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外から家へ〜For reunion〜






現在、夕方の5時過ぎ。

俺は、一人で下校していた。


本来なら俺は俊一と零奈と下校するんだけど、今日は二人とも用事で一緒に帰られないらしい。


零奈は女友達と買い物してから帰るという、まともな用事があるらしい。

このように、零奈は他の友達と付き合うこともしばしばある。

まあ、健全な高校生は普通そうだろうな。


・・・・俺と俊一は不健全だという事がよーく分かった気がするな。



一方、俊一は「今日は少し調べたい事があるから、校長室へある物を取り付けてくる」とか言っていた。


「一体、何を取り付けてくるんだよ!?

 これ以上、校長を追い詰めてやるな」と言ってやったが。


「先日の体育館での共同作業を忘れたか??

 お前も立派な共犯者だ」


「・・・ごもっともで」


てな感じで、納得してしまった。

案外弱いな、俺。


まあ、そんなこんなで今は一人で暇な下校時間を過ごしているという訳だ。


さて、ここを左へ曲って100m程、真っ直ぐ行けば家に到着だ。

さっさと家に入って晩飯作るか。


俺は道を左へ曲がる。


毎日見る、家までの真っ直ぐな道、遠くに人影が見える。

髪が長いから恐らく女性だろうな。


その時は、少し遠かったので何処に立っているかまでは分からなかった。

しかし、歩を進めて我が家に近づくにつれ、その女性の立っている場所が明確になる。


「・・・・俺の家の前じゃねぇか。

 一体誰だ??」


思わず、口から独り言が漏れた。

その女性が立っていたのは他でもない俺の家の前だった。


髪は金髪のロングヘアーでサングラスをしている。

背は高くモデルかと思う程のスラっとした手足が目に入る。


女性が俺の方を向いた。

やや、オーバーアクション気味に驚いたように両手で口を塞ぐ。

その後、こちらへ小走りで走ってきた。


そして、そのままの勢いで・・・・。


「のわっ!!

 な、何ぃぃぃぃ???」


思いっきり、抱きつかれたんですけど。

というか飛びつかれた。

勢いで後ろへ倒れそうになったけど、何とか持ちこたえた。

あぶねぇ、あぶねぇ。


「やっと会えた〜〜〜〜〜」


「な、な、何??

 アンタ誰っ!?」


思わず、口からでる言葉。


「え??

 何?トモったら私の事覚えてないの??」


耳元で質問された。


「いや、、、普通に分からん。

 つーか、その前に離してくれ」


いきなり抱きついたまんま10秒間そのまんまだ。

て、言うか[トモ]って俺のことか??


「あっ!ゴメン。

 抱きついたまんまじゃ顔見えないもんね〜〜。

 じゃ、これで分かる??」


俺の腰で組んでいた腕を解き、顔を見せる。

が・・・・


「・・・・サングラス取らないと・・・・」


「あっ、そうか。

 ゴメン、ゴメン」


最初からサングラスぐらい外して欲しい。


「はいっ、これでどう??」


女性はサングラスを外す。


どうって、聞かれても何ていうか・・・。


「外国人???」


そう、今目の前にいるのは正真正銘の白人さんだったのだ。

サングラス外す前にも顔立ちで何となく想像ついたが、サングラスを外したらそれが明確になった。

新たに分かった事はかなりの美人だという事。


まあ、そこまでは別に良い。

俺は [外国人だろうが誰だろうが、普通に接する] をモットーにしているからな。


・・・・そんなモットーあったっけ??

・・・・どうでも良いか。


まあ、この人、若干イントネーションは違うものの、日本語を喋ってるし、全然大丈夫だと言うことだ。


しかし、俺には俊一と零奈以外には深い付き合いをしている奴はいないと思うのだが。

ましてや、海外で知り合いを作った事なんて・・・。


「外国人は正解〜〜。

 でも、質問は私は誰か?だからね〜」


「・・・・フランス人???」


「そうじゃないって!!

