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愛して、私の生き人形(マイドール)  作者: せんのあすむ
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それにしても、璃音(りおん)の変貌ぶりには驚かされた。そもそも人間じゃないのだから人間と同じようにいく訳じゃないというのはあるとしても、なまじ人間と同じようにコミュニケーションが取れるだけにどうしても人間として接してしまうというのもあるし。


真尋と日登美が帰った後、璃音は久しぶりにネットゲームにログインしようと思った。だけど、<大学生>と称してログインしていた方はまだ大丈夫だったけれど、<専業主婦>としてログインしていた方はゲーム自体が終了していた。


「あちゃ~、さすがに間が開きすぎたか」


残念だけど仕方ない。<大学生>としてやっていた方にログインしてみると、すぐに、


「璃音! 久しぶり!」


と声を掛けられた。多少、装備や見た目は変更されていたが、間違いなくセレナだった。


「なんかちょっと大変だったみたいだけど、もう大丈夫なの? 元気してる?」


今の璃音としての意識はなかったとはいえ、その間の記憶は殆ど残っていることで時間が経過したことは実感していた璃音は、これだけ間が開いても普通に接してくれるセレナに対して、何とも言えない気分になってしまった。


「まあ、ぼちぼちね」


浮ついた感じにならないようにと意識して抑え気味に応えると、セレナが言った。


「そっか、色々あったみたいだね」


それに璃音も応える。


「ホントにいろいろありすぎてキャパオーバーって感じよ」


そんな彼女にセレナはこうも言った。


「なんか、印象変わったね。成長したっていうのかな」


セレナのその言葉に、璃音もハッとなった。だが以前ならここで『はあ?』とか返してしまうところを、


「かもね」


と返してしまった。それがまた、セレナにとっては『変わったな』と感じるところだっただろう。でも、悪くない。悪くない変化だとセレナは思った。


「何があったのかは聞かないけど、とにかく璃音が帰ってきてくれてよかった。おかえり」


「…ただいま」


他人から見ればなんてことのないやり取りだったかもしれないけれど、璃音とセレナ、そして一緒にログインしたリア(=麗亜)にとってはたまらないものがあったようだった。自分のノートPCを見詰める麗亜の目に涙が滲んでいた。


「よっしゃ、久しぶりにこのパーティーでクエスト行きますか! 今回はリハビリってことで軽いところに行くぞ~」


といってセレナが示した先は、今の璃音とリアのレベルでは正直、けっこうハードだと思われるところだった。


「マジか!? この鬼畜が~!!」


璃音がそうツッコんだけど、それでも三人は、たまたまその場にいたメンバーと共に、クエストへと向かったのだった。



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