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恋は罪悪【ノベル大賞最終落選作】  作者: 衍香 壮
第7章「人はザイアク」
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第52話「縁と浮世は末を待て」

「それだけだと違うかもだろ?」


「サイトがあったんだ。ちゃき専用のサイトが。配置の仕方が他のブログと同じだった。それと……寂しくなった時、俺はいつも一夏さんの作った曲を聞いてたんだ。そしたら分かっちゃった。だってあの人、いつも似たような曲調なんだもん」


 腐るほど聞いた曲を、俺は未だに口ずさんでしまう。歌詞を付けて欲しいような気がしたけれど、あの歌の作者に作詞は向かないような気がした。


「あの時あの歌が流行り出したのは、俺と同じことに気付いた人がいたからなんだろうな」


「あの歌詞の意味は?」


「ふっ……きっとあの人のことだから意味なんてないんだよ」


 クリスマスソングが轟く街は、赤と緑の二色で染まっている。藍色の空からは、真白な雪が降り注いでいた。


「神様からのクリスマスプレゼントみたいだね」


「それ職業病? 随分ロマンチックなこと言うね」


「そうかも」


「認めちゃうわけ?」


「「ホワイトクリスマスなんて何年ぶりだろ」」


 すれ違った女性と言葉が重なる。思わず綻んだ口元で、同じことを思った人は、どんな人だろう? と背後を振り仰いだ。


「一夏さん……?」


「隼君?」


 名を呼ぶと同時に彼女を抱き寄せていた。髪が短くなっていても、少し大人びていても、そこにいたのは紛れもない一夏さんだった。


「好きです。好きです。好きです。好きです……!」


「あはは、見付かっちゃった……」


 僕の腕で力なく笑う彼女の肩が震えている。口吻は明るいのに、泣いてるみたいな声で言葉を紡ぐものだから胸が締め付けられた。それを宥めるように背を摩ると、僕の背中に腕を回してくれる。それだけで胸懐は満ち足りていた。


「答えをくれませんか?」


「私で良ければ」


 喜ぶ間もなく唇を奪われる。それを甘受していれば温もりが溶けて一つになった。


「唇、冷たいね」


「一夏さんもですよ」


 誓いの口付けは冷たくも、柔らかく、甘露な味わいだった。











 愛したことが罪でもいい。愛されたことが罪でもいい。僕達は、お互いを愛してしまっただけだから。


 答えは初めから決まっていた。初対面で惹かれ合ったからこそ、僕達は間違った途を歩んでしまったのだ。今だからこそ、それが分かる。

 彼女も、それに苦しみ、逃げ続けていたに違いない。だから僕が彼女を赦すのだ。そして僕も彼女に赦されたい。そうして共に歩むことが出来たなら、僕達は幸せになれる筈だ。


 世間は、きっと僕達を赦さない。僕達が愛し合うことを赦してはくれない。けれども、恋とは本来、罪悪で身勝手なものなのだ。


 ——罰というものが存在するのなら共に受けよう。コレは君に捧げた恋だから。

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