 ちなみに、私はアメリカ出身!!」


俺のボケに乗ってくれた事は嬉しいが誰なのかはさっぱり分からん。


「・・・・・・」


「ん〜〜〜〜やっぱり覚えてないか〜〜〜。

 仕方ないよね〜、まだあの時トモは4歳だったからね」


「あの時って・・・???」


「11年前アメリカに来た事も忘れてるの?

 あの時は、お姉ちゃん、お姉ちゃん、て言ってくれてて

 可愛かったんだけどな〜〜〜」


「は、はあ。

 そういえば昔、海外に住んでいた覚えがあるような・・・」


その時の事か??

何処かで、そんなような写真も見た事あるぞ?


「そそ。

 アメリカに来た時、私のパパとトモのパパが知り合いだったから、暫く私の家に滞在してたんだよ??」

 

「・・・そんなような気がしてきた」


確かではないがそんな様な気がしたからそう言っておこう。


「ようやく、思い出してくれた〜」


彼女の顔に満面の笑みが浮かぶ。


「で、家に何の用??」


「トモに用があってきたんだよ〜〜」


「・・・俺に??」


「そう。

 トモのパパがこの間家に来てね、トモの写真見せてくれてさ

 私ももう一度トモに会いたいな〜と思ってたから、日本に来たの」


おいおい、そんな理由かよ。


「〜〜〜っ!!でもやっぱり、写真で見たとおり!!

 可愛い顔してるっ!!!」


またまた、ガシッと抱きつかれた。

鼻を甘い香りが擽る。


「可愛いって・・・・・」


可愛いとかはあまり言われた事無いが、言われてもあまり嬉しくない。

ごっついアメリカ人ばかり見てると俺はそうなるのだろうか。


「♪♪♪♪♪♪〜〜〜〜」


なんか、抱きついたまま鼻歌歌っちゃってるし、何故か気分良さ気。

上機嫌なのは良いけど頼むから首にぶら下がらないでくれ。


「・・・・・・住む場所とかはあるのか??」


取り合えず苦し紛れに気になっている事を聞いてみる。


「I love you〜〜♪♪I love you〜〜♪♪♪」


抱きついたままで、俺の話なんか聞いちゃいない。

朝寝癖を一生懸命直した髪も、こいつの手によってグシャグシャにされた。


・・・まるで猫だなコイツ。

変な猫に懐かれちまったもんだ。


「お〜〜い、聞いてる??」


「え〜〜〜?何ぃ〜〜〜〜??」


「住む場所とかは決まってるのかって」


「ココ〜〜〜〜」


と、目の前の女性は俺に抱きついたまま俺の家を指差し言った。


「・・・・何処??」


聞き間違いだといいが。


「ココ」


再び俺の家を指差す彼女。


「ココって何処」


聞き間違いだという事にしてくれ!!


「だからトモの家だって!!」


聞き間違いじゃ・・・ないのか・・・。


「・・・・無念・・・・」


思わず口から漏れる二文字。


「無念??

 何?ハラキリってやつ見せてくれるの??」


「いや、ハラキリの意味分かってないだろ。

 それやったら死んじゃうから。

 今時やってる人もいないから」


「そうなの??」


「そうなのっ!!」


コイツ微妙に知識が欠けてるぞ。

 

「ふ〜ん、で、私ココに住むからね」


「いや、だからマズイだろ、いくらなんでも。

 普通の男子高校生が知らない女性といきなり同居なんて。

 明らかにおかしいだろ!!」


この家の前で抱きつかれてるというシチュエーションも、かなり問題だと思うが。


「私はトモの事知ってるし、昔は兄弟の仲だったんだよ。

 大丈夫、大丈夫!!」


無茶苦茶な事言ってんな、コイツ。


「いや、いくら何でも―――――」


「いいから、いいから。

 こんな美人と夫婦みたいに同居生活できて、踏んだり蹴ったりじゃない」


顔は抱きつかれているため見えないが恐らく彼女の顔は自信満々なのだろう。

でも、踏んだり蹴ったりって、使い方間違ってるよ。

いや、この場合は別の意味で合ってるのか??


