ヒロイン選択
スピーカーからの再びの名指に、俺は驚いた。
「……え?」
つい声を漏らしてしまう。
スピーカーからは嬉しそうな笑い声が響いていた。
『うふふ……驚いた? だって、そうでしょう? ここは君にとって理想の状況、まさにハーレムなんだよ!』
どこかで聞いたことのあるセリフだ。
「な、なんだよ……だからなんなんだよ!? その……何をしろっていうんだ?」
『だからね? 君には四人の女の子の中から一人選択してもらいます!』
一瞬の沈黙が流れる。
今度は何を言い出すかと思えば……
「だ、だから! なんなんだよ! ヒロインを一人選択するってどういうことなんだよ!?」
思わず俺は半狂乱になりながら怒鳴ってしまった。
するとスピーカーの声は黙ってしまった。
黙った後でスピーカーの向こうから大きく溜息が聞こえて来た。
『……しまったなぁ、ごめんごめん。忘れていたよ。ヒロインを選択するってどういうことなのかを説明するのを。私も完全に舞い上がっちゃてるなぁ』
「ご、御託はいい! 説明しろ!」
本当ならこんなヤツの説明なんていうのはどうでもいいのだ。
だが、自分の名前を名指しされてしまっていること。
そして、その異常な状況下に俺自身も興奮してしまっていた。
スピーカーはわざとらしく大きく咳払いした。
『えっと、ヒロインを選択するっていうのは……四人の女の子の中から一人、殺す女の子を決めてもらうって、ことでーす!』
陽気な声でスピーカーはそう告げた。
「……え?」
思わず俺の口から声が漏れる。
『うふふ。びっくりした? 制限時間は今日中だよ!』
「お、おい……ちょっと待て……な、なんだよそれ!?」
『今日中に、殺す女の子を決めてね? でないと、幸一君の体に埋め込まれた超小型爆弾が爆発してみんな死んじゃうよ? だから、頑張ってね! あ、生きていたら六日目の「ヒロイン選択」の時にお会いしましょう!」
「お、おい! 待て!」
俺がそう叫んでもスピーカーがブチンと音を立てて切れたようだった。
俺は居ても立っていられず、そのまま部屋を飛び出し、大部屋に向かった。




