるだろ、お前のフィアンセが」
「は?――――あ!!!ニ、ニーナか!?」
何故にそこで踊ってる!?
しかも最前列の真ん中で、他の生徒よりキレの良い動きで!
「ニーナ=マクスウェル、高校生の時全米チアリーディング選手権大会にて優勝経験あり」
「うおっ!俊一!何時の間に・・・」
後ろでいきなり囁かれるとビビる。
「ずっとここにいたが?」
・・・気が付かなかった。。。
「てか、それ本当かよ?」
全米優勝??そりゃ本当に凄いぞ。
「ああ」
「じゃ、何で知ってるんだよ?」
「俺に分からない事は無い」
むっ・・・・確かに、昔から何でも知ってるよお前は。
小学生の時にクラス替えをした時も、俊一は二日目ですでに全員のプロフィールを完全に言えたからな。
信じずにはいられないか。
「・・・・確かにな。
あの踊りのキレを見たら、俊一の言葉の否定もしようが無いし。
ま、でも、大体がお前の為に集まってるようなものなんだから、手ぐらい振ったらどうだ?」
「む、、、、、、そうか」
お、珍しく納得してくれた。
10年に一度しかないのではないかと思われる俊一によるファンサービスが見れるぞ。
『キャーーーーー!!!』
聞こえてきたのはアニメなんかでよく聞く、いわゆる黄色い歓声。
現実で初めて聞いたかも。
「流石、滝野・・・・・って、知樹。
お前の番だぞ」
ありゃ、話してると長いと思ってた待ち時間もあっという間だな。
「うしっ!!それじゃあ、行くとしますか!」
「頑張れよ」
「ああ、お前もな」
「任せろって、何せ俺は柔道4段、剣道3段、空手4段、そろばん4級だぜ?」
「・・・いつも、思うんだけど、全部・・・・特に最後全く関係ないだろ?」
「そうか??」
そうだよ。
「・・・まぁいいわ。
じゃ、後で」
「おう」
久しぶりだな、心臓が高鳴る。
緊張してんのか?いや、結構楽しみなのかもな。
いわゆる、血が騒ぐってやつ?
「位置に着いて―――――」
周りの音が一切聞こえなくなる。
聞こえるのは自分の心臓の心拍音のみ。
ドクンッドクンッドクンッ―――――音がより一層強さを増してきた。
「用意・・・・」
(パァン!!)
景色が流れてく、まるで風になったみたいに。
隣のレーンなんかは目に入らないひたすらゴールへ・・・。
よし・・・・もうすぐ、ゴールだ。
まだだ、まだ足を早く回せる。
タッタッタッタッ・・・・。
あ・・・・やべっ。
足が空を切る。
足の回転に体がついていけなくなったか??
体が訳も分からず前のめりに倒れる。
目に見えるのは白い線・・・・ゴールライン・・・か?
(ドシャーーーーー)
「っ・・・・痛ってぇ!!」
・・・・コケたのか・・・俺は。。。
・・・・でも、やっぱりさっき見えたのはゴールラインか。。。
なら、何とかゴールしたみたいだな。
「カッコわりぃな・・・・」
係の人が走ってくる。
「大丈夫?」
「えぇと・・・大丈夫です」
少し出血してるけど消毒すれば大丈夫だろう。
この後の競技も問題なさそうだ。
「じゃ、ゆっくりでいいから、席へ戻って」
「はい」
ふぅ〜、予選突破出来るといいけど。
「そんなことより、まずは水で洗い流さないとな」
とりあえず近くの水道に行くか。
「よしっ、これでいいだろ」
水道で傷口を水で洗った後、保険の先生に消毒をしてもらって席へ戻ると、そこには涼と俊一がいた。
零奈は女子の方で走ってるからいないのか。
「おっ、知樹!
豪快にコケたなぁお前!」
笑いながら言うな涼、笑い事じゃない。
「でっ、でも、走りは良かったよな」
その、俺の訴えに気がついたのか、急にうろたえ始める。
よしよし、分かれば良いんだよ。
「で?俺の走りが何だって?」
「結構良かったと思うが?
