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過去にチョコっと一波乱

〜〜なんちゃってバレンタイン企画〜〜





時はある日の昼休み。


俺は自分の席に座って、もうすぐに迫っているテストの為に教科書をみて勉強をしていた。



だが、毎度の事もちろん奴らが俺の席に来る訳なんだが。

・・・・奴らと言うのは言わずとも分かるであろう。


「何だ?知樹、勉強か??明日は雪だな」


俊一よ、春に雪は無いぞ。


「春に雪は降らねぇっての」


「雪はないけど、知樹が勉強なんて珍しいじゃない。

 どうして??」


零奈も首を傾げながら俺に聞いてくる。


「まあな、ほら、もうすぐテストがあるだろ??」


「ああ、そうだが??」


「うん、あるけど」


「・・・ってお前らは呑気だな。

 一応テストだし、頑張った方が良いとは思うぞ」


「ああ、俺はお前と違って才能でここに入った身だからな、大丈夫だ」


「私も知樹程苦労してないし、心配どうも」


「へいへい、そりゃあようござんした」


俺だって、別に好きでやってる訳じゃないぜ??

俺は勉強が嫌いだからな。

とは言っても、自分的には結構やっているつもりだ。


ただ、それでも俊一には勝った事はないし、零奈とも同レベル。。。

毎回悔しい思いをしているばかりだ。


何かコツでもあるんだろうか??


「なあ、何か勉強のコツでもあるのか??」


「コツは・・・無いな、ひたすらやる事だ」


「お前は勉強してるのかよ?」


「いや、やっていない」


「なら言うなよ!!」


「知樹君向けの言葉だと思ったのでな」


「・・・・・零奈は??」


ちょっと、キレそうになったが、ここは大人になって零奈に尋ねてみる。


「う〜ん、チョコレートが脳に良いみたいな話は聞くけどね〜」


「チョコレートか・・・」


一回試してみよう。


「チョコレートって言えばさ。

 この前のバレンタインデーって、どうだったのよ二人とも。

 話まだ聞いてないんだけど」


零奈が思い出したように言った。


「この前の、バレンタインデー??

 ああ、あれは・・・俺の中学校生活最後のバレンタインデー。。。

 忘れもしない肌寒い2月の中頃の事だ・・・・」


「3ヶ月前の事でしょっ!!早く話してよ」


久しぶりに、俺による皆の為のボケが軽くスルー。

零奈も成長したな。


「・・・いいけどさ。

 あの時は零奈のおかげで本当に死ぬかと思ったぞ」


「全くだ」


俺の言葉に俊一も頷く。


「ちゃんとあの時は謝ったじゃない。

 いいから、早く話してよ」


「分かった、分かった」


あれは、中学校生活最後のバレンタインデー、肌寒い2月の中頃の事・・・・。





約3ヶ月前・・・・


2月14日 バレンタインデー当日。



朝、俺はもうすでに高校の合格が発表されているので、

やる事も無く、ただただいつもと同じように、もうすぐ卒業する中学校への道を歩いて登校していた。


ただし、何時もと同じ道を歩いているだけで、今日はバレンタインデーだ。

登校中に女子生徒が男子生徒にチョコレートらしき物を渡している姿を見るのは、恐らく一年で今日だけだろう。


まあ、俺は何時もどおり歩いているだけだ。

俺にとっては変わりない何時もどおりの登校時間だ。


そう思いながら、歩いていると学校が見えてきた。

俺は校内敷地に入ると教室へ向い、さっさと自分の席に着いた。


近くで話している男子生徒の声が耳に入ってくる。


「俺さ、貰っちゃったんだよチョコレート!」


「おお、マジか!変わり者もいるもんだな」


「おい、失礼な事言うなよ!

