信じるもんか
璃音はなおも麗亜に噛み付く。
「なんだよそれ!? 『類は友を呼ぶって』てことはあんたも私と同類だってことだよね!? じゃあ、今、私の前にいるあんたもあいつらの同類だってことじゃん!」
なのに麗亜の表情は変わらない。
「そうだね。でも、人間にはいろんな面があるんだよ。だから璃音にもいろんな面があるんだと思う。ある面で言えば同類って言える人も、また別の面で見たらそうじゃない場合もあるんじゃないかな」
「そんなの詭弁だろ!?」
「詭弁か…
そうかもね。でも、詭弁かどうかなんていうのも、結局は受け取り方次第なんだよね。
でも私は璃音が好きだよ。璃音の思ってること、感じてることをたくさんたくさん聞きたい。こうやっていっぱいお話がしたいんだよ。
だってすごいでしょ? 生きた人形とお話しできるんだよ? こんなすごいこと楽しまないともったいないよ!」
「……!」
何を言っても、どんな顔しても、麗亜はただ璃音を受け入れてくれた。だから璃音は言う。
「そんなこと言ってても、どうせあんたも私を捨てるんだ! そうに決まってる!! 私を捨てる奴の言うことなんか信じるもんか!!」
だけど、こんなやり取りをこれまで何回繰り返しただろうか、これから何回繰り返すのだろうか。
でも、家族になるというのはそういうことかもしれない。自分と違う人間と家族になる以上、こういうぶつかり合いはある筈だった。だって、相手は自分と違うのだから。
何もかもが自分と違わない。何もかもが自分と同じ。考え方も、感じ方も、全てが同じ。何一つ食い違わない。そんな存在がいる筈ないし、いたとしたらそれは自分と何が違うのだろう? 何もかも自分と一致する存在が他にもいたら、それがどちらが<自分>なのだろう。
他人は自分とは違う。けれど、だからこそ他人と違う自分が存在する意味があるんじゃないのだろうか。
璃音は確かに口も態度も悪い。せっかちだ。穏やかでのんびりした気性の麗亜とは何もかも違うように見える。
でもそう見えるからこそ、そう思えるからこそ麗亜にとって璃音はかけがえがないし、愛おしい存在だった。だって、嫌ならここを出て行けばいいのに、璃音はそうしないから。口では何と言ってても、彼女が自分を必要としてるのを感じるから。
そして、麗亜は璃音を愛おしいと感じてる。これでどうして彼女を捨てなきゃいけないのだろう。彼女を捨てなきゃいけない理由は麗亜にはなかった。
なのに璃音は自分がいつか捨てられるのではないかと恐れてる。その不安がいつか解消した時にようやく、彼女は素直になれるのかもしれない。