少なくとも同じ順番で、お前に着いていけてる奴はいなかった。
俺よりは遅いと思うが」
・・・お前より遅いのは認めるけど、一言余計だ、俊一。
「なら良いか。
教室でアレだけ言った割に、コケた上にダメだった、なんて事だったら恥ずかしいからさ」
「喜ぶのは早いぞ?
決定した訳じゃない」
「そうだったな」
『一年生男子、100M走の決勝進出者を発表します』
「お、噂をすれば・・・・」
『B組 朝倉 知樹君 B組 滝野 俊一君・・・・』
俺達二人の名前が出た瞬間、クラスが一気に盛り上がる。
「よし!ん??待てよ?涼の苗字って・・・・白沢?」
あ・か・さ・た・な。
のサ行?
タ行は終わった。つまり・・・・・。
「・・・・・・」
放心状態の涼。
「・・・・おいおい、涼、あんだけデカイ口叩いておいて・・・・」
「・・・ハッ・・・・ま、待て!その先は言うな!ここは素直に謝ろう!
だが!!!必ず俺はクラスに貢献する事を誓おうではないか!!!
そう、この命に代えても!!」
お前・・・・。
「・・・涼!よく言った!!!」
(ガシッ!!!)
抱き合う俺達。
冷たい周りの視線。
「バッカじゃないの」
そして零奈の冷徹な言葉。
「な・・・・!!なら、そんな零奈ちゃんは――――」
涼の、どうだったんだ!と続くはずの言葉は
『B組紫城 零奈さん C組―――』
と、言う放送の声にかき消されていった。
ご愁傷様。
「・・・・・・チキショウ!!!」
涼は叫びながら何処かへ走り去ってしまった。
「ま、いいか、何時か帰ってくるだろ。。。
って、言ってる場合じゃないぞ!
俊一!!零奈!クラス対抗男女混合リレーの予選に遅れ・・・・いないっ!!」
奴ら、置いてきやがった。
そう、案の定俺と俊一は借り出される事になった。
零奈は元々この種目に出る事は決まってたからいいけど、このことを知らされたのは今日の朝だ。
勝つ気があるのかこのクラスは。
「っと、やべっ、、、マジで遅れる・・・」
とりあえず、走ろう。
おっ、いたいた。
「おいっ!」
「知樹か。
遅かったな」
「時間ギリギリじゃない」
・・・置いてったのは何処の二人だ。
「だったら、置いてくなっての!」
「知樹、そんな事はどうでもいい。
今から入場だ。
集中して行け。
とりあえずこの予選を突破するぞ」
「あ、、、あぁ」
言い返そうとしたけど、俊一のいう事が正しいからな、ここは素直に従っておこう。
分かるとは思うけど、各クラスの男子4人、女子4人でクラス代表としてリレーに出る。
予選は4クラスと4クラスの2グループで行われて、タイムの良かった順に決勝に進める。
俺達のクラスは最初のグループの2レーンで走るらしい。
因みに我らが敵のF組は俺達とは違うグループだ。
走る順番は自由なので俺のクラスはバランス良く、第一走者はこのクラスの委員長、通称『いいんちょ』で2走者は零奈で
俺は7走者、アンカーに俊一と言った順番。
この予選は難なく通過した。
F組のタイムより早かったし、これは決勝も余裕か??
で、次は『SUPER障害物競走』か。。。
「俺が輝く時が来た・・・・」
誰だ、後ろで呟いたの。
「って、何だ、涼か」
「何だとは何だ。
とうとう来たぞ!!
SUPER障害物競走が!!!」
リレーの間にコイツに何が起こった?
いや、立ち直りが早いのは元々か。
「で?その自信は何?」
「そりゃあ決まってるだろう!」
「そろばんは関係ないぞ」
「先読みするな!頼むからっ!俺の『ボケ決まらないと死んじゃうぞ病』が出てしまう」
。。。明らかに死んでねぇだろ。
「ボケ決まった所でいいか?
