ハーレム・ゲーム
『はーい! みなさん! おはようございます!』
三日目の朝はスピーカーからの大きな声で目覚めさせられた。
どうやら、それぞれの部屋にもスピーカーが設置されていたらしい。
昨日結局、昼に寝すぎたせいでほとんど眠ることができなかった俺としては、けたたましい元気な声は眠たい頭にガンガンと響いた。
「な、なんだ……?」
『みなさーん! 昨日はよく眠れましたか? 眠っていない人も眠った人も、ちゃーんと起きてくださいねー!』
三日目……そういえば今日は三日目だ。
スピーカーの声は三日目にまた、とか言っていたっけ……
俺はそんなことを思い出しながらスピーカーからの声を聞いていた。
『さて、私は、約束通りにちゃんと、三日目に戻ってまいりました! 皆さん、気分はどうですか?』
「……最悪だよ」
『はい。まぁ、皆さんの気分はどうでもいいんですがね。皆さんそれぞれがそれぞれの気分だと思うんですが……それでは、この「ハーレム・ゲーム」のメインイベント「ヒロイン選択」を始めたいと思いまーす!』
スピーカーから出てくる声だけが静かな空間の中でやたら元気に響いた。
なんだ? ハーレム・ゲームって?
『えーっと、たぶんみんなわかんなくて戸惑っていると思うんだけれど「ハーレム・ゲーム」っていうのは昨日、たまたま思いついたこの実験の名前。この実験、ただ実験、っていうだけじゃつまらないでしょ? だから、実験に名前をつけたんです! 私って頭いいね!』
「ゲームって……なんなんだよ……」
『え~……では、さっそく、「ヒロイン選択」に移りたいと思うんですが……ん? あ、ああ! ごめんね! 「ヒロイン選択」の説明もしていなかったね! 私ったらうっかりさん!』
スピーカーの声はおどけたようにケラケラと笑っている。
ヒロイン選択って……意味が全くわからなくなり頭が混乱してくる。
なんだ? 一体、コイツは俺達に何をやらせようとしているんだ?
『ヒロイン選択っていいうのは……まぁ、そのままの通り、ヒロインを選択してもらうんだよね』
「だから、ヒロインってなんだよ……」
『ヒロインっていうのは……北村幸一君! 君にとってのヒロインってことだよ!』




