エピローグ~おもらしからはじまる恋(終)
あっという間の出来事に、沙織は呆然としていた。でも幼なじみで、身体の具合が悪いはずの涼がしてくれることに、沙織は拒むことなく身を任せていた。
「どうして、パンツが仕舞ってあるとこ、知ってたの?」
「なんとなく沙織が来るような気がしたから、さっき確かめておいたんだ」
「そう・・・。私、いつもこんなふうに、おしっこ漏らしてたのかな?」
ひざ下まで下ろされたブルマーとショーツを涼が脚から外しやすいように、沙織は涼の前で片足ずつ上げながら言った。
「沙織がおもらしするのと同じくらい、僕はいつも気持ち悪くて保健室に行ってたから」
涼はそう言いながら、沙織のきれいな下腹部とおしりにタオルをあてがい、両方の手のひらでしっかり押し付けながら隅々まできちんと水分を取った。それが終わると、そのタオルを徐々に太ももへとずらしながらしっかりと拭いていった。
沙織はもちろん恥ずかしかったが、涼の力強い手の温もりが気持ちよくて、涼のなすがまま身を委ね続けた。
「涼くん、拭くの上手だね・・・」
「いつも先生がこうしてるの、見てたからね。でもあのときと違って、沙織、大きくなったね」
「恥ずかしい・・・」
沙織の心に、ふたたび幼稚園の保健室が浮かんできた。いまこのとき、涼といっしょに過去を共有できていることが沙織はうれしかった。そして涼と近づけた気がした。
《でも、おもらししちゃった私のこと、嫌いに思ってない?》
ふと不安になったとき、涼がくるくると丸めて片方ずつ裾を広げて差し出してくれたパンツに、沙織はそっと足を通した。それをきゅっと持ち上げて、沙織のおしりを包み込んでくれた涼の手の暖かさに、沙織の不安は消えていった。
(終わり)