参加したいならさっさと召集場所に集まったほうがいいぞ?」
「はははっ!何を言ってるのかな?知樹君?まだまだ時間に――――――!!ヤバイ!!」
・・・ともかく俺はようやく一息つける訳だ。
俊一と涼はもちろん参加。
三種目連続参加の俊一だけど、召集場ではまだまだ涼しい顔してる。
あいつ等馬鹿と一緒に行動したら、それこそ俺がお亡くなりになってしまう。
恐ろしい奴らだ。
んで、種目の事説明するけど、これは各クラス2名が参加。
男女混合だけど、まぁ女子はまず参加しないでしょ。
結構ハードらしいから。
ポイント配分は今までどおりだけど、これは最初から決勝だからここからようやくポイントに直結してくる。
俊一と涼には頑張ってポイントを稼いでもらいたい。
コースは400メートルで、障害が計5ヶ所。
最初は縄跳びで二重跳び30回、二つ目はバットを額に当てて下を向き十回転した後、次の種目へ。
3つ目はタイヤ引き、4つのタイヤを引きながら70m走る。
次は『?ボックス』って言う物らしいが・・・台の上に箱が置いてあってその中のお題を解く・・・らしい。
最後は定番の借り物競争だけど・・・この学校の事だから結構無茶やるんじゃないんだろうか?
まぁ、そんな感じで進行していくらしい。
っと、そろそろ始まりそうだ。
『さぁ、いよいよ始まります!!名物『SUPER障害物競走』実況は私、DJ林でお送りします』
DJ林って誰だよ!?
『まず今年入学したピチピチの一年生の部からですが、今年初挑戦だけあって緊張している事でしょう!
これから、16人の命知らず達が、どのようなレース展開を見せてくれるのか非常に楽しみです。
さて、全員がスタート位置に着きました・・・今!スタート!』
・・・結構。実況上手いんですけど。
『さぁ、まずスタートでトップに躍り出たのは・・・一年B組の滝野 俊一君だぁぁ!
一年生イケメンナンバーワン、ここでも女子達のハートをわしづかみか!
そして、すぐ後方に付けるのはF組の工藤君だぁぁ!!
スポーツ科の意地を見せ付ける事が出来るのかぁ!?
その後ろにも続々と生徒が続く!
まだまだこの勝負の行方は、霧の向こうです!」
よし、まずは俊一がトップか。
『さて、まず第一の障害!縄跳び二重跳び30回!!
失敗しない限り差は着きません!
確実に跳びたい所!』
俊一の事だから他より遅いという事は無いと思うが・・・。
『さぁて!?ここをまず一足先に抜けるのは・・・おぉっと!!!先程の一番二番と何人かの生徒が同時に抜け出したぁ!』
「待てぇい!!!」
『なんだなんだぁ!
B組の白沢君!跳び終わったと同時に、縄跳びを先に終えた生徒に縄で鞭を浴びせる!
当たった本人は言葉にならない程の苦痛なのか地面に横たわってしまったぞ!!
当たってしまったのはD組の生徒と思われます』
「ざまぁみろ!!」
『極悪非道!正にこの一言だ!B組の白沢君!』
・・・涼、失格だけにはなるな。
この学校の事だからOKだと思うけど。
今の所、俊一含め3人横一列。
F組の生徒二人に俊一だ。
その後ろすぐに涼がいる、といった感じ。
『さて!次はバットをでこに当てて回転!誰が次の種目に早く行く事ができるのか!
数人の生徒が同時に回りだす!』
「おっしゃぁぁぁぁ!!!!
ア○ロ!いっきま〜っす!!!」
『おっとぉ!!ア○ロ・○イもとい、白沢君!今度はF組の工藤君がバット額に当てている所に・・・』
ま、まさか・・・・。
『バットに全速力でスライディングタックルゥゥゥ!!!!
工藤君!頭を支えていたバットが無くなり勢い良く倒れる!!』
「よっしゃぁぁぁ!!!!
高速回転いっきま〜〜っす!!!」
まて、涼。
少し落ち着け。
でも、結構会場全体が盛り上がってきたかも。
『お〜と、同じくB組の俊一君は回転が遅いぞぉ〜〜!大丈夫かぁ〜〜〜!?
他の選手がフラフラになりながら次の種目へ向う中、俊一は今ようやく終了!』
俊一どうしたんだ??
回転の速度が・・・あ、そういう事か。
『おぉ〜〜!俊一君!やはりさっきのは作戦だったのか!!
フラフラの他の生徒をゴボウ抜きだ!!
しかし!Fの二人はフラフラになりがらも早い早い!