 結構可愛かったんだぜ。

 俺にも春が来たかも・・・」


まあ、これも今日と言う日ならではの会話だ。

だが俺は分かっていた、数分後、俺は毎年見る光景をまた見る事になる事を。



唐突に、ガタンッと教室の前の扉が開く音が教室中に響いた。


反射的に、音の発信源の方向を見る。


そこに立っていたのは、左手に鞄、右手に鮮やかな箱が一杯に詰まった紙袋を持った俊一であった。


扉を強く開けた理由もこれで分かる。


両手が塞がっていたから面倒くさくて足で開けたのだろう。


その異様とも言える姿を見たからかクラス全体が少し静かになったような気がした。


先程、近くで話していた男子も


「すっげぇ・・・・」


と思わず声を漏らす。


俊一は俺に近づいてきて、一言。


「・・・疲れたな」


「おいおい、朝っぱらそれかよ。

 過去最高なんじゃないのか?」


これ程の量を朝一番で頂くとは・・・恐るべしだ。


「ああ、だろうな。

 今年は玄関から外に出た時から修羅場だった。

 一応、貰わないと自由に行動できないから貰っているのだが

 全部貰った結果がこれだと笑えないな」


俊一は、持っていた紙袋を指差し言った。


「はは、それは幸せな悩みだな」


「・・・お前と比べれば幸せだろうな」


「ははは、、、殺すぞお前・・・」


「冗談だ」


一応、俺も少なからず毎年貰っているんだぜ?

でも、こんな超人と比べられたら勝てるはずがない。


不幸せと言われても仕方がないのだが

それでも憎たらしいな。


ハァーと俺はため息を付く。


「お前から見たら良いかと思うかもしれないが

 俺だって結構苦労しているんだ」


「ふ〜ん、そんなもんか〜」


「そうだ、そんなものだ」



・・・・あ、そうだ。


「俺さ、昨日の英語の・・・」


俺は英語の宿題についての質問が俊一にあったのだが

俺は言いたい事を最後まで言う事ができなかった。


なぜなら・・・・・。


「滝野君、これバレンタインのチョコレートなんだけど・・・」


「私も!!」


「私のは本命よっ!!」


「私だって大本命よ!!」


「私は昨日、時間掛けて愛情こめて作ったの」


「愛情なら私だって!!」


「私が食べられたいくらいだわ・・・!」


「私のも受け取って!!」


俊一に群がるクラスの女子生徒たちを目にしたら口の動きが止まるのは当たり前だろう。


というか、一人だけ中学生にあるまじき言葉を発する人がいたような気がしたんですけど。。

誰だ後ろから二番目。


「・・・・・・・・・」


おお、俊一が困っている所なんて久しぶりに見たぞ!

写真に収めたいぐらいだ。


少し時間が経って、女子が俊一の周りから消えていった。


「・・・・ほらな、結構苦労してるんだ」


「そ、そうみたいだな」


「周りの男子にも恨まれるしな」


言葉を聞いて周りを見ると、クラスの男子が目をギラギラさせている。


「・・・こりゃ、発火寸前だな」


「ああ、あと一発何かあったらまずいだろうな」


「そうだな」


その時、俺たちはもうすぐその"一発"が来るとは思ってはいなかった。





「あ〜もうっ!!だからあんた達の分は無いんだって言ってるでしょ!!」(ドサッ)


怒りのこもった声が、何かが地面に落ちた音と共に廊下から聞こえてきた。


そして、扉が開く。


「よぉ、零奈、相変わらずの人気だな」


「毎年この日だけは紫城に同情できるな」


「おはよう・・・あぁ、疲れた・・・・」


俊一と零奈、揃って第一声がそれかよ・・・。

確かに俊一は文字どおり同情出来るだろうな。


「毎年、男子共がくれくれって五月蝿いのよね。

 今年も何人ノックアウトしたか覚えてないわよ」


「ははははは・・・・」


う〜ん、零奈に手を出す男子も男子だよな。


「あ、そうだ。

 これ、義理だけどチョコレート。

 一応親しくしてるしね」


同じような彩られた箱をを俺と俊一に渡す零奈。


「おっ!サンキュー」


「どうも」


本日最初のチョコがこんな美少女からだとは。。。

特別な感情は無いが一応嬉しいな。

なかなか、気が利いてるぞ!零奈!!


