第一話?『僕は死んだ』
あっ、ども。
ワタクシこと、”山塚 廻生”と申します。
実は、ワタクシ、死んでます。はい。
つい先程、ビルの屋上から落ちて死にました。はい。
なのに、なのに、だよ?
「なんで生きてるの?」
はい。
訳が分かりませんね。
では、回想しましょう。そうしましょう。
〜〜〜
僕は、その辺にいるような男子高校生…とは言えないね。特技はなく、趣味もない。彼女いない歴=年齢の冴えない男子高校生なのです。
その日の天気は快晴。
不気味な程に雲一つない空でした。
そんな天気に吐き気を覚えながら、僕はいつも通り、気怠くて退屈な学校へ登校しました。
学校に行けば友達に会えるけれど、憂鬱な朝から誰かに会いたいとは思わない。できれば、誰とも会いたくなかったと思うのが、僕の毎朝の心情。
でも、行かなきゃダメだし、仕方なく僕は学校に登校しました。
いつもの事ですけど。
学校での僕の主な行動は、寝る事です。
授業中でも、休み時間でも、昼休みでも、構わず寝る。
それが、僕の退屈な学生生活の一日。
寝てるから退屈なんじゃないよ?
寝てる時が一番退屈から逃れられる幸せな時間なだけだよ?
まぁ、そのお陰で、授業態度とかの内申点がヤバイ事になってるけど、テストの点数がそれなりに良いから留年の心配はありません。
テストに出る範囲などはお節介な友人が教えてくれるからね。
そんなこんなで、学校を終え、いつものようにフラフラと街中を散歩しながら帰ります。
正直言うと、刺激を求めて歩き回ってるだけなんだけど。
そんな感じで歩いていると、ふと、面白そうな廃ビルが目に付きました。
もう、明らかにオバケとか出てきそうな感じの薄暗い雰囲気を醸し出した廃ビル。
そんな面白そうな物を見つけると、『これは行かなきゃ』って思って、躊躇なく入ったわけですよ。
それでね、それでね。
僕は死んだんだ。
……少し結末が早かったかな?
えーっとね、僕は、その廃ビルに入った後、まぁ、くまなく廃ビルを歩き回ったんだよ。
でもね、何も出なかったんだ。
何かあっても良いでしょ。って思ったよ。愚痴も溢したよ。けれど、本当に何もなかった。
ただの廃墟でした。
ガラスが割られていたり、木製の机が壊わされていたりしてたけど、めぼしい物は何一つありませんでした。
意気消沈した僕は、最後に廃ビルの屋上に登って、街の風景を一望しようと考えました。
廃ビルの屋上は、錆び錆びの柵に囲まれた場所でした。
僕が登ってきた階段の上には、貯水タンクもあったけれど、それも錆び錆び。今にも、壊れて崩れ落ちそうでした。
屋上をグルリと見渡した後、柵の方へと近付いて街の風景へと目を向けました。
空は赤く染まって、夕焼けがとても綺麗だったのが今でも鮮明に憶えています。
僕は、そんな夕焼けを呆然と眺めていました。
勿論、錆び錆びの柵は明らかに危険な予感がしてたので、身体を預けたりはせず、一歩離れた場所で座って眺めていました。
夕焼けが沈んで行く頃。
僕はそろそろ帰ろうかと立ち上がった瞬間ーー屋上を囲う柵を破って屋上から落ちました。
そして、僕は、死にました。
頭からの落下で、間違いなしの即死でした。
ーーーの、筈でした。
だけど、僕は、この通り、ピンピンしてます。
手は動くし、足も動く。
思考は明瞭で、視界も問題なく物を捉える事が出来ている。
けれど、コンクリートの地面に激突した時に感じた一瞬の激痛は忘れようもない程に痛かった。まだ余韻が残っています。
それに、あの生々しく何かが潰れるような脳内に響いた音は、間違いなく、僕の頭蓋が割れて脳が潰れた音でした。
なのに、なのに、だよ?
僕は生きてるんだ。
屋上から落ちる直前。誰かに背中を押されたような気もしなくはないし、最後に見えた人影が親しい友人に見えた気がしなくはないけど、僕の知ってるあの人は、そんな事をする人間じゃない筈。
たぶん、僕が足を滑らせて落ちたんだろう。
さてさて、話は変わるけど、
「ここ、どこだろ?」
今いる場所は、さっきまで居たはずの廃ビルじゃなくて、どこかの見知らぬ森の中なのです。はい。
なんだか、聴いた事のないような雄叫びが聴こえてくるんだけど。獣かな?
子鳥の鳴き声も、本来なら『ピーピー』とかの筈なのに『ギィーギィー』って鳴いてるし。
超、不気味。
「取り敢えず…」
なんとなく、ここに居たら危ない気がするから移動する事にしましょう。そうしましょう。
立ち上がり、行く宛もないから適当に直進する。
進み続けていると、徐々に道が険しくなってきました。
体力に自信のない僕には、とても辛い道のりです。
うん。引き返そう。
そう思って、振り返った瞬間ーー僕は死んだ。




