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期待しなければ、世界は少しだけ優しくなる ——何も起きない日々の、小さな物語  作者: しゅんすけ
第1章:世界が少し優しく見え始めた頃

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第6話:戻ったように見えて、戻っていなかった


夜、ふと昔のことを思い出した。


理由は分からない。

特別な出来事があったわけでもない。

ただ、少し静かすぎたのかもしれない。


あの頃は、

もっと必死だった気がする。


何かを掴もうとして、

何も掴めなくて、

それでも手を伸ばし続けていた。


今は、伸ばしていない。


それが正解なのか、

それとも逃げなのか。

考え始めると、少しだけ胸が重くなった。


「このままでいいのかな」


久しぶりに、そんな言葉が浮かぶ。


けれど、不思議と

答えを急ぐ気にはならなかった。


考えても、

考えなくても、

夜は同じように更けていく。


布団に入って、目を閉じる。


不安は、確かにあった。

それでも――


以前みたいに、

自分を責める声は聞こえなかった。


ただ、


「ああ、こういう日もあるな」


そう思っただけだった。


そして、眠れた。


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