「どういたしまして。

 ホワイトデーはブランド物のバッグ位で良いわよ」


「うへっマジかよ・・・・」


「冗談、冗談」


「ははっ、そうだよな――――――って、俊一・・・・・。

 お前逃げた方が良いんじゃないか??」


「ふむ・・・これは、不味いな」


様々なチョコを貰うシーンを、周りの男子生徒諸君に

まざまざと見せ付けた(つもりは無いはずだが)俊一に対し、とうとう

周りの男子の怒りが爆発したようだ。


その、証拠に周りの男子生徒がこちらを見て立っている。


そして・・・・。


「モテない男共!!

 今こそ、復讐の時だ!!!

 標的は3年C組 滝野 俊一!!

 同じく3年C組 朝倉 知樹!!」




「・・・お前も入ってるみたいだぞ」


「俺も標的なのかよっ!!!」


良く考えてみれば、校内一の美少女からチョコを貰ったら

標的になるのも仕方が無い。


てなわけで・・・・。


「いけぇ!!!!」


戦闘開始。



「帰るときにこっそり渡した方が良かったかしら。

 でも、こっちの方が面白そうだし、まあいっか」


零奈の小悪魔のような囁きは俺と俊一の耳には届かなかった。





[一階廊下]



まずは俺と俊一揃って、廊下に飛び出す。


違うクラスからも男子が出てきた。


あれ程大きい声で叫んだんだから、他のクラスに聞こえていても不思議じゃないな。

でも、理由を知らされずにここまで統一出来るもんなのか?!

まあ、実際出来ているんだから否定しようが無いか・・・・。


「おいっ!どうするよっ!!」


「まあ、落ち着け。

 要はあいつ等が追ってこられないような所まで行けば良いんだ。

 今考えられる所で一番良い場所それは・・・」


「それは??」


「屋上だ。

 鍵もついていて言う事無しだ。

 最上階まで行かなければならない事を除けばな」


「なら、早く行くぞ!!」


「ああ、そうだな」


幸い、俺たちのクラスは階段の真正面だ。

しかも、ご存知のとおり、階段は2階へ登れば

3階、4階へと繋がっているので、実質4階まで一気に登る事ができる。


そう、屋上の"一階下"の4階までは・・・。


俺たちは一気に4階まで駆け上がる。




[四階廊下]




「ちっ!やっぱり逆からもきやがったぞ!!」


そう、4階までは階段も校舎の両側にあり、どちら側からでも4階までは行ける様になっている。

しかし、屋上までは"こちら"側からでは行けない様になっている。

つまり、屋上へ行くための階段は一つしかない、完全な一本道なのだ。

今、俺たちがいるのは、その反対側だ。


それだけの条件なら、後は廊下一本逃げ切るだけだ。

本当に、それだけなら簡単だろう。


しかし、世の中後ろから追ってくる馬鹿ばかりではない。

階段の方には、待ってましたとばかりに生徒が5、6人待機していた。


「・・・やはり、そう簡単にはいかないか・・・。

 仕方が無い、作戦Cに変更だ」


「今は、何時そんなプラン立てた!?とか突っ込んでる場合じゃないから

 一応、その作戦の内容だけお聞かせ願いたい!!」


「ふふふっ、良くぞ聞いてくれた。

 これは、俺が2年前の夏休みに暇つぶしに図書館へ行った時の話――――――」


「後ろ近づいてるんだっての!!

 手短かに頼む!!」


そのまま、話させてたら小一時間は話してた筈だ。

話を止めて大正解だろう。


「・・・・実験で失敗した時に出来た

 [多分アルカリ性化合物]をあいつらにブッかける」


「どうやったら、図書館とその奇妙な実験が結びつくんだよ?!」


しかも何故、多分アルカリ性なんだ、調べてないのかよ??


「それでは、とばした部分を話すとだな―――――」


「いや、話さなくてもいい!!