正に、本能で走っているといった感じ!』
うむむ・・・確かに。
『現在順位は一位 F組 斉藤君 二位 B組白沢君 3位 F組 工藤君。
そしてその後ろに俊一君となっていますが・・・ぁぁっと!F組の斉藤君をそれ以上のスピードで抜いていったのはぁ・・・・!!
B組の白沢君だ!!そしてそれに俊一君も続き工藤君を追い抜く!!イケメンに死角は無いのかぁ!!」
・・・しまった、涼も本能的な奴だったって事を忘れてた。
B組の異常者一号二号、現在1番3番。
他の奴らも勿論走ってるんだけど・・・・まあB組の二人は言わずと知れた異常者だ。
F組以外は鼻から敵じゃない。
『さて、トップの二人はタイヤ引きに到達!
おっと!白沢君早い早い!なんという力だぁ!』
「ふはははっ!!!誰かなぁ?武術が関係無い等とほざいてたのは?」
『どうやら、白沢君は格闘技経験者のようです!
確かに力は強い強い!
しかしこれは誰に対する言葉なんだ!?』
・・・・俺です、すんません。
『後ろのF組の斉藤君も必死だ!!
白沢君の後ろについて来ている!!』
「しゃらくせぇぇぇ!!!」
『おぉっと!!白沢君!!!タイヤを凄い勢いでまわし始めたぞ!
何と言う力!!!そして斉藤君の腹部にヒットォォォ!!
これはたまらない!!思わずダウン!!!』
「はっはっは!!ざまぁみろ!!」
『まるで悪魔のようだぞ!白沢君!』
「笑ってる暇があったら走ったらどうだ」
「うぉ、滝野っ!何時の間にっ!!」
「笑ってる間に」
「そうか、納得!じゃなくて―――うおっ!!!・・・グハッ!!」
『お〜〜〜っと!!!白沢君俊一君とのやり取り中にF組コンビから猛反撃!
先程倒れた斉藤君が白沢君に足をひっかけて転ばし、工藤君がそれを踏みつける!!
正々堂々がルールのスポーツマン達もとうとう堪忍袋の尾が切れたか!?
それにしても、なんというチームプレイ!!チームワークではB組を上回っている!!』
いや、レース中に仁王立ちして笑ってるのも可笑しいだろ。
アホだ。
「お、おのれぇ!!!」
『俊一君がタイヤ引きを終えた所で、白沢君!F組へのリベンシに燃えた!
猛スピードで前を追いかける!!しかし!そのF組の二人もタイヤ引きを終え、次へ向っている!!』
た、確かに早いが明らかに・・・・バテてるような。。。
てか、無酸素でタイヤ引いてるよな??
「はぁはぁ・・・・」
到着して、バテバテじゃねぇかよ!!
『白沢君、脅威のスピードだったが、ここで体力が切れたかぁ!?
次の種目へ移りたい所で全力疾走できない!!』
もっと体力配分考えろ。
っと、俊一が『?ボックス』へ着いたか。
コース上一杯に、箱が載っている机が並べてある。
そして机一人一人に係の人がついている。
たぶん、お題を終えたら見せてOK貰って次へ・・・って感じか。
『俊一君はトップで『?ボックス』へ到達。
俊一君迷わず、一番近くの箱を選びオープン!!』
「・・・・」
俊一は黙々と腕立て伏せの姿勢に移った。
『俊一君はどうやら腕立て伏せだったようです。
可も無く、不可も無く、と言った感じだが、タイヤを引いた後では少々キツイか!!』
確かに少し辛そうだけど・・・・ま、あきらめる訳無いわな。
『F組の二人も到着!!二人の箱の中には・・・紙と・・・鉛筆か?
紙と鉛筆です!!
・・・・今入ってきた情報によると、二人とも足し算の計算30問とのことです!!
さぁ、スポーツ科の二人はどう相手をするか!!
おっと、そして、バテながらも白沢君も到着!!
今日ヒーロー並の活躍を見せている白沢君の箱の中には・・・・そろばん・・ですか??
そろばんだ!!!そろばんで計算問題40問!!!』
そ・・・そろばんだとっ!?
「ふはははっ!!!神は俺に味方をした!!!!!」
『何やら不振な笑い声を上げてますが・・・・お、おっと!!!早い指が見えない速さで動いている!!
