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ハーレム・ゲーム  作者: 松戸京
3日目
20/82

ハーレム・ゲーム

『はーい! みなさん! おはようございます!』


 三日目の朝はスピーカーからの大きな声で目覚めさせられた。


 どうやら、それぞれの部屋にもスピーカーが設置されていたらしい。


 昨日結局、昼に寝すぎたせいでほとんど眠ることができなかった俺としては、けたたましい元気な声は眠たい頭にガンガンと響いた。


「な、なんだ……?」


『みなさーん! 昨日はよく眠れましたか? 眠っていない人も眠った人も、ちゃーんと起きてくださいねー!』


 三日目……そういえば今日は三日目だ。


 スピーカーの声は三日目にまた、とか言っていたっけ……


 俺はそんなことを思い出しながらスピーカーからの声を聞いていた。


『さて、私は、約束通りにちゃんと、三日目に戻ってまいりました! 皆さん、気分はどうですか?』


「……最悪だよ」


『はい。まぁ、皆さんの気分はどうでもいいんですがね。皆さんそれぞれがそれぞれの気分だと思うんですが……それでは、この「ハーレム・ゲーム」のメインイベント「ヒロイン選択」を始めたいと思いまーす!』


 スピーカーから出てくる声だけが静かな空間の中でやたら元気に響いた。


 なんだ? ハーレム・ゲームって?


『えーっと、たぶんみんなわかんなくて戸惑っていると思うんだけれど「ハーレム・ゲーム」っていうのは昨日、たまたま思いついたこの実験の名前。この実験、ただ実験、っていうだけじゃつまらないでしょ? だから、実験に名前をつけたんです! 私って頭いいね!』


「ゲームって……なんなんだよ……」


『え~……では、さっそく、「ヒロイン選択」に移りたいと思うんですが……ん? あ、ああ! ごめんね! 「ヒロイン選択」の説明もしていなかったね! 私ったらうっかりさん!』


 スピーカーの声はおどけたようにケラケラと笑っている。


 ヒロイン選択って……意味が全くわからなくなり頭が混乱してくる。


 なんだ? 一体、コイツは俺達に何をやらせようとしているんだ?


『ヒロイン選択っていいうのは……まぁ、そのままの通り、ヒロインを選択してもらうんだよね』


「だから、ヒロインってなんだよ……」


『ヒロインっていうのは……北村幸一君! 君にとってのヒロインってことだよ!』

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