 取り合えず、走るぞ!!」


「・・・・分かった」


俺たちは、逆方向にある上り階段へと走っていった。

そこで、ふと疑問が浮かぶ。


「んで、それブッかけたらどうなるんだ??」


その得体の知れない液体についての疑問だ。


「面白い事が起こるぞ。

 運が良ければ、かかった部分に違和感が生じる。

 必ずその部分を洗いに行きたくなるだろう。

 普通なら、皮膚が不味い事になる。

 そして運が悪ければ、失明。

 そいつらの光は永遠に失われ、そのまま俺たちは逃げれば良い。

 まあ、どちらにしろ我らの勝利だ」


「・・・犯罪じゃないのか?それ?」


コイツ頭の中大丈夫か??


「犯罪やっているのはどっちだ??」


「・・・・確かにな。

 ただな・・・・・」


「大丈夫だ。

 最悪でも目が見えなくなるだけだ。

 死ぬ訳じゃあるまい。

 戦場にルールなど無い!!」


「それが、不味いんだろうがっ!!」


「問答無用。

 お前には何もしないから安心してくれ。

 それじゃあ、投げるぞ」


俊一は、液体の入ったビニル袋から針金らしきものを外し、

これから餌食になるであろう少年達へと思いっきり放る。


「これを外して、三秒後に破裂だ」


と、先程外した針金を俺に見せた。

直後、パーンと勢い良く液体の入ったビニル袋が爆発した。


「凄い高等技術だな、おい」


「これは、ビニル袋の内圧をだな」


「説明は、いいから!早く屋上行くぞ!!」


前方には、先程の生徒全員が目を押さえ苦しんでいる。

見事にヒットしたようだ。


そして、俊一はその生徒達を追い越す際にこういった。



「早く洗いに行かないと "失明" するかもよ」



それを聞いた生徒達は、一瞬固まった直後、一斉に水道場の所へ走っていった。



そして、階段を上り切り、屋上へ到着。


俊一は鍵を閉めると、ガチャと鍵を閉めて言った。


「今日は、授業サボるしか無いな」


「ああ、そうだけどさ。

 あいつら目、大丈夫かよ。

 人事とは言えど、一応心配なんだけど」


「ああ、あの程度の物だと多分身体に害は無いだろう。

 悪魔でも、多分だが大丈夫だ」


「ふ〜ん。

 なら良いけどさ」


やっぱり、さっきのは冗談か。


「さて、暇だから昼寝でもするか」


「やる事ないしな」



俺たちは、そのまま眠りについたのであった。








波乱のバレンタインデーから3ヵ月後のある日の昼休み。



「っでな。

 そのまま、夕方まで寝過ごしちまってさ。

 俺と俊一で先生に怒られたよ、思いっきり。

 俺は俊一の奇妙な袋が握られてる右手を押さえるのが

 精一杯で説教聞く余裕無かったけど」


「本当に、あの日は不快だった」


「だから、アンタらはその日授業にいなかった訳だ。

 納得納得」


「だから、零奈が悪いんだっての・・・・

 自覚してくれ・・・」


「全くだ」


「はいはい。

 悪かったわね」


「来年は何もないと良いな」


「全くだ」


俊一が俺の言葉に同意する。


(キーンコーンカーンコーン)


休み時間の終わるを告げるチャイムの音が聞こえてきた。


「休み時間終わりか。

 って、結局勉強できなかった・・・・」


「まあ、良いじゃないの。

 多分、やっても変わらないわよ」


「それを、言うなっての・・・」


「あ、で結局、チョコ合計何個貰ったの??」


零奈が聞いてきた。


「俺はあまり覚えてないけど。

 確か10個前後貰ったぞ」


多分それ位は貰ったと思う。


「俺は、たしか・・・131個だったような・・・」


「「多すぎるわっ!!!」」



俺と零奈は、俊一の一言にツッコまずにはいられなかった。



「つーか、数えたのかよ!!」


その後、俺は更にツッコミをいれたのであった。







一応、バレンタイン企画のつもりですが、話の時期と

今の時期では誤差が生じるので、半ば無理やり

結び付けました。


まあ、過去の話なので、中学校時代の話になってしまいましたが、如何でしたでしょうか?


次話もお楽しみに。

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