まるで、世界レベルのギタリストのギターソロのようだ!!!』
「誰だったかなぁ!?そろばんが関係無いとか言ってたアホは?」
『これも誰かに対する言葉なのか??
しかし、普通はそろばんは関係ありません!
言葉を向けられている人も一理あります!!』
ありがとう、DJ林。
こんな俺を庇ってくれて・・・・。
「うるせぇ!実況は俺の勇姿だけ解説してりゃいいんだ!!」
涼、何処かのヤンキー入ってるぞ。
『少々怒っている様にも見えますが、白沢君、早い早い・・・・。。。。
とーーー、ここで俊一君は腕立て伏せを終えて最後の借り物競争へと走り出す!!
F組の二人は少々時間が掛かっております!!
・・・・っと!!!ここで白沢君が計算を終えた!』
「ふはははっ!!脳みそ筋肉野朗が計算で俺に勝てるはずが無いだろう!!」
もう、暴言の域すらも超えているような暴言だ。
『ここで!!F組の二人も計算を終えた!!
ダッシュで前の二人を追います!!
そして、俊一君!!ここで借り物競争へ到着!!
後ろでは、F組の二人が前に出ている!!
笑ってそろばんをしていた白沢君だが、まだ息は整ってなかったようだ!!』
整ってないなら、何故笑っていたのかが不思議で一杯だ。
『ここで俊一君はB組の観戦席に向っているようだが、一体何とかかれていたのか!?
そして、白沢君はこっちに向っ――――(ガシャーーーン!!!)』
何か・・・・実況が途切れると同時に、クラスメイトの涼って奴が実況席に突っ込んだような。。。。
(キィィィーーーーン)
聞こえてきたのは、マイクのノイズ音、そして。。。
『小坂先生!!至急実況席へ・・・Come back!!!』
頭が狂った涼の声。
てか、Come backってなんだよ!?
意味知らないだろ明らかに。
「あ、知樹君」
ん?この声は噂の・・・・。
「小坂先生っすか・・・さっき呼ばれ――――」
「さっき、白沢君がマイクで私を呼んだような気がしたんですが・・・気のせいですか?」
・・・・・そこまで分かってるなら早く行け。
「早く、行かないと涼が負けちゃいますよ!!」
「へ??って、大変じゃないですかぁ!!どうしよう、どうしよう・・・・」
オロオロしてる小坂先生、萌え――――じゃないって!!!
「実況席へ走ってください!!」
「はっ、はい〜〜〜」
取り乱して走りだす、小坂先生。
「・・・・全く・・・・・」
「あ、あのぅ・・・・」
何故またそこにいる!?
「また、来たんですか!?」
「実況席って・・・・何処でしょう?」
モジモジして赤くなってる、先生も―――じゃなくて、実況席を知らない!?
「えぇっと!!!2年生の下駄箱の前っ!!!」
「あ、ありがとうございますっ!!」
ペコリ、と何時もどおり小坂先生はお辞儀をして走っていった。
ヤレヤレ・・・・・。
って、レースはどうなってる??
『ジャ〜〜パネット、ジャ〜パネット〜〜〜(フゥワ!フゥワ!)、夢のジャパネットた○た〜〜〜〜』
涼は、マイクを使って某テレビ通販会社の歌を歌っていた。
恐らく実況から取り上げた物だろう。
っておい涼!!マイク使って無意味に無駄な歌を歌うな!!
周りの奴も(フゥワ!フゥワ!)とか言って、付き合わなくても良いって!!
俊一は・・・・ニーナ連れて走ってるぞ!?
・・・外国人、とか書かれてたのか??
まぁ二人は面識もあるし、良いけど・・・・・ニーナ、その格好で走ると目のやり場に困るから止めろ!!
F組の奴らは・・・・・ちっ!!お題は人じゃないのか・・・。
若干、F組の方が有利か?
でも、俊一はニーナを連れて今、ゴール。
問題は涼だ。
涼は一体――――『♪フリィダイヤル♪0120-919-2――――』――――まだ歌ってやがる!?
ん??やばいぞ涼!!F組の一人が目標物を発見しやがった!!
涼・・・じゃなくて小坂先生急げ!!