「早くドアの鍵開けてよ。

 お腹すいてるの、早くしないと死んじゃうかも」


腕を解いてドアを指差し彼女は言った。


「死なないとは思うけど、

 こんな所で長々と話すのも何だしな・・・」


俺は家の鍵を開ける。


「ただいま〜〜」


言っておくけどこのただいまは俺が言った訳じゃないぜ?


「いや、お前の家じゃないだろ」


そう、言ったのはこの外国人。


「え?家に入る時は「ただいま」じゃないの?」


「他人の家に入る時は「お邪魔します」って言うんだよ」


所々間違えて日本語を覚えているようだ。


「ふ〜ん、まあ良いか。

 どうせ、今日から私の家はここだし」


・・・・・・本当に住む気だ、コイツ。


「うわっ!!

 ちょっと!!土足で上がるなよ!!」


「へ??

 靴脱ぐの??」


「・・・Here is japan.

 OK?」


「Oh!OK.

I`ll take care」


・・・たぶん分かってくれただろう。



そして家に入ってコイツは早速一言。


「私の家と比べたら小さいけど二人で住むには十分かな」


早速嫌味かよっ!!


「アメリカ程、日本国は広くないからな」


「そうだよね〜。

 あ、二階も見てこよう」


ノリは違うが、何処か俊一と似たような部分を感じるぞ。

こんなのと暮らしたら、苦労が増える事間違い無しだ。

でも・・・・。


「ねぇ〜!!

 この、一番奥の部屋私の部屋にするからね〜!!」


避けては通れない所が、男にはあるのだよ、多分。


「ふう、荷物も置いたし。

 ちょっと、休憩しようかな。

 ねえ、何か飲み物ない?

 何でも良いからさ」


その問題の人物がいつの間にか二階から降りてきて、言った。


「・・・分かった」


俺っていい人。

文句も言わずに受け答え。


「ふう〜。

 快適、快適〜〜〜」


ソファーに座ってくつろいでいるこの人物は

どうやら、本当にこのまま住む事になりそうだ。

もう、追い払うのは無理そうだし。


「そういえば。

 私の名前もどうせ忘れてるんでしょ?」


リビングから聞こえてくる声が、台所にいる俺の耳に入る。


「さっき会った時分からなかったんだから、もちろん覚えてない」


キッパリ言ってやった。


「ああ〜、やっぱり。

 それじゃ今度は忘れないでね?

 私の名前は nina Maxwell.

 どう?良い名前でしょ〜〜」


「ニーナ・ま、ま、ま・・・・何だって??」


そんな流暢な英語、俺には聞き取れん。

離れて話しているからなおさらだ。


「ニ・ィ・ナ!!!マ・ク・ス・ウェ・ル!!!

 分かった??」


「分かった、分かった。

 んじゃ、これからはニーナで呼ぶよ」


俺は先程入れたばかりのお茶をテーブルの上に置く。


「OKって、うわっ・・・これ苦いね〜〜」


俺が今持ってきた緑茶を一口飲んだ後、緑茶を指差しニーナは言った。


「ああ、緑茶っていうお茶の一種だ。

 つーか、それだけ日本語話せるのに緑茶知らないか普通?」


「小さいときから日本語の勉強してしてきたけど文化的なことは余り知らないの。

 いわゆる世間知らずってやつ??」


「そうなんすか」

 

「そうそう。

 それよりお腹すいた〜。

 トモ何か作って〜〜〜」


「へいへい」


今日、家に転がり込んできた"一匹の猫"に、俺は再び背を向け台所へ向うのであった。

 

これから苦労が増えるだろうな、多分、いや、絶対に・・・・・。











新たな人物登場です。


欧米かっ!!!


・・・って言って下さった読者の方。

ノリ良いですね〜〜。(笑)


そろそろ男性キャラ出さなきゃいけないですかね?

まあそんなドンドン人物出して読み難くなってしまうのは嫌なので、あと一人位が限界ですかね。


え〜〜と、それでは次話をお楽しみに。



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