『おっと、小坂先生今とうちゃ〜〜〜く!!拍手!!!!』
(ワァァァ〜〜〜パチパチパチ・・・・・)
早く行けよ!!!!
『って、時間が無いか!!皆、付き合ってくれてThank you!!今から姫を連れて行ってくるZE☆
よっしゃぁ!!金利手数料全て、ジャ○ネットが負担!!!
先生マイク持って!』
『へ?・・・きゃっ!!・・・』
マイクから聞こえてきたのは、意味不明な涼の何処かで聞いたセリフと可愛らしい小坂先生の声。
一体何した・・・ん・・・だ??
何かが放送席から飛び出してきた。
あ、アレは・・・・伝説の―――――お嬢様抱っこか!!!!
『♪北の町から南の町まで♪素敵な夢を届けます〜〜』
そこでも歌うのか!?
それになんで、ジャパネットた○たの歌詞を知っている!?
お姫様抱っこしながら、歌いながら、全力疾走する奴は始めて見た。
『ちょっと・・っ白沢君!!恥ずかしいですよ〜〜〜』
マイクからは小坂先生の声も聞こえてくる。
それを聞いた、校内全体の男共はヤジを思いっきりとばしだした。
「あの野朗!!我らがアイドルになんて事を!!
「おいっ!!涼!!帰ったら只じゃおかねぇぞ!!」
「あの白沢とか言う野朗!!絶対許さん!!」
つ〜か、お前ら先生にマジに惚れこむな。
そうしてる間に、F組は一人が2位でゴール。
後は、3位、4位争いか。
少しでも差を付けたいからな。
涼には3位を取って欲しい所だ。
急に周りが騒がしくなる。
F組の片割れが目標物を発見したみたいだ。
ゴールまでは涼の方が近いけど・・・・いずれ追い抜かれる事は必死か。
『ちっ!!小坂先生!!マイク貸して!!』
『あっ、はいっ!!』
涼、何を―――――
『よっしゃぁ!!・・いっけぇぇ!!!!』
―――――マイク投げやがった。
マイクがF組の片割れへ一直線へ飛んでいく。
(ゴンッ!!・・・キィィィーーーーン)
直後聞こえてきたのは、鈍い音。
そしてマイクの高いノイズ音。
(バタッ)
あ、被害者が倒れた。
「もらったぁぁぁ!!!!――――――あ」
「「「あ・・・・」」」
俺と、涼、そしてB組の奴ら全員の「あ・・・」の声が一致した。
何か・・・涼ばっか見てて気付かなかったけど、ゴールした奴多くね??
1、2、3、4、5、6・・・人?
「ヤッベぇ!!!」
涼は慌てて、そう声を上げ、小坂先生とゴールするが・・・・・一人にかわされ8位。
なんか、頑張った割には。。。。
「8位だとっ!!??って事は―――――」
1ポイントか。
「・・・まぁ、F組のポイントよりは多いし良いんじゃないか?」
俺は、ゴール地点へ向い涼にそう声を掛けるが。
「ちっとも、良くねぇって!!」
と、納得してない様子だった。
「すみませぇぇん・・・・・」
小坂先生は今にも泣きそうな顔で俺達に謝っていた。
ん?・・・そういえば
「でも、涼ってさっき何ていったっけ?」
「さっき?何時の話だ?」
「100m予選終わった後だよ」
「・・・・・・」
「「必ず俺はクラスに貢献する事を誓おうではないか!!!
そう、この命に代えても!!」とか言ってたよな?」
「・・・・・一文字も間違っておりません」
「・・・ま、これから頑張ってくれ。
さもなきゃ・・・・分かるよな?」
「イェス、ボス」
男の約束は守らないと困るぜ?
午前の種目はこれで半分終了。
F組とのポイント差は11点と8点で3点差。
そして、涼の貢献ポイント1点。
涼はともかく、この調子で行けばいけるかもな。
どうだったでしょう?
涼の暴れっぷりは?
ジャ○ネットた○たネタは、深夜テレビを見てたらいきなり始まったんで、そこで何故か「コレだっ」と思い、勢いで使用しました。
歌詞の内容が涼の行動に結構合ってたので。(笑)
今の所、F組とは接戦でございます。
一体どうなるのか??
ご期